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舞台は南太平洋の楽園、ボラ・ボラ島。白人女性“ミスユニバース”を巡って10人の男が競う。Mr.L.A.、Mr.ロンドン、そしてMr.東京―やがてショーの視聴者たちは「自分だけのDTOPIA(デートピア)」を編集しはじめ、楽園の時間は膨張する。第46回野間文芸新人賞候補作。
初読み作家さん。芥川賞ノミネートの常連さんという印象ですが、前2作は読んでいない。
リアリティーショーを舞台に、人種、ジェンダーの様々な問題、2024年周辺に流行ったものもリアルタイムに盛り込まれているので、スイスイ読めてしまいました。
こりゃあ、確かにノミネートされるだろうと、思いました。
が、読み続けるには濃ゆい、胸やけしそう…全2作のノミネート作品も文庫化されたら読む、くらいのスタンスにしようと思います。
上野公園のベンチで出会った喜和子さんが、作家のわたしに「図書館が主人公の小説」を書いて、と持ち掛けてきた。二人の穏やかな交流が始まり、やがて喜和子さんは終戦直後の上野での記憶を語るのだが…。日本初の国立図書館の物語と、戦後を生きた女性の物語が共鳴しながら紡がれる、紫式部文学賞受賞作。
風が強く吹きつける日本海最北の離島、礼文島。昭和29年初夏、動物学者である土橋義明は単身、ここに赴任する。島の出身者から相次いで発見された「エキノコックス症」を解明するためだった。それは米粒ほどの寄生虫によって、腹が膨れて死に至る謎多き感染症。懸命に生きる島民を苛む病を撲滅すべく、土橋は奮闘を続ける。だが、島外への更なる流行拡大を防ぐため、ある苦しい決断を迫られ…。
わたしの大好きな河崎さんの小説で、文庫化まで待てなくて読んだ。
エキノコックス、と戦う研究者のお話で、「ある苦しい決断」があまりにも過酷過ぎて、実行する側も受け入れられる側も、つらすぎる。
「論理的に正しい、だが、本当に正しいことかどうかわからない」という葛藤。哀しみ、苦しみ、憎しみの感情は忘れてはいけないけど、受け流しながら、前に進む、姿勢。登場人物も非常に造形が豊かで、人物像がしっかり浮かぶ。後半1/3は泣きながら読んだ。「ともぐい」を超えて満点としました。