『 勝負の本質 』
夜の首都高速を走っていると、
右左に、頻繁に車線変更する輩が必ずいる。
特に、何処かの営業用のライトバンとかスポーツ外車が多いかな。
自分も含めて意識しないところで、知らない相手とすぐに張り合い勝負している。
自分の前にスっと車に入られると、
「こんにゃろ~メ」と、クダラナイことにむきになったりする。
何でだろう。
目の前にあるどうでもいい些細なことに、勝負のようにのめり込む。
それはまるで、
あいつより早く出世したいと胡麻を擂るサラリーマン。
どうでもいい事で、張り合う近所付き合い。
その勝負の先に、いったいどんな意義や幸せが待っているのか。
自分はあいつに比べたらマシな方だと、
少し自分の優位性を見出すと喜び、
少し自分が不幸だと嫉妬する。
そんなクダラナイ勝負なら、勝っても負けても、どちらも無意味なパワーと時間を浪費するだけだ。
本当の勝負の本質というのは、
「ここで、負けるわけにはいかない、終わってしまう」と、
後がない勝負に臨むために、ただひたすら準備をし、
来る日も来る日も、混沌とした日々を過ごすのだけれど…
勝っても負けても、
空を見上げたら、
垂れ込めた暗雲から必ず光が射している。
勝者、成功者ではなくて…
弛まぬ挑戦者だけが、最後にこの光を浴びることができるのだ。
そう、
さっき勢いよく追い抜いて行ったライトバンは…
しばらく走っていくと、パトカーと共に路肩に停車していたよ。