第1 初めに
もう年末ですね。来年からは事業者の方におかれましては、雇われている労働者の方についての以下の問題が生じますので、ご注意ください。
第2 改正内容
1 有期労働契約の社員について
2013年4月1日から後に入った社員(契約を更新した社員も含みます)については、それから5年たった2018年4月1日以降、5年間がたつ社員ごとに順次、社員の側から雇用主に対して申し込みがあれば、これまで期間の定めがあった契約が期間の定めのない契約に代わることになります。
つまり、これまでは期間の定めがある社員についてその期間がくれば「お疲れ様、もう会社に来なくていいよ」と言えたのが、これからはそれが変わってしまう可能性があるということです。
もともとは〇〇年までということで契約したのが、社員の申し出次第で○○年以降も雇わなければならないことになるということなので、雇い主の側からすれば不利益になりかねません。逆に、安定した雇用を求める社員の側からすれば利益になるでしょう。
2 派遣社員について
2015年10月1日の施行日以降に締結・更新された派遣社員の契約については(働くことのできる期間(派遣可能期間)が原則として3年間となります。
つまり、2015年10月1日から後に入った派遣社員(契約を更新した社員も含みます。)については、それから3年経った2018年10月1日以降、3年間がたつ社員ごとに順次、その同じ派遣先に職場で働くことが出来ないことになる可能性があるのです。
※これは職場毎の具体的な状況によりますが、派遣社員というのが本来の正社員の契約に対する例外的な雇われ方であるという考え方を前提にすると、そのような派遣社員の雇い方が簡単に認められる様な社会はよろしくないから、あえてその派遣社員の働くことのできる期間を3年に短くすることで、雇用主が派遣社員を普通の正社員等に雇うことを促進しようというのが法制度の趣旨だと思われます。
以上の点が2018年内に生じる問題ですので、一般的に2018年問題と言われています。
第3 雇い止め問題とはー無期契約の転換に対する事業者の対応
1 具体的な対応は何か
上記の労働契約法の改正(無期労働契約への転換の法改正)にたいして、その不利益を免れたい雇い主からは以下のような対応をすることが考えられます。
つまり、有期労働契約の社員から無期労働契約への転換の申し入れがなされるより前に、その契約期間が満了した場合には新しい内容で契約をし直すことです。つまり、契約の「更新」ではなく、まったく別個独立の社員として再度雇用し直すのです。
そうすれば、5年間にわたって期間の定めのある社員を採用したとの要件の、5年間の要件は再び最初から計算することになりますから、無期契約への転換の申し入れがなされることはありません。
2 東北の大学の例
東北大学は、これまで雇用契約の更新を繰り返してきた非正規職員の多くを来年3月末に雇止めにする方針を固めています。
雇止めとは、非正規職員の雇用期間が満了してその契約を更新せずに契約を終了させることです。そして東北大学は雇止めにした職員らを対象に、来年度、職務などを制限した「限定職員」という形で再度募集をし、試験を経て再度採否を決定する予定です。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201709/20170930_13026.html
3 雇止めによる脱法行為に対して労働者はなす術がないのか
これに対して、労働者の側からは、いわゆる雇止め法理に基づき、再度契約の成立を求めることが出来ます。労働契約法19条によれば、契約が満了した労働者は、雇用主に対して契約の更新の申し込みをし、それに対して法定の要件が認められる場合、雇用主は更新に対して承諾したものとみなされます。
つまり、雇い主と社員との間で合意があったものとみなされるので、契約が更新されるのです。
そしてそのように契約が更新されれば、今回の改正労働契約法が適用されますから、無期契約への転換はなされうることになります。
第4 おわりに
いかがでしたでしょうか。2018年は以上の通り、労働問題についてホットな話題が新聞を握安ことになるかと思いますので、注目してみるのもいいかもしれませんね。
〇改正法の内容
| 条文 | 改正年 | 施行日 | 内容 | |
| 労働契約法 | 18条 | 2012年 | 2013年4月1日 | 2013年4月1日以降に締結・更新された期間の定めのある労働契約について、 それから5年たった2018年4月1日から労働者は、 雇用主に対して期間の定めのない契約への転換を申し入れることが出来る。 |
| 労働者派遣法 | 40条の2 | 2015年 | 2015年9月30日 | 2015年10月1日に締結・更新された派遣契約について、 派遣社員が個人単位で同じ派遣先の事業所で働けるのが3年であるから、その期限が2018年9月末になる |