ざっくりわけて、演劇には2種類あると考えます。
「誰かの物語」 と 「私の物語」
前者は、
「なるほどね~」と分析しながら見れる、客観的になれる、「わかるわかる~」とどこか冷静な自分を保ってられる。
後者は
なんだかわからない、何でもないシーンなのになぜか涙が止まらなかった。イライラし通しだった。胸が苦しい。
まさに渦の中に巻き込まれたような感じ。
前者の場合、ブログで発信したりしやすい(笑)
後者の場合は、後からじわじわ感情がよみがえってきたり、眠れなかったり、ずいぶんたってからふと思い出したりして胸がぎゅっとなったりする。
どっちがいいとか悪いではなく、そうやって創っている訳です。
たまに、前者を意図して創ったけど、役者が突出して後者になってみたり、後者を意図してたけど、役者がよくわかってなくて前者になってしまったりもします。
最近の例で言うと、ナショナルシアターライブでやってた「イェルマ」とかそうかなと思います。
原作では、「イェルマ」となっている役名が、「Her」となってるのは意味深いなあと思います。
舞台がアクリル板で囲まれていて、観客は、彼女を水槽の中のマウスのように客観的にみる事ができました。
とまあ、要するに、2種類に分類している訳ですが、観客も自分はどっちが好きなのか知ってるといいですよね。
あんまりそんな風に分けて芝居を観てる人もいないかもしれませんが。。
で、Prayers Studioの場合はどちらかというと後者です。
だいたいは、観劇の後に、シェアタイムがあって、ぷち俳優体験をして頂くドラマトライアルという形式で公演をやっていますが、たまに公演だけの時があります。
シェアとか、俳優体験が苦手~という方にもお芝居に来て頂きたいなという意図なのですが、そうすると普段のドラマトライアルに慣れている方は、「もやもやする~~」と言って帰って行かれます(笑)
アウトプットする事で、いつもは整理してすっきり帰れるのに、芝居中のもやもやをもって帰りたくないらしい方もいらっしゃるようです。
今は、整理できないので、帰ってじっくり考えますとおっしゃる方や、「すごすぎた」とだけアンケートに書いていかれる方もいらっしゃいます。
「ダム・ウェイター」という作品は、頭で理解しようとすると理解できません。
頭で理解しようとすると、ごちゃごちゃになって、どう考えていいのかわからない。。
つまらない。。
だから「不条理演劇って嫌い~~」というのが、不条理演劇が避けられる理由。。
でも、私達の日常は常に不条理な事だらけです。
どれだけ努力しても好きな人に振り向いてもらえなかったり、頑張って勉強しても大学に落ちたり。
普通に考えると不条理な事だらけ。。
だから、そんなに不条理ってハードルが高い訳でもないのです。
コツは、不条理の渦の中に飛び込んで翻弄されてみる事です。
頭で見る不条理に疲れたら、心で観る不条理演劇。
Prayers Studioの演劇は、あなたの物語になり得ると思います。