同年代と話していている時、TVやマンガの話になると全くと言っていいほどついていけない。
「ドラゴンボール」を知らない。「北斗の拳」も知らない。
「ルパン三世」も「シティハンター」も分からない。
そのことを正直に話すと「どっか外国にでも行ってたの?」と大真面目に訊かれてしまう。
それと言うのも毒親にTVやマンガを禁じられていたからなんだ。
毒親はTVが嫌いだった。
「TVはバカが見るもの」「TVには脳ミソを狂わせる電波が入っているから、子供が見るとバカになる」
大真面目で言っていた。
…とは言っても小学校に入った頃には「ドラえもん」くらいは見せてもらっていた。
しかし前回紹介した「マンガ引き裂き事件」以降、アニメは全く禁止になった。
アニメや特撮は「子供が見るものだから幼稚。小学生にもなって見ているのは恥ずかしい」
TVで流れてる子供向け番組はバカバカしく、見ているとTVと現実の区別が分らなくなるというトンデモな理屈を述べていた。
「学校でみんなと話が出来ないから『○●』を見せて」と頼むと「TVの話しか出来ないつまらない友達なんかおらんでええ!」と鬼の形相で叱られた。
小学校低学年は子供だと思うが…高学年でも充分子供だろ…
ただ一つ見てもよいTV番組はNHKの大河ドラマだった。
小学校2年の時に「おんな太閤記」を見て、俺が興味を示したので大河ドラマだけは見てよいことになった。
先日TSUTAYAでDVDを借りたが、何であの時俺が興味を示したかさっぱり分からない。
恐らくは「嫌がってご機嫌を損ねたら怒られる」と思って、わざと興味のあるフリをしたのかもしれない。
と言うのも、翌年の「峠の群像」はほとんど印象に残っていないからだ。
それからというもの、歴史の本が大量に与えられた。
信長・秀吉・家康の三英傑の伝記から始まり、信玄に謙信。
さらには当時はマイナーだった伊達政宗、はては九鬼嘉隆といったマニアックな武将の本まで。
本を読むのは嫌いではなかったし「読むものが他にない」状況では、貪るように読んだ。
おかげで「歴史の知識に関しては高校生並み」という歪な小学生が誕生した。
この表現は誇張でも何でもない。
何しろ小学校4年生で大学の共通一次試験の日本史で90点を取れたのだから。
(当時は共通一次試験の問題が新聞誌上に掲載されていた)
しかし、他の「普通の」小学生の一般常識は全くなかった。
小学校3年生の頃は「宇宙刑事ギャバン」が流行っていたが、まったく話についていけず寂しかった。
話の輪に加わらず、たまに口を開けば「信長ガー、秀吉ガー」と言ってる俺は「変人」扱いされて孤立した。
TVだって本だって、映画だって本当はみんなと楽しく話して盛り上がりたかった。
でも、俺は毒親の洗脳?強制?によってその機会を奪われてしまった。
何しろ俺だけがみんな知っていることを知らない。話に加われない、笑えない。
本当は寂しくて悲しくて仕方なかった。
そしてそれがねじれ、逆に同級生をバカにし始めた。
「こいつらはバカだから、あんな幼稚なものを見て喜んでるんだ」
「このクラスの奴らはみんなバカだから、歴史の話をしても分からないんだ」
それからというもの、さらに小難しい歴史の本を読んで没頭した。
そしてさらに自分で毒親の洗脳を強化していったんだ。
たまたまクラスメイトは良いヤツが多かったから、孤立した挙句にイジメられる…なんてことはなかったが。
高学年になる頃には、すっかりアニメを見ようという気にもならなかった。
ドラマは解禁になり「西部警察」は見てもいいことになった。
まあ、それはそれで新たな火種の元になったのだが。
ただ同級生との話についていけなのは困るので、月イチ行く散髪屋でジャンプをむさぼり読んで「キン肉マン」のストーリーだけは必死に追っていたが(苦笑)
その後「歴史が唯一の取り柄」なのは変らず、大学では日本史を専攻した。
しかし、あの時もっと多くの情報を与えられていれば、もっと違う才能も花開いていたかと思うと残念でならない。
あの時、毒親は何を考えていたのだろう。
「TVを見せず、歴史を勉強させれば天才になる」とでも思っていたのだろうか?
毒親は今でも「あの時大河ドラマを見せたおかげで歴史が好きになって大学に行けた」と信じている。
今でも恩着せがましくそのことを言う。
あくまでも「TVは見せていた」と言い張る…大河ドラマだけだけどTVはTVだものな。
いや、そうじゃなくて。
俺はあの時、同級生と同じ話で盛り上がりたかったんだ。
アンタらは子供からその機会を奪ったんだぜ。
子供が子供らしく成長できる機会を奪ったんだ。そのこと分かってるのか?
それで「あふれる愛情をかけていた」!?ふざけるな。
やっぱり毒親の思考は一般の子育てからは乖離してて、支離滅裂で、さらには狂ってるな。

