東京電力が黒塗りにして国会の提出要求を拒んでいた、福島第一原発の運転手順書が24日公表されたが、黒塗りにしたのは、事故に対応できなかったずさんな手順書を隠蔽するための工作だったことが分かった。反省より保身しか考えない東電に危険な原発を任せておけるのか。東電の責任を追及しなければならない。

  東日本大震災で被災した東電福島第一原発の事故原因を究明するために、衆院科学技術特別委員会では、8月26日から保安院を通じて東電に対して、事故当時に使われていた運転操作手順書の開示を求めていたが、東電が9月2日に開示した資料の「1号機運転操作手順書」は、表紙と目次だけのA4判計3枚で、50行中48行が黒塗りだった。東電では、手順書には「知的財産が含まれている」、「安全確保と核物質保護上問題がある」として機密保持のため開示できないとした。

  このため衆院特別委が「不誠実だ」と反発して再度提出を要求し、保安院が東電から手順書を取り寄せ、個人情報に関する部分を除いて公表したものだが、第一原発分1700ページのうち200ページの内容を読むことができた。その結果、次ぎの事実が分かったのである。
  
  3月11日の大震災で発生した福島第一原発の事故は、津波によりすべての電源を喪失したことにより、原子炉の冷却が出来なくなったために起きた事故であった。
  だが、今回公表された手順書では、外部電源や非常発電機の喪失は想定しているが、蓄電池を含めた全電源が喪失した場合を想定した操作手順は書いてないことが分かった。このため事故対応ができなかったのである。
  
  即ち、予想を超えた高い津波や予想もしなかった全電源の喪失など、東電の事故に対する想定の甘さが改めて浮き彫りになったのである。東電側はこの事実を隠蔽するために、原発の操作手順書を黒塗りにして、国会への提出を拒んでいたのである。
  
  東電は22日の記者会見で、「手順書に照らし合わせた結果、実際の操作には問題はなかった」と発表しているが、おかしなことではないか。操作に問題がなくて、なぜ事故が起きたのか。操作出来なかったから事故になったのではないのか。東電は「想定不可能だから責任はない」と言いたいわけで、保身のための責任回避に汲々としているのである。

  保安院はあらためて「公表する公益上のメリットの方が大きいと判断した」としたり顔をしているが、このズサンな手順書に保安院は目も通していなかったというから、保安院も同罪である。  
  松宮衆院科学技術特別委員長は「事故究明の思いが日の目を見た」と言っているが、来月にも国会に設置される事故調査委員会で手順書についての本格的追及が行なわれるようだ。