毒親の得意な決め台詞が『惚ける』だというのは前回紹介したが、この言葉より上位の台詞がある。
『惚ける』が進むと『キ〇ガイ』になり、さらに『キチ〇イ』の度合いが高まると『病気』になる。
これらの使い分けは毒親の主観で行われ、俺的には『惚ける』に至っていない場合でも気軽に『キチガイ』『病気』の判断が下される厄介なものだ。
小学校3年生の頃だったか、ガンダムが大流行していた。
学校の休み時間の話題はガンダムばかり。
自由帳には自筆のモビルスーツのイラストばかり、というのが当時の小学生の日常。
みんななけなしの小遣いを握りしめて模型店へガンプラを買いに行ったものだ。
2000円のキットを買うのが憧れだったが、小学校低学年には300円がやっと。700円のキットで御の字だった。
俺も例にもれず、チマチマと300円のキットを買っては集めていた。
作ったモビルスーツのことはよく覚えている。
ガンダム、ガンキャノン、ジム、シャア専用ザク・ズゴック、グフ、ドム、ゲルググ、ジオング
作る途中にうっかり部品を折ったりした不細工な代物だったが、大切な「作品」いや「宝物」だった。
そしてジャブローやソロモン、ア・バオア・クーを思い描きながら遊んでいた。
しかし、毒親はそれが気に入らなかったらしい。
ある日毒母に「いつまでそんな幼稚なモンで遊んで、ロボットキ〇ガイかアンタは!」と言われた。
「『お人形さん遊び』はいい加減に卒業せられぇ!」とも言われた。
また得意の決めつけ。
「幼稚」と言われたことがとてつもなく屈辱だった。
「キチ〇イ」と言われたこもショックだった。
「お人形さん遊び」…自分の大事にしている物を、さもつまらない物のように言われたことがとても悔しかった。
「何もしていないのに、勉強だって頑張っているのに、なんでここまで言われるんだろう」
悲しさと共に怒りがこみ上げた。
でも毒親の洗脳は恐ろしい。
「幼稚」「お人形さん」とレッテルを貼られたプラモデル達が本当に幼稚でつまらない物に見えてしまったんだ。
俺は自分でそれまでの「宝物」を叩き壊し、または庭で火を点けて燃やした。
もうひとつのエピソードがある。
小学校5年生の頃だった。
遠足のおやつを買いに行った時のこと、ガンダムの食玩のついたお菓子があった。
2頭身にデフォルメされたガンダムだったかジムだったか…
ガンダムのことなどすっかり忘れていたのだが「あ、懐かしいな」と思って買った。
そして、それを悪いことに毒母に見られてしまった。
あの時投げかけられた、薄ら笑いを浮かべた毒母の顔と言葉が今も忘れられない。
「あんた、まだプラモのアホウ病が治らんのじゃなぁ」
汚物をぶっかけられ、身体中に塗りたくられたような情けない気分になった。
カッと頭に血が上り、食玩ごとお菓子の箱を叩き潰した。
あまりよく覚えていないが、「なんでぇ、その態度は!」と毒母に説教を喰らったような覚えがある。
毒親は、自分の価値観に合わない物事をとにかく嫌う。
価値観というか、自分の理解の範囲の外にある物と言うべきか。
二言目には「子供が大事」「愛情を注いでいる」と言うが、本当は信用なんかしていないし、理解しようなんてしてもない。
そうじゃないと子供が大事にしている物を矮小化なんて出来るはずがない。
だから「幼稚」「〇チガイ」「病気」なんて言葉が気軽に出てくるんだ。
もしかしたら、子供が自分の理解の外に出ようとすると、それを「反抗」と見なして悪罵と共に憎悪を投げつけていたのかもしれない。
今の俺にはそんな風に思えて仕方ないんだ。