◆恒例の秋の叙勲で、元公明党委員長の矢野絢也が最高位である旭日大綬章をうける。内閣府賞勲局筋の情報である。所管大臣でもある仙谷由人官房長官からの強い意向が働いたとされ、同官房長官自身がすでに承認の認印を押しているという。発表は10月下旬。矢野氏は、1967年から86年末まで、書記長として20年、コンビを組んだ竹入義勝元委員長とともに、いまや公明党の支持母体の創価学会から「仏敵」とされ、激しい指弾を浴びている。
◆竹入氏は、すでに1997年に勲一等旭日大綬章(現在の旭日大綬章)を受けている。叙勲後の1998年8~9月、竹入氏は朝日新聞紙上に「回顧録」を掲載、その中で、創価学会と公明党との「政教一致」の内情を明らかにした。このため創価学会から激しい非難を浴びた。創価学会側は、竹入氏の経歴詐称や横領問題をヤリ玉にあげ、「退転者」(裏切り者の意味)と糾弾、裁判沙汰へ展開した。創価学会側の対応には、諸外国で種々の勲章を受け自慢にする池田大作名誉会長だが、その池田氏が望んでも貰えない国内の「勲一等」を手にした竹入氏への嫉妬とやっかみも働いたとの指摘があった。
◆矢野氏は、創価学会との訴訟の末、2008年5月1日に同学会を退会している。その矢野氏が竹入氏と同格の勲章をうける。創価学会にとって「裏切り者」の2代の公明党委員長経験者が、「勲一等」を手にしたというわけで、学会内部へ「しめしがつかない」状況にもなりかねない。
永田町で話題になるのは、矢野叙勲を推進したのが仙谷官房長官であったこととの関連である。矢野叙勲問題は、昨年9月の民主党政権発足のあと、一部週刊誌は「民主党の有力議員が働きかけている」と取り上げた。有力議員とは仙谷氏であった。去年の叙勲は見送られたが、今回は、仙谷氏は担当大臣という立場だ。影響力は格段と強くなった。仙谷氏は、昨年11月に矢野氏の長男・清城氏を公設第二秘書に採用している。濃密な仙谷―矢野関係が、78歳の高齢となり、この世の土産に勲章でも、という思いを強くする矢野氏への叙勲につながったという。
◆民主党はネジレ国会への対応に苦慮する。スムーズな国会運営をはかるには、参院の過半数割れ状態を一挙に解消できる19議席を持つ公明党の存在が大きい。この時点で、創価学会・公明党を刺激する「矢野叙勲」にこだわった仙谷官房長官の真意はなにか。
「公明党・創価学会の目下の最大関心事は、来春の地方選。地方選で『全員当選』を果たして、昨年の総選挙、今年の参院選と国政選挙2連敗の衝撃から脱することが至上命題。このため民主党政権から地方選で使える玉(政策的成果)を引き出したいと民主党政権へ遮二無二接近している。矢野叙勲でも、公明党の政権擦り寄り姿勢は変わるまい。仙谷は公明党・創価学会の足元を見透かしている」。