東鳩という菓子メーカーがあった。過去形で書いたが、現在は東ハトという名称になっていて、同じ菓子メーカーの不二家と同様、山崎製パンの傘下に入っている。
その東鳩が、私の幼稚園から小学校低学年くらいの時分に「イタリアパン」という製品を出していた。菓子パンというカテゴリーに入るのだろうか。甘めの味のついた生地を焼いただけの、棒状のやや堅いパンである。これが5本2段に重ねて10本、いかにもビニールという感じの袋に入っていた。
袋にはベネチアのゴンドラの絵が書いてあった。
妙なものに執着すると思われるかも知れないが、この「イタリアパン」現物の写真が残っていないようなのである。日本中くまなく探せば出てくるのかも知れないが、少なくともWeb上にはひとつもない。
私同様、写真のないのに業を煮やして、自分で絵に描いてしまった人がいて、それがアップしたものだ。
色合いがちょっと違うようだが、よく描けていると思う。
いっぽう、CMの曲を覚えている人もいて、歌詞をアップしておいでだ。このかた、「イタリア」でなく「イタリヤ」だと断言されている。なるほど、あの当時ならイタリヤかも知れないと私も思った。
さて、世の中というものはまったく不思議なものである。覚えておられるかたも多いと思うが、数年前に東京・吉祥寺の井の頭公園の池を干して掃除をするということがあった。「かいぼり」というやつである。
さぞやいろんなゴミが出たと思われるが、この仕事に関わった人の中に東鳩イタリアパンに興味を持つ人がいて、この製品の袋を見つけて写真に撮った。茶色く変色した汚い袋の写真がそれだ。
これをみた時、私は心底驚愕してしまったなあ(笑)。
これではっきりしたことは「イタリア」であって「イタリヤ」ではないこと。自信満々のWeb情報がいかにアテにならないものか、つくづくと思い知らされることになった。
東鳩には、小さな一口大の円筒形のパンに、グラニュー糖を振りかけて食うという、秀逸な菓子もあったと思う。しかし、これは東鳩ではないという情報もある。なお、探索中だ。
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さて、ここまでは3年ほど前に書いた旧稿である。
今朝、どうした拍子かイタリアパンの探究を続ける気になった。そして、以下がその成果である。