1950年代の長崎と1980年代のイギリスを舞台に日本人女性・悦子の生き様を描き出す。
1980年代のイギリスで自宅を売りに出す悦子のもとへ娘のニキが訪ねてくる。そこで母が1950年代に生活していた長崎の話を聞く事になる。
ここからネタバレ注意⚠️
ここで注意したいのは、いわゆる「信頼できない語り手」(物語の語り手が、意図的または無意識のうちに読者を欺くような語り方をする)というのが入ってくるところだ。
悦子が作家志望の娘のニキに1950年代の長崎の生活を語るのだが、そこには佐知子と、その娘の万理子という人物が出てくる。そのエピソードが本物なのか嘘なのか?後半になるにつれて観客は考えさせられる事になる。
悦子を演じるのは老齢期を吉田羊、二十代を広瀬すずが演じている。
昭和50年ごろの朝鮮戦争の特需で景気が良かった日本の雰囲気をよく出している。そんな中で原爆の被曝による差別問題が重くのしかかってくる。
長崎弁を喋る広瀬すずも昭和の大人の女性が凄くハマっていて良いですね。佐知子演じる二階堂ふみも妖しい雰囲気を出しています。吉田羊はほとんど英語の台詞だったねw
後半のクライマックスに万理子と自殺したケイコが実は同一人物だと、いうことがわかる。
ここで観客は混乱必至だろう。
ということは、今までの話は嘘なの?
どこまでが本当なの?と疑問がわいてくるだろう。
でも、そこは観客に委ねているようにも見える。
その曖昧なところを味わいとして反芻するといいだろう。
わかりやすさに慣れた現代人には、良い刺激になると思う。