秋の風物詩といえば?
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記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
前半、島の人が話す、言葉が難解で、中国語と昔の日本語と現代の日本語混じった会話文で、頭が爆発しそうでしたが、設定を理解し、なぜ、そういうことになったか、を物語の進行とともに明らかになっていく過程、その謎解き部分が、興味深く、「もしかしたらあり得る未来物語」かもしれない、と思うと、ぞっとした。
ネタバレになりますが
近未来の日本っぽい国がウイルスで人が減って、人と増やすため同性愛を厳しく取り締まり、生産性が低いとみなされるそういう人は島流しして、この島に来て歴史を作ったとか、
女性が統治する島、無駄に殺し合いが減って、婚姻制度という男が女を家の中で好きに乱暴したり、姦淫したりする制度をやめて、成人した人は、家に1人、もしくは一緒に住みたい人とすみ(同性もよい)、生まれた子供を島の子と、引き取り、その家で育てるということで島を運営しているのだけど、女性しか政治できないという特権性を、いつ男性が覆しに来るかわからないので、その過去の歴史を男に教えないで島の伝統を女だけで引き継ぐべし、という歪な思想もいつか破綻しそうだし…とはいえ、完全ディストピア。非常に面白い本だけどでした。
幼い頃に母を亡くし、父が再婚した継母とうまくいかず不登校になった岸本聡里。愛犬だけが心の支えだった聡里は、祖母に引き取られペットたちと暮らすうち、獣医師を志すように。伴侶動物の専門医を目指していた聡里だが、馬や牛など経済動物の医師のあり方を目の当たりにし、「生きること」について考えさせられることに―北海道の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描いた感動作!
この本は、非常に読みやすい。主人公の女性は、不登校になった経緯が、継母が何でも母のものを家から消していくので、愛犬さえも自分が学校に行っている間に捨てられる恐怖から引きこもりになり、父は単身赴任継母は実子の世話はするが、主人公ネグレクト。15歳になったときに、祖母が、引き取りに来てくれて、高校に通い、大学に行きなさい、という祖母たちの勧めもあって獣医師を目指すことになる。
獣医学部の実習描写は一部、えぐいものもあると思いますが、心を閉ざしていた主人公が様々な友人、先輩に出会って、自分の言葉を紡げるようになり、挫折もありながら、学年進んでいく姿は、ちょいちょい涙しながら読みました。自分でできないことは、できないって逃げてもいい、周りの人にごめんなさい、と頭を下げてかわってもらってもいいんだよ、という言葉が何回か出てくる。最終的に大切なのは一つしかない命、動物は自殺はしない、懸命に生きることに貪欲。人間もいろいろ考えてしまうかもしれないが、挫折して終わり、じゃなくて、ごつんごつん、頭をぶつけながら進んでいくことは、素敵なことだと思いました。
積読を減らす、というのが今週末の目標、新しい本も買いたいし。といいながらKindleにならない東野圭吾を紙媒体で買ってしまった、これも読まないと。