前エントリーで少し触れた、島伝いの鹿児島〜沖縄間マイクロ波回線…

NTTのマイクロ波回線は2ルート設置されました。

S47年開通の第1ルートは、知覧〜屋久島〜悪石島〜奄美大島〜徳之島〜沖永良部島〜沖縄本島

S57年開通の第2ルートは、錦江町〜口永良部島〜口之島〜宝島〜奄美大島〜徳之島〜沖永良部島〜与論島〜伊平屋島〜沖縄本島

(徳之島と沖永良部島の局は別々に設置)

※地図等の掲載は権利関係の問題があるので、マップ等で確認願います


電話回線やテレビの全国中継回線に使われましたが、今は海底光ケーブルに替わり、海上マイクロ波回線は廃止され、島々にあった“NTTの”電波塔は撤去されています。
光回線の方が容量が大きくバックアップ等で残しておくには、今や民間企業となったNTTにとってその維持費はバカにならないからでしょう…
※現在も国土交通省のマイクロ波回線は健在(南九州市川辺(屋敷平)〜屋久島〜中之島〜悪石島〜奄美大島(湯湾岳)〜徳之島〜沖縄本島(西銘岳))
島々にとっても“橋桁”になっていただけで、そこから回線が降りて島に繋がっていた訳でもない様で、あまりメリットは無かったかも?(今でも十島では光ケーブルが陸揚げされて繋がってたりは無い様子)


その島々に、H9年頃に旅行したことがあり、その時に写した写真を掘り出しました。スキャナーとかは持ってないので、スマホカメラでの接写です。
これが、現役時の宝島中継局…イマキラ岳展望台から。
そう言えば民宿で、これのメンテナンスに来ていたNTTの社員さんと同泊でした。
ネット検索で現状を探ると、タワーも、建屋上のパラボラも台座ごと無くなり、台座の基礎が残る建屋のみになっている画像がありました。口之島と悪石島のNTT跡地も同様…

こちらは、沖永良部島…
知名(多分)中継局。
沖永良部のもう1つの中継局は和泊にありました…が、写真は撮っていなかった模様。

この島伝いルートが出来る前、見通し外(OH)通信による沖縄中継回線が設定されていた様です。ルートは大浦(南さつま市)〜奄美大島(2地点)〜沖縄本島
(OHは“Over-the-horizon”の略)
ザクッと説明すると、通常、VHF以上の電波は宇宙へ突き抜けるため、通信は見通し範囲で行います。
しかし、一部山の稜線で屈曲したり対流圏で僅かに反射されてたりもするので、その現象を利用して通信する方式。
届く電波は微弱になるので、大型のパラボラアンテナが必要になります。
昔は、沖縄へはこの方式を使って、テレビ番組や電話回線が送られていました。(S39年開設、S59年廃止)
まあ、小笠原諸島等の絶海孤島への通信は、電話も含め衛星や海底ケーブルが使える様になるまで“短波通信”を使っていたので…
今、OH通信を現用しているのは自衛隊とかの軍用くらいじゃないかと…今、30代以上で関西で育った方なら分かると思うのですが、六甲山の上に米軍の巨大なパラボラが垂直に立っていました。アレですね。
(エラそうに語っていますが、私がこの辺りの事を知ったのは、このネタを集め出してから(笑))

そして、沖永良部島で撮っていた、航空自衛隊「第55警戒隊(当時は警戒群)」基地のOHアンテナ。
航空自衛隊警戒隊は、敵侵入を早期に察知し他隊にも通報しなくては、なので、自前の直接的通信網が必要、ってところでしょうか。片側の対向局は…高畑山?もう一方は沖縄本島辺りに当たるのですが、マップ等で探索しても該当する基地に北向きのOHアンテナが見当たらず…
テレビ番組も送られた電電公社(当時)のアンテナは、もっと大きかった様です。容量の関係?

レーダーの写真も…これは更新されていて現存せず。
基地へ向う道路脇に在った…表札?“群”から“隊”に変わった今、どーなったのかな??

十島の現在のテレビ(地デジ)事情も。
村の中心となる中之島(但し役場は鹿児島市内)の御岳頂上(火口)外縁部に中継局が設置され、各島々は共聴アンテナを立てて視聴…島の位置によっては屋久島や奄美の電波も視聴可能って話も聞いた気がするがアナログ時代の話で…

その、中之島中継局への電波の“道”もなかなか…
NHKと民放で違います。
NHK(鹿児島)は奄美大島の名瀬まで独自の光ケーブルで結び、そこから電波で奄美諸島と、中之島へ。
(中之島←←名瀬→瀬戸内→徳之島…)
民放は共同で、枕崎〜種子島(南部)を経て中之島へ。そこから更に名瀬へ、そして以南の奄美諸島へ…(種子島→中之島→→名瀬→瀬戸内→徳之島→…)
※名瀬→瀬戸内は奄美大島の島内

民放が光ケーブルを利用しないのは、維持費が電波(放送波)使用に比べて多大になるから、だとか。
この、共に設定している中之島〜奄美大島のルートの距離が約170Kmあり、国内での放送波中継距離としては最長、だそうな。
高さを稼ぐためとは言え、活火山である中之島御岳の火口の縁(やや下)とは…最後の噴火はT3年で、S48年にも噴煙を出しており、現在まで常時水蒸気を噴出しております。
地下活動も見られる様で近く「常時観測火山」に追加される可能性もあり、もしも………