[おい。ちょっと聞いてくれないか。」
「今、夢を見た!」
花札をしていた関係者達にあわてて叫んだ。
オオカミの大群が出た、夢の話を聞かせた。
「その場所は、まるやまの向こうのことではないか・・・・」
と誰かが、つぶやいた。
ばんしは「この山のどこかに
古代、神社として建立され多くの人々に尊ばれた神があり、
何かの原因で今は土に埋もれたままの
神社の御神体があるはずだ。
それを探し出して
「ほこら」
を作ってあげなくてはならない。」
と話した。
しかし関係者達の顔色は一瞬にして変わった。
なぜならその山の木の枝一本、
笹の葉一枚でも勝手に切れば
切った人は、翌日から寝込んでしまう。
又、ある者は病死する。
又、ある者は気がふれておかしくなってしまう。
又ある者は列車事故で死する。
こんな具合で
地元の人々は古代から山の神原「やまのかんばら」
と恐れられていた山の立ち入り禁止場所だったのだ。
先祖代々その場所に入ることなど、考えられない場所だったのだ。
草や木を切るだけでも恐ろしいのに、
中に入ってそれも神様を探すなど、
そのような、罰あたりなことを・・・
身震いするようなことなのだ。
ばんしは、関係者全てに話した。
「もし神のお使いと交わした約束で、
山に入り、山の神様の罰が当たるなら、全て私に罰を当てて下さいと宣言する」
「あなた方に迷惑がかかるよな事は絶対にしない。そう約束する。」
そこで関係者達は神妙にうなずいた。
昭和20年代の終わり頃の2月に関係者達と山に入った。
寒い寒い冬の、小雪が舞っている頃に
神の山に入り、夢で見た大きな松の木のあたりに到着した。
ところが探そうといっても、誰も鎌も鍬も使う人がいない、黙って立っているだけだった。
ばんしは、はふと我に返り、
そうだ
「山の神のお使いとの、お約束した神を探しますが、
もし神が罰を与えるのでしたら、全てこの私に当てて下さい。」
と山々にこだまするくらい
大きな大きな声で山全体に叫んだ。
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