悲しく辛いお知らせ

 

かねてより闘病中だった弊店のトップフローリスト和田が9月14日残念ながら永眠致しました。ここにご報告申し上げます。

 

 

プリザーブドフラワープロデューサーの稲田です。

 

こちらのブログ更新出来ずにおりました。覚悟をしていたとは言え、あまりに辛く悲しい出来事だったのも一因ですが、それを公表すべきなのかどうか?!迷う部分が大きかったからです。

 

 

和田との別れ、そして決意!

プリザーブドフラワー業界の10年後を見据えた時に「このままではイケナイ」という警笛が自分の中で鳴り響き、その対策としてもっともっとデザイン力のある売れるフローリストさんの存在が必要と考え、その為に私達が13年間走り続ける中で得た知識や技術等々をアウトプットしていく必要があると決意したのが5年ほど前。

 

 

弊店のトップフローリストとして最前線を駆け抜けていた和田にはその技術やセンスを伝える役割を担ってもらいました。

 

 

和田には全国に「和田さんに創ってもらいたい!」「和田さんじゃなきゃダメ!」とおっしゃっていただけるファンが多くいます。

 

 

北海道の店舗も持たない無名のネットショップの花屋のいちフローリストでいながら、これだけのファンを持っているというのは凄い事です。

 

 

それは、和田ならではの作風とセンスが高い評価を得ていたからに他なりません。

 

 

そして、私はその類い稀なるデザイン力とセンスが偶然の産物では無いことを間近に見て来ました。努力を重ね、試行錯誤を重ね、自身の作品に妥協せずに取り組んでいる姿勢は日本一だったと言えます。

 

 

本来なら、そうやって苦労して苦心して築いて来た和田ワールドをアウトプットするという事はやってはイケナイ事かもしれません。門外不出であり、一子相伝である必要があるかも知れません。そこを私は「惜しげも無く全て伝えて欲しい」とお願いしました。

 

 

プリザーブドフラワー業界の未来の為に…。

 

 

偉そうかも知れませんが、私達が愛してやまないプリザーブドフラワーの世界がもっともっと発展して行く為には、自分達だけの利益や利権にとらわれていてはイケナイと思ったのです。

 

 

10年以上、ネットショップだけでプリザーブドフラワー販売を続けている花屋さんが他にありますか??

 

 

私は日本全国探しても創作花屋花の音以外にそんな花屋は無いと思っています。

 

 

どうして10年以上も続ける事が出来たのか??それは、運営する力と商品力双方が際立っていたからに他なりません。

 

 

その際立っている部分をアウトプットする事で、デザイン力がアップし、その優れた作品を世に出す方法も確立できる様になる。

 

 

そうなれば、もっともっとプリザーブドフラワー自体の評価が高くなり、その結果、自分達にもまたその恩恵が戻ってくると考えていたのです。

 

 

よく耳にします「プリザーブドフラワーって高いよね〜」

 

 

これって値段の割に価値が低い時に発せられる言葉です。

 

 

そりゃそうです。デパートで売っているプリザーブドフラワーを見ると「ウチなら同じ金額で倍のボリュームと数倍のデザイン力のあるお花が創れる」と思ってしまいます。もちろんそこには百貨店のブランド力に対する価値もプラスされているでしょうが、それにしてもただ高いだけ…。

 

 

一方、イ○ンの様なところで販売されているプリザーブドフラワーは、1輪だけがプリザーブドフラワーで後は全てフェイクやアーティフィシャルを使用している商品だったりします。それでいてそこそこのお値段がついている…。

 

 

「プリザーブドフラワーって高いよね〜」になって当然です。

 

 

これでは未来がありません。取っ替え引っ替え売れるモノだけを売れば良いお店は未来なんて考えないでしょうが、プリザーブドフラワー専門店としては未来を考えます。その未来に赤信号が点っているなら、どうにかしなきゃイケナイのです。

 

 

このブログを立ち上げたのも、この活動の一環としてでした。

 

 

名も無い北海道の花屋の代表が声高にプリザーブドフラワーの10年後の危機を叫んでも誰の心にも響く訳はありません。

 

 

だからこそ、このブログを通じて私の人となりを見ていただき、弊店の活動を知っていただき、私のプリザーブドフラワー愛を感じていただいて来たのです。

 

 

この人の言うことに賛同できるかも??

 

 

そう思っていただける方を全国に一人でも多く増やしておきたかったのです。

 

 

そうして、1年以上掛けてブログを通して思いを書き綴り、並行してトップフローリスト和田による売れるデザイン力養成講座を札幌で開催し、その模様もブログで実況して来ました。

 

 

「和田と一緒に全国を回ってデザイン力養成講座を実施したい!」その思いでおりました。

 

 

この講座を受けた方はきっと度肝を抜かれるぞ!目から鱗がいっぱい落ちるぞ!その確信があったからに他なりません。

 

 

そんな矢先に和田の身体に病魔が棲みついている事が発覚しました。

 

 

もちろん私以上に本人は色んな葛藤をされたでしょう。ご家族も同様だと思います。

 

 

色んな治療の選択肢がある中で、死なない為の治療を選ばすに、彼女は最後まで彼女らしく生きる為の選択をしました。

 

 

私は彼女の選択を尊重し、その為の最大限のバックアップをするしか術はありませんでした。

 

 

こうなると、全国を回って講座を実施するのは難しいと判断し、札幌での開催に来て頂くしかないと腹を括りました。

 

 

とは言え、札幌くんだりまでレッスンを受けに来て頂くって非常にハードルが高い事です。この講座の魅力や取り組みに対する思いをブログで訴えてきましたが、そこまで魅力的に映っているかは甚だ疑問でもあったからです。

 

 

それでも、東京から1名・青森から1名のご参加をいただく事が出来ました。本当にありがたい事です。和田もその意気込みにお応えするべく、全身全霊で講座の講師を努めあげました。

 

 

和田自身も講座に対する色んな思いがあったそうですが、この道外から来られた方(講座参加費に交通費や宿泊費まで掛けて受講された方)に「来てよかった!」と言って頂き、ご満足していただけたと言う事実が励みになり、次への意欲となったのは間違いありません。

 

 

一方、地元札幌ではこの講座がなかなか受け入れられません。

 

 

地元にこんなに優れたフローリストが居て、惜しげも無く技術やセンスを教えてくれると言ってるのに、どうして見向きもしないんだ!

 

 

正直、愚痴にも似た感情が私の中にありました。

 

 

だから札幌はダメなんだよ!だから北海道にプリザーブドフラワーが根付かないんだ!

 

 

プリザーブドフラワーに取り組んでいる方の意識レベルが全国に比べると札幌は低いと言って良いかと思っています。

 

 

その責任の一端は私にもあると思っています。

 

 

ネットショップとしてはマーケットは全国です。実際弊店のお客様の8割は道外のお客様になります。なので、基本的に地元に対するアピールよりも8割の道外の方に向けてのアピールを優先して来ました。

 

 

商売としては効率の高い方に向かうのは当たり前の事です。その分、地元に対する意識が低く、むしろ地元のアレやコレやに巻き添えを食らう事の方が嫌だと思っていたくらいです。

 

 

ウチが地元を意識していたら状況が変わっていたと言えるほど、弊店が影響力あるなどとは思っていませんが、現状に小さな波紋を投ずるくらいの事は出来たのではないかと反省しています。

 

 

そんな私を見兼ねた和田が「稲田さんがヤリたがっていた東京での講座やるかい?今ならまだ私もヤレると思うから」と申し出てくれました。

 

 

私自身も色んな葛藤がありましたが、募集しても集まらない可能性もある訳だし、とにかく募集してみよう!と言う判断になり、募集を開始しました。

 

 

最低施行人数まで後1名の段階で、実は和田のご家族は反対されていると言う事を知りました。

 

 

本人がその気でも、ご家族が反対している以上は東京に連れて行く訳には行きません。

 

 

それ以上応募を促すことは止めて、本来なら一番やってはイケナイ事ですが、人数が集まらなかったので中止しますとアナウンスしました。

 

 

私の中で、もうデザイン力養成講座を道外で開催すると言う選択肢は無くなりました。

 

 

と同時に、方向転換を余儀なくされる事となったのです。

和田と全国を廻って…が出来なくなった以上、プリザーブドフラワー業界の為に…なんて大それた活動よりも、創作花屋花の音をしっかり運営していく事に力を集中させるべきなのだと思う様になりました。

 

 

それはそれでとっても大切な事ですから、やり甲斐が削がれたなんて事はありませんが、業界全体の為にという大きな志を心に仕舞わなきゃならなくなった事は非常に残念な事でもありました。

 

 

そんな折、和田が言いました。。。

 

 

「稲田さん、全国にはもっと販売したい!もっと生徒さんを集めたい!もっと売れっ子になりたい!と考えている人はいっぱいいるはずですよ。稲田さんにはそんな方の助けとなる力があるのですよ。販売や集客の仕方だけじゃなく、デザイン力の向上にしても、細かな技術的ノウハウを教えることが出来なくても、どんなデザインが売れるかどうかは稲田さんの方が良く分かってるはずです。私にもっと○○した方が良いってアドバイスできるのは稲田さんくらいなのですから。そりゃ、おかしな事を言う事も多々ありますけどね(笑)」

 

 

最後にひとくさり嫌味を言うのも和田らしいのですが(苦笑)和田とのタッグが実現できなきゃ自分が考える自分の使命はまっとう出来ないと考えていた自分はドキッとさせられました。

 

 

確かに思い描いていた形とは異なるかも知れないけど、だからと言って自分の使命が終わった訳じゃないんだ!そう気づかされたのです。

 

 

それから半年が過ぎた頃、和田の病状にも変化の兆しが現れて来ました。投薬や治療の方法にも変化がありました。

 

 

和田が言いました「今が東京でデザイン力養成講座が出来る最後のチャンスかも知れない。正直、最先端東京の方にどれだけ私のデザイン力養成講座が受け入れられるのか興味がある」と…。

 

 

前回、ご家族の反対で講座の開催を中止したくらいですから、私は難色を示しました。すると「家族は諸手を挙げて賛成はしないけど、やりたい!と思うなら行っても良いよ」と言われたと言うのです。

 

 

ご家族の方も、この機会を逃したらもうチャンスは無いと思われていたのかも知れません。和田の思いを叶えてあげたいと思ったのかも知れません。

 

 

そうなれば反対する理由はありませんし、私は無事に戻って来られる様に全力でサポートするしかありません。

 

 

そうして、最初で最後の東京でのデザイン力養成講座を実施させて頂きました。

 

 

急遽キャンセルされた方も居て、想定人数より1名少ない状況でしたが、その分よりマンツーマンに近い形で実施出来たので、ご参加頂いた方には大変嬉しいお言葉を頂きました。和田にとっても思い出に残るレッスンとなったはずです。

 

 

私は無事に和田を札幌に連れて帰れたことが一番でしたし、改めて和田のスキルの高さに脱帽だなと思ったものです。

 

 

次にデザイン力養成講座を開催したのは、東京での開催の時に参加できなかった方が札幌に行くから習わせて欲しいとの申し出があり、それならばと募集をさせて頂いた所、東京・神奈川から3名の方にご応募いただき札幌で開催させて頂きました。それが最後のデザイン力養成講座となりました。

 

 

もちろん、それが最後となるであろう事は想像しておりました。だから、一人でも多くの方にこの機会に受講して頂きたいと言う思いはありましたが、和田が病気でもう最後の開催になると言う告知はどうしても出来ませんでした。

 

 

最後になるであろう事は想像はしても認めたくは無かったからです。

 

 

わずか2日間で和田の全てを吸収して頂く事は無理がありますが、受講された事でいろんな学びや気づきがあったと思いますし、刺激も受けられたと思います。

 

 

札幌だけではなく、青森や東京・神奈川に和田チルドレンが居ると言うのは、和田が亡くなった今、私はとっても嬉しく思っています。

 

 

和田チルドレンがますます活躍できる様に、私も全力でサポートして行きたいと思いますし、それが和田への恩返しの一つだと思って居ます。

 

 

そして、和田が言ってくれた私の力を必要としている方々に、これからもいろんな事をアウトプットして行くことを実行して行きたいと考えています。

 

 

悲しみを乗り越えて立ち上がるまでに時間を要してしまった事、その間ブログの更新が出来なくなってしまった事、お詫び申し上げます。

 

 

これからも、全国に売れるフローリストさんが多勢誕生する様に、活動して参ります。今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

 

思いの丈を書いてしまったので、長文となってしまいました。

私なりの新たな決意とご承知置き下さい。