豊かさとは何か | ビジネスリーダーが身につけるべき 経営観・人間観・社会観 を磨くことができる ビジネス哲学対話のブログ
 

「よい暮らしをするために、どれだけあればあなたは十分と考えますか?」

 

人間の際限のない欲望に、このように警鐘を鳴らしたのは、ロバート・スキデルスキーである。彼は、ケインズ研究の権威として知られる経済歴史学者である。

 

誰もが老後の人生までいったいいくら必要なのか考えると不安だ。もちろん、おカネはないよりあったほうがいい。

しかし、スキデルスキーの言葉を聞いて、

「はて、自分はいくらお金があったら満足するのだろうか」「自分にとっての、よい暮らしとはなんだろうか」と立ち止まって考えてみるのもいいかもしれない。

 

一日の終わりに安心して眠れる家があること

そこそこ、きちんとした身なりができること

健康を維持できる食事ができること

 

最低限の暮らしがそれであるとするならば、

よりよく暮らす(と自分が思う)ために、自分としてはあといくら位あれば、それが実現するのだろうか。

 

参考までに、スキデルスキーが、よい暮らし、よき人生に必要な7つの「基本的価値」を提起しているので、ご紹介したい。

 

1.健康:身体が十全に機能し、生物として申し分のない状態であること

2.安定:自分の生活が戦争、犯罪、革命など社会的・経済的な動揺に脅かされることなく明日以降もおおむね従来通り続くと妥当に予測できる状況であること

3.尊敬:それぞれの人が、他の人の意見や姿勢を重んじ、無視したり粗略に扱ったりせず、それを何らかの形で表明できていること

4.人格または自己の確立:自分自身の理想や気質や倫理観に沿って人生を設計し実行する能力があること

5.自然との調和:自然と調和して生きることは、よい暮らしの一要素である

6.友情:人と人とがおもいやりでつながっていること

7.余暇:外から強制されてやるものではない(仕事も含む)時間があること。


企業経営はどこまでも成長を追求するものである。

しかし、今後日本では大きな経済的成長が見込めないという前提に立てば、これまでとは異なる視点も必要になってくるかもしれない。

自分が携わる事業で何を目指すのか、どのような商品(サービス)が求められているのか、あるいは、人のマネジメントのあり方はどうすべきなのか。

20年後の日本の姿を見据えて、企業経営者は、一度立ち止まって考えてみる必要があるのかもしれない。

 

参考文献:

“How much is enough?” Robert Skidelsky and Edward Skidelsky 2012, 邦訳『じゅうぶん豊かで、貧しい社会』筑摩書房(2014