第1 はじめに

 近年、裁判員裁判において裁判員を除外する決定がなされることがよく見られます。

 法が定める重要な刑事裁判においては、一般人の感覚を司法に反映させるべく、国民から選ばれた裁判員が裁判官と共に判決を下すこととされています。これが裁判員裁判です。

 しかし、被告人が裁判でかかわった人に対して恨みを強く持つ結果、裁判員に選ばれた国民に対して危害を加えてしまう恐れがあります。このような場合が具体的に認められる場合、裁判所は、検察官側若しくは弁護人側からの請求で、裁判官だけの公判に変更することが出来ます。(裁判員法3条)これは、本来の裁判所のメンバーであった裁判員である国民をそのメンバーから外すことになりますから、除外決定と呼ばれるのです。

第2 きっかけは

 その除外決定が、近年、よくなされているのです。

 きっかけは、2016年5月に福岡高裁小倉支部の殺人未遂事件の初公判後、包丁に来た特定危険指定暴力団「工藤会」系元組員らが裁判所の外で裁判員に対し、「あんたらの顔は覚えとる」と声を掛け、その後裁判員法違反(請託、威迫)容疑で逮捕された事件でした。

 その後、全国の裁判所において、裁判員を除外する決定が下されることが多くなり、2016年には13人の被告人に関する公判から裁判員が除外されたそうです。(毎日新聞2017年5月14日付朝刊)

 

第3 裁判員裁判は今後どうなるか

 裁判員の身を守るためには除外決定をするのが妥当です。しかし、裁判員が裁判から外れることは、その判決に一般国民の意思が反映されることが出来ないということです。国民の安全を取るか、より良い判決がなされる環境を取るか、どちらを重視するかの問題になります。

 また、裁判員裁判において裁判員がいたからと言って判決内容はそれほど変わらないのではないか、という疑問も投げかけられていますが、この点はまたの機会に。

 いずれにせよ、今後の動きに注目ですね。

 
 

2017年5月14日の記事

https://mainichi.jp/articles/20170514/k00/00m/040/082000c

 

裁判が始まってから途中に除外されたことの記事

https://mainichi.jp/articles/20160714/k00/00m/040/108000c