中部電力は5日,中部電力浜岡原子力発電所(浜岡原発,静岡県御前崎市所在)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査の中で,中部電力がデータを不正に操作して説明していた疑いがあると発表した。浜岡原発は,南海トラフ巨大地震の震源域であるプレート境界面の真上にあるため,世界一危険な原発とも指摘されている。

原子力規制委員会の7日の定例会合では,「研究不正に例えれば捏造や改ざんに当たる事案。非常に大きな失望を感じた」(山岡耕春委員長),「確かな情報を得るまで審査の再開は不可能」(杉山智之委員)などと厳しい声が相次いだ。そして,浜岡原発への審査の停止措置を継続する方針を確認。次回14日の定例会合で,審査の取り扱いや浜岡原発への検査を実施するかなど,詳細な対応を正式に決めることとなった。

環境活動家は,「中部電力による浜岡原発不正問題発覚のきっかけは,昨年2月の『公益通報制度』による外部からの情報提供であった。これまでも世界一危険な原発として稼働停止・廃炉の声が上がっていたが,中部電力は再稼働に向けて,『再稼働ありき』で都合のよいデータを抜き出すなど,審査を通るために意図的な不正を行い,原子力規制委員会に虚偽の報告していた事態は,とても常識では考えられない。人命をあまりにも軽視し,企業の利益を最優先にした非常に深刻な問題である。情報提供がなければ,人災による原発事故の拡大が確実に予想される緊急事態であったと思う。これを契機に,政府は,国民の安心・安全を念頭に,速やかに浜岡原発の稼働停止・廃炉に向けた議論を進めなければならないのではないか。私たちがこれまで経験した大地震以上の様々な災害・被害・悲劇が想定される場所に立地するのが浜岡原発なのだ」と,南海トラフ巨大地震を念頭に,浜岡原発の稼働停止・廃炉に向けた議論の加速化を強調する。

なお,7日の会合後の会見で山中委員長は,中部電力の不正問題について,「安全規制に対する暴挙。前代未聞の事態で,相当厳しい対応になる」と述べ,浜岡原発の審査について,「申請書の信頼性,これまでの審査の信頼性が問われているので,審査そのものをすべて見直す必要がある」と怒りを露わにした。

「原発の安全神話」は人間自らの手によって破壊されようとしていた。