自民党は新政権になっても早期解散を目指すようだが、「一票の格差」を是正しないで総選挙ができるのだろうか。最高裁は09年の衆院選挙を「違憲状態」としているのに、是正もしないで総選挙を強行すると憲法違反で選挙無効とされるかも知れないのである。

  衆院の任期満了まで余すところ2年であり、参院が改選を迎えるのも同じく2年後である。自民党が「解散、解散」と騒いでいるが、来年になれば解散総選挙が視野の中に入ってくる。最近は、「ねじれ国会」を解消するために、13年の衆参同日選挙という話もある。
  
  だが、現在、衆院の一票の格差は2.44倍で、最高裁が「違憲状態」と判断した、09年の衆院選の2.3倍を上回っている。参院選も一票の格差は5倍を超えている。13年の改選までの是正が絶対条件になっている。
  一票の格差を是正する各党の動きはようやく始まっているが、党利党略、個利個略が絡むので、一筋縄には行かないようだ。まとめるには相当な政治力と卓越した知恵が必要だといわれている。
  
  自民党が5月に衆院、6月に参院のそれぞれ選挙制度を改正案をまとめた。衆院は定数を35人減らすことを盛り込み、小選挙区の定数を5削減し、一票の格差を2倍以内にして違憲状態を解消する。比例区は現在の180から150に減らす。小選挙区をやめ、中選挙区にするという論議も出たという。
  参院は4府県で定数を8増、6県で定数を12減し、選挙区の格差を最大4.5倍以内とする。選挙区の定数が4減るのに合わせて、比例代表を2減の94議席とする案と2割減の78議席にする案の両論併記にした。

  民主党は7月に参院の選挙制度改正案をまとめた。選挙区と比例代表で各20議席減らし、総数を242議席から204議席にする。格差は最大で2.967倍になる。
  公明党は7月、参院の選挙制度改正案をまとめた。議員定数を2割削減し、242から200へ減らす。人口に比例して定数を全国11ブロックに割り振る。一票の格差は四国ブロックを1とすると最大の北海道が1.385倍に押さえられる。投票は個人名を書く。山口代表は「来年の通常国会で成立させ、一年程度の周知期間を置いて、13年の改選から実施すべきだ」としている。

  他に参院については、みんなの党が定数を100議席に減らし、全国を10ブロックに分けて、それぞれ比例代表にする案を公表している。また西岡参院議長が、定数を200議席に減らし、比例代表を廃止して、全国を9ブロックに分割して大選挙区制(定数8~36)にする案を発表した。社民党は民主党案を評価しているという。それにしても、各党案が相当に違っており、まとめるのが難航しそうだ。

  政治のムダを削る国会議員の定数と歳費の削減は早くから言われていたことだ。民主党はマニフェストで明記していたが、身を削る改革は決まらないものだ。しかし、憲法違反となれば、何ぼ図々しい国会議員でも否応なしに改正せざるを得ないのである。

  それにしても、09年から発足した民主党政権は2年間に二人の首相が代わり、今度、三人目の首相に代わるが、その首相も代表任期が来年9月までの菅首相の残り任期とあって、その後の続投は分からないという。
  民主党政権の前の自民党政権でも首相が三人、一年毎に代わっている。この政治の目まぐるしさどうしたことなのか。政治家の劣化が招いたことなのだが、国民不在の政治がこれ以上続くのは堪らないことである。