永田町プレス倶楽部




◎震災から一年を迎えた日の東京
東日本大震災から1年が経った3月11日,都内各所で脱原発を求める集会が開催され,多くの市民が集まった。
 三鷹  「震災復興・なくせ原発3.11行動in東京」 8,000人(※)
 新宿  「忘れない『3.11』キャンドルプロジェクトin東京」 200人
 千代田区「3.11東電前大アクション!」 100人
 渋谷  「福島を返せ!3月11日 静かに抗議するデモ」 30人
 日比谷 「3.11東京大行進~追悼と脱原発への誓いを新たに~」 1万4000人(※)
 千代田区「3.11再稼働反対!全国アクション」 270人 
 国会前 「3.11!原発ゼロへ!国会囲もうヒューマンチェーン」 1万人(※)
 (※)は,主催者発表
◎3月11日の永田町 
 国会周辺は,昼過ぎから警察による厳しい警備が敷かれた。議事堂側の歩道は立入禁止となり,一定の間隔で警察官が立っている。路上には機動隊員が乗った大型バスが何台も駐まり,日曜日で往来の少ない国会前の道を無線のアンテナを何本も立てた警察車両が何度も周回して,目を光らせている。
 そんな中,午後4時過ぎから,各地で実施された集会参加者が集まり始め,午後5時には社会文化会館を出発した「3.11再稼働反対!全国アクション」のデモが国会正門前に到着。続いて,日比谷公園を出発した「3.11東京大行進」のデモも国会前になだれ込んだ。参加者はキャンドルを手に国会議事堂をぐるりと取り囲む。午後6時10分,司会者の合図で隣の人と手をつなぎ,「人間の鎖」を完成させる。国会正門前では二重,三重の「人間の鎖」ができる。1万人が脱原発の思いで一つになる瞬間だった。
 社民党党首の福島瑞穂氏は,デモ行進に先立ち,社会文化会館前で行われた集会で「津波は天災,原発は人災。脱原発社会を実現することが被害者に対しての報いだ」と訴えた。
◎市民の側を離れた大手マスコミの社説 
 読売新聞は3月13日の社説に,「政府は事故の教訓を生かし,原発の安全性向上に努めねばならない。安全を確認できた原発は再稼働し,電力危機を回避することが急務」「大切なのは,感情的な『反原発ムード』に流されず,安全性と電力の安定供給,経済性にも目配りした,現実的なエネルギー政策を打ち出すことだ」と掲載した。
 「反原発」運動は,感情的なムードに起因するのか?
 政府の指示で作成された「最悪のシナリオ」,一年経った今も,自宅に帰れない人々,誰もいなくなった町,目に見えない放射能汚染。
牙を剥いた原発は,人間にコントロールされることを拒否して,暴走した。その原発におびえて,立ち上がった人々の声を,「感情的な『反原発ムード』」と評価した上で,再稼働を求める社説。疑問だ。大手マスコミは,市民の側を離れてどこに向かおうとしているのか?
タレントでモデルの藤波心さんの集会での発言が印象に残る。
「いくら国が発展したとしても,一度原発が事故を起こしたら今までの努力が水の泡になり,たくさんの人々が一瞬でふるさとを失う。不安におびえる日々はもう嫌だ。安心,安全,幸せあふれる国になってほしい。次の大地震が来てからでは遅い。今,止めなければならない。日本の歴史が,私たちの命が終わってしまう」。