「過去に捉われるということは、言い換えると、
現在を踏みにじるということだ。
そして、現在を踏みにじるということは、
人間としての自分自身を踏みにじるということなんだ。
たしかにね、辛い過去の体験は、ふれたくない。
けれども、大切なことは、自分自身の過去にたいして、
真っ向から向きあうことだ。
問題は、勇気なんだ。勇気が必要なんだ。」
宗教学者、山形孝夫氏が大学で卒論執筆にあたり
宗教哲学者、谷口隆之介氏に問いかけた質問
「先生は以前、自分の運命を切りひらくには、過去の悪循環を
断ち切るしかないと言われましたが、それは口では言えても、
容易にはできないし、むしろできないで苦しむところにこそ、
人間存在の本質があるのではないでしょうか」への
答え。
辛い過去、思い出したくもない、消し去りたい過去…
なかったことにする、サラッと流す、とらえ方を変えるなどなど
人それぞれの対処法があるでしょう。
どんな形をとろうと、大切なことがある。
それは、起きたことを、前後の感情を
一度、必ず正面からきちんと見つめ、
向き合うということ。
中途半端に処理したり、素通りしては
何かの形で、あるいは形を変えても本質は変わらずに
同じ問題がふりかかるか、ずっと心の奥底に
深く澱のようにたまっていく。
向きあった結果が「あれでよかった」とか
「次につながった」なら自分を成長させる、
豊かにする。
今抱えている自責や後悔。
思い出せば辛くなり胸が締め付けられもする。
暗い、深い闇に吸い込まれそうな気分になる。
首を横に振り、かき消そうとするも、
かえって闇を抱えるように思えてくる。
でも、そこから救い出してくれるものがある。
「そのとき、自分がどれだけ真剣に向き合っていたか。
力を、思いを注いでいたか」。
そうだ、自分はとんでもない失態をした。
それは本当に本当に自分を責めてしかるべきだ。
でも、そのあとどうした?
ちゃんと向き合った、行動した、誠意をもって臨んだ。
それならいいか。
闇はものすごい速さで消え去っていく。
一度立ち止まり、きちんと向き合う。
時間が経ちすぎていてもいい。
向きあった所から始まっている。
新しい流れができている。
運命を切りひらくには、過去の悪循環を断ち切る。
その為には勇気をもって過去と真っ向から向きあう。
何が良かったのか、悪かったのか、不要だったのか、
足りなかったのか、どうすればよかったのか、
時には角度を変えて…
そして、前へ。