R:「愛情飢餓」ですか?
K:はい。その原因になったエピソードがあって、僕は小学校の時、無遅刻・無欠席だったんですけど、小学校1年生の時に一回だけ寝坊してしまい、遅刻になってしまうという日があったんですね。僕はあまりのショックに、「もう休む!!」と大泣きしてダダをこねたんですけど、その時に一言「たかが遅刻でしょ?」と母親に言われたんです。僕にとってはそのたった一言が「親に見放された」という印象と共に深く心に刻まれ、その瞬間から親の存在を遠く感じるようになってしまったんです。それ以降、親の愛情を得るためには自分は完璧にならなきゃいけないんだ、努力し続けなければいけないんだという思い込みに囚われて生きるようになっていて。それに気づいたのが、きれいな景色や、海などを長時間見ていられなかったり、一人でいることが耐えられなかったりする自分に、「なんで自分は長時間一人でいられないんだろう?」と疑問を抱き、本で調べてみたら、「愛情飢餓」状態が根底にあるからなのだという事が分かったんです。
R:その事に気づいて何か変わりましたか?
K:そうですね。6割ぐらいは解消されましたね。というのは、浪人生の時に、丸々2週間、離れ小島で一人で生活したんです。読んだ本に「愛情飢餓は治せる」と書いてあったので、どうやって治せるかと考えた結果、離れ小島に行くことにしたんです。
R:離れ小島に?なんでまた?
K:本当はセラピーとかを受ければよかったのかも知れないんですが、当時、そんなお金もないし、荒行に出るしかないなと思ったんですよね(笑)離れ小島では、ただ朝から晩まで海を見てるだけの生活なのですが、話す相手が一人もいないので、自分と会話するしかないんです。その時に、自分を許す作業というか、子供時代の自分に「君は愛情飢餓じゃないよ」と言い聞かせ続けたんですね。いま思うと、ゲシュタルト療法と同じようなアプローチをなんとなくやっていたんですね。
R:すごいですね!18~19歳でそんな発想をお持ちだったとは・・
K:そうかもしれないですね。ま、それで「愛情飢餓」状態はだいぶ解消され、独りでいる時間が楽しくなりすぎて、2浪目に突入するわけなんですけど(笑)
つづく・・・
