若い頃は、「企業」「社会」「国家」という様な、
組織について、役割り、責任も含めて、ろくに意味も解らなかった。

どこかで、一匹狼の様な気持ちが心の中にあって、
拓ける手段として、結局は個の能力がモノを言うと考えていた。

自分がいた会社より大きな企業だとしても、
「他人任せで弱い組織に負けない」という
今となっては、あまり意味のない「チカラ」に自信を持っていた。

株式会社である以上、経営戦略上、
最も大切なことは、組織として有益であること。
カネだけでなく、ヒト・モノが含まれることは言うまでもない。

経営者や管理職の人間は、いえ、本来、所属する社員全員が、
利益を生み出していく「仕組み」を作り、守っていく必要がある。

ところが、この「有益なこと」が「会社」という組織から、
「個人の有益なこと」と勘違いし始めると、
大きく軌道を逸れてしまう可能性が出てくる。

また、どこぞの会社で数千億円の着服をした経理が逮捕された。
このニュースを見て、殆どの人が、私利に走った犯罪者と、
被害者が企業であると理解されるだろう。

では、もう少し小さな話ではどうだろう。

企業内で目には見えない派閥を作り、
同じ企業内でありながら足を引っ張るような人たち。
そのやり口は汚く、企業の発展を妨げることがある。

しかし場合によっては、富と権力を集中させることによって、
より大きな利益を生み出したり、
大きく社会へ貢献できる可能性もあるかもしれない。

もう少し小さな話にしてみよう。

プロジェクトリーダーが、2社の業者の何れかを選択する時、
安価な業者を選択することによって利益を生ませようとするか、
実績を買って、利幅は薄くとも赤字にならないことを選択するか。
どちらが、企業にとって有益だろうか。

では、社員ひとりひとりまで掘り下げてみよう。

平日の日中、都内のパチンコ屋さんに営業らしき人物がいる。
喫茶店で、寝ているサラリーマンがいる。
1時間のうち10分程度、喫煙室にいる人がいる。

こんな解りやすいパターンだけではない。

就業規則のグレー部分を突いてくる人もいる。
社内制度を私利のために使おうとする人もいる。

残念ながら、企業の有益が見えずに、
私または個の有益ばかりに目がいってしまう。

モラルハザードやモラルハラスメントもそうだけれども、
公の目と心を持てる社員で形成された企業、
そして日本社会を目指したい。

社員ひとりひとりが、企業の有益を考えられる組織。
組織は、そのために教育を行っているのだろうか。

まだまだ、道程は長い。