★「長妻昭の過去の不祥事疑惑」のタイトルがついた全三枚の文書が永田町に出回っている。鳩山新内閣の目玉人事で厚生労働相に抜擢された「ミスター年金」長妻昭衆院議員をターゲットにする「怪文書」。同種の文書は3年ほど前にも国会周辺に撒布されたことがある。8年前に起きた駐車違反事件で、違反をした民主党参院議員元秘書(都議選予定候補)の身代わりに長妻氏の元私設秘書を出頭させた一件を改めて抉(えぐ)り出している。文書は、身代わり出頭を、元判事・検事の参院議員と元警視庁世田谷警察署長(警視正)の長妻氏の父親らによる「共同謀議」と示唆。長妻氏の政治的動機駅責任を問い、併せて、秘書給与疑惑を突いている。
★長妻氏の政界入り前の経歴には紆余曲折がある。慶応大法学部卒業後にNEC入社、5年後に日経ビジネス誌記者へ。さらに5年後に大前研一主宰の「平成維新の会」に参加、同事務局スタッフ。1995年7月参院選で平成維新の会から全国比例代表で出馬、96年10月総選挙で東京10区に「新党さきがけ」から立候補。2000年6月総選挙で東京7区に民主党から初当選。平成維新の会事務局当時のメンバーに長島昭久、花咲宏基ら反共色が濃い衆院議員がいた。平成維新の会当時の長妻氏について元同会事務局幹部は「彼には影が付きまとっていた印象だった。宗教と政治が融合した団体に属していたのではないかと思っていた」と振り返る。永田町スズメは、政治家・長妻のルーツに目を向ける。
★鳩山新内閣の布陣で意外な受け止めをされた閣僚を上げれば筆頭は平野穂博文官房長官だが、二番手は北沢俊美防衛大臣だろう。北沢防衛相を日米同盟の「仮想敵国」である中国が歓迎している。参院議員3期はベテランの域で、参院民主党国対委員長、幹事長の経歴がある。参院外交防衛委員長当時、防衛利権疑惑で守屋武昌防衛事務次官の国会証人喚問を指揮をとったが、大多数の国民は「北沢フー(who)?」。
中国の北沢大臣を歓迎するのは、北沢氏が、民主党内に設けられている日中経済交流促進議員連盟会長であることと無関係ではないだろう。同議連は2004年12月に訪中、中国経済連絡センターと中小企業を中心とする経済交流を促進する「覚書」を交わしている。そのときの会談で、日本メンバーの選挙区内の都市と中国の地方都市(地方政府)との交流が1つの提案として中国側から示されている。大企業は中央政府レベル、中小企業は日中ともに地方レベルで交流を底上げしようという話である。日中利権の地方版を狙ったものか、という日中関係筋の見方がある。
★小沢鋭仁環境大臣は、自民党の若手政策集団を名乗った「自由主義経済推進機構」(1983年発足、88年自由社会フォーラムに改称)を足場に政界入り。自由社会フォーラムは元大蔵官僚の浜田卓二郎衆院議員(当時)が代表幹事で、谷垣禎一、大島理森氏ら20人。大蔵官僚OBの支援があった。小沢氏自身、いま民主党ブレーンの榊原英資元大蔵省財務官のもとで財政経済を学ぶ。経歴から金融界へ人脈が広がり、野党時代から銀行、損保、生保など業界から「お座敷がかかる」数少ない民主党議員として知られる。環境相ポストは鳩山側近としての論功行賞であるとともに首相が国際公約に引き上げ、内閣の命運がかかる「温暖化ガス25%削減」方針を背負う立場だが、足元に不安も残る。
★鳩山由紀夫首相本人には、いわゆる「故人」献金の政治資金執す報告書の虚偽記載問題がのしかかる。元特捜検事は「明白な規正法違反で、『略式起訴、罰金刑』相当」と断を下す。鳩山氏は「秘書が私のことを思って勝手にやった」と弁解、発覚後、政治団体の会計事務担当者だった勝場啓二公設第一秘書を責任を取らせて辞めさせたが、会計責任者の芳賀大輔政策担当書は事務所に残すという中途半端な対応だった。だが鳩山氏の手足にとどまらず目となり耳となってきた芳賀氏を総理政務秘書官起用を見送った。鳩山首相は、違法献金問題をかなりの程度、気にしている。
★党側では小沢一郎幹事長が西松建設違法献金問題で元秘書の一審判決を控える。鳩山内閣支持率はすべての主要メディアで70%超。メディアの鳩山内閣とのハネムーンがしばらく続く気配だ。しかし、旧自民党田中―竹下派の系譜が中枢を占める新権力体制、143人の新人議員の多くは自民党からでも政界入りを望んだ政治家予備軍だった。旧体制から引きずるしがらみが噴き出てくるのに、そう時間はかからないだろう。