苦悩する鷲。(後篇) | カボチャ大王のブログ

Hotel California / Eagles




アルバム「ホテル・カリフォルニア」は、
イーグルスにとって、またウエスト・コースト・サウンドにとって
頂点を極めた作品となりました。

そしてタイトル・チューン「ホテル・カリフォルニア」も、

イーグルスのもっともヒットした曲として、

またロック史に残る名曲として、その名を刻むことになりました。

いやー、いいねこの曲。ギターの掛け合いが最高 !

まさにイーグルスの最高傑作! 当時はみんな手放しで賞賛したものです。


その後イーグルスは、このアルバム以降、陰りが見えはじめます。

このアルバムのヒットを足がかりにツアーを繰り広げますが、

1977年には、ランディ・マイズナーが脱退。
そして次のアルバムが出せないままにずるずると時が過ぎ、
やっと1979年にアルバム「ロング・ラン」を発表。
しかし、1982年にその歴史に一旦終止符を打ったのです。



しかしすでに発表当時から、この曲の意味深で不可解な歌詞には、

いろいろな噂がささやかれていました。

今では定説になりつつある、敗北宣言としての「ホテル・カリフォルニア」。

今でもこの曲には、じつにさまざまな解釈が行われていますが、

ここでは拙者なりの解釈をまじえてお話しします。



旅の疲れを癒そうと立ち寄ったホテル。
しかしそこは、現実とも幻想とも区別の出来ない
「過去」を精算できない人たちが怠惰に日々を送る夢のような世界だった。
私はここに居続けてはいけないと思い、出口を探すのだが……。



とにかく、じつに意味深な歌詞の連続です。

とくにひっかかるのは以下のような歌詞。( )内は意訳です。


We haven’t had that spirit here Since nineteen sixty-nine
ワインを注文した際の、答えがこのセリフなのですが、
69年以降、そのようなお酒は用意しておりません。
1969年で、ロックは終わったんだよ)。


“This could be heaven and this could be hell”
ここは天国でもあり、地獄でもあるのさ。
(ここは現状を割り切って受け入れれば天国、
深く自分の足下を見つめればこの現実は地獄)。

But they just can’t kill the beast
だれにもその怪物は殺せない。
(商業主義に打ち勝ったミュージシャンはいない)
あるいは(自分の心の中の魔物は殺せない)。

I had to find the passage back to the place I was before,
そして「わたし」は、もと居た場所へ戻ろうと出口を探したが、
“We are programmed to receive,You can check out
anytime you like… but you can never leave”
( ここは、運命を受け入れるべき場所なのです。
チェックアウトはご自由に。でもここからは逃げられませんよ )。

このチェックアウトも意味深長。解釈によっては「死ぬこと」と捉えています。

個人的には、「解散」とか「引退」のニュアンスかなあと思ったりするのですが。



これらは、もちろん解釈のひとつにしかすぎませんし、正解でないかもしれません。
どちらにしても、この歌詞は哀しい。




本来自分たちがあるべき姿との乖離。産業ロックと化したアメリカのロック。

イーグルスはもうだめだよ、こんなことやってちゃ。ロックは死んだんだよ。

醒めた視線の奥にただよう絶望感。




そしてもうひとつ、意味深なこのアルバムジャケット。
黄昏に沈んでいくようにおぼろげに佇むホテルのシルエットが美しい。
でも、先ほどの歌詞がオーバーラップしてくると……。
このたそがれるホテルこそは、商業主義に堕落して凋落してゆくロックの姿、
そしてそこから抜け出せない、行き場を失った自分たち=イーグルスの姿……


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大ヒットとスターダムの華やかさの裏で、
すでに彼らは、自分たちが理想の音から離れて行き詰まっているという現状を、

冷静に見つめていたのでしょうか。



今回の参照音源は、初期の名作 Take It Easy

結局この頃が、イーグルスにとって一番幸せだったのかも…。




参照例URL

http://www.youtube.com/watch?v=OPospvRqP_s