今年最後というのに、このハズシ様……。
今日の紅白歌合戦で、由紀さおりが歌うのは
昨年同様『夜明けのスキャット』。
彼女のデビュー曲であり、代表曲でもあるこの曲、
本当に変わった曲です。
ほとんどがタイトルどおりのスキャット。
そして二番は歌詞あり、なんだけと内容が謎。
おまけに歌の出だしは、サイモン&ガーファンクルの
サウンド・オブ・サイレンスの模倣と揶揄される始末。
一体どうしてこの曲が当時、多くの人の心を惹きつけたのか。
この曲はもともと『夜のバラード』という
ラジオの深夜番組のオープニングテーマ(歌なし)でした。
やがてリスナーから曲への問い合わせが急増、
それを山上路夫が詩をつけて、
歌詞入りの歌でリリースしたものです。
二番の歌詞も、なんだかよく分かりません。
時の無い世界に ふたりは行くのよ/
時計は 止まるの/夜は流れず 星も消えない
愛の唄 ひびくだけ/(一部抜粋)
この曲は、東大紛争・安田講堂占拠の直後の
1969年3月にリリースされています。
そしてこの前の年にリリースされた岡林信康の曲
『友よ』の中でも登場していたように、
タイトルの『夜明け』という言葉は、
『変革』のメタファーでもありました。
希望や現実への挫折感を
そのタイトルや短い歌詞の中で象徴的に示して見せた
この作品は、多くの予想に反して大ヒットし
150万枚と言うセールスをたたき出しました。
日本国内では安保闘争、大学紛争などの学生運動が、
また正義なき戦争となったベトナム戦争に対する
反戦運動がピークを迎えていたこの頃、
漠然とした不安感とともに
遠い夜明けを待ち続ける世代の意識を、
この曲は代弁していたのかもしれません。
あれから四十四年。
社会も人間も大きく様変わりして
もう『夜明け』どころか
現状が『昼』なのか『夜』なのかさえ興味が無い
人々で溢れているこのご時世です。
歌は時代の中で生きていると言うことを
改めてこの曲は教えてくれているような気がします。
今年一年もこのような奇っ怪なブログ(苦笑)に
お付き合いいただきましてありがとうございました。
では皆様、よいお年をお迎えください。
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