言われて嬉しくなる労いの一言は?
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昭和39年、羽田の町工場で働く良彦のもとに亡き父の日記が届く。戦時中に「非国民」と周囲から罵られ、終戦後も自室にこもり続けた父を、良彦はかつて軽蔑していた。しかし、日記を紐解くと、そこには父が口にすることがなかった想いと壮絶な人生、そして良彦の家族三代をめぐる数奇な運命が記されていて―。
子供のころにわからなかった、大人の事情、見方が変わってくる。見方を変えると人の行動って意味が変わる。この小説の主人公の父に対する思いは、戦時中に非国民と言われ、その後神経症を患った疎ましい存在だったが、戦争が終わって平和な世の中に向っていく、その戦前前後時代、価値観がぐらぐらに揺らいで、そこに上手く対応できるばっかりのお調子のよい人だと、生きやすかったのだろう、と思えるし。主人公良彦の祖母、多喜子の厳しさ、激しさは、嫁にあたる主人公の母にたいするつらい仕打ちを子供の目からは見ているのだけど、母にとっては、外界から大きく守ってくれる存在であった。物事や人物には片方の側面だけではなく、いろんな側面がありながら、存在している。親世代の若かりし日とか、たまに、聞くと、びっくりするような情報が出てきて物語に深みに増すこともよくあるし、生きてるうちに聞いておこうと思った。
生きていてもいいことばかりではないが、それぞれに「ご苦労な人生」を生きていくのだ、という静かにメッセージが込められたいい小説でした。
積読が10冊を切ったので、年内最後のまとめ買い。kindleのポイント還元率アップキャンペーンに毎度乗っかってます。これを年内に読み切る。
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