今でも覚えてる一番幼いころの思い出は?
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映画を見てきました。
何を見ようか、オッペンハイマーと迷ったのですが、音響賞の作品は絶対映画館の方がいいような気がしたのと短かったので。
第96回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞。ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。
タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。
さすが、音響賞。というか、音が本当に効果的で。
冒頭、真っ暗画面で、ざわざわする音だけが2-3分聞こえて、徐々に鳥の鳴き声や自然の音が混じり始めて、川べりの風景になっていく。冒頭で何か起きそうって予感させる。
よく聞いていると家庭の日常を描いているようで、常に、日常音に交じって、人の悲鳴や銃声、機械音みたいなのが断続的に流れていて、その一家の妻(母)は「理想の暮らし」と、庭を手入れして、すごく凝ったガーデニングをして、「子供たちも健康に育って最高な環境」と、中盤に移動を命じられる夫(父)に単身赴任を命じる。が、どこが健全?地味に、末の赤ん坊は泣いてるし、下から二番目の子は眠れなくて夜廊下で眠るし、男子二人は不健全な遊び、囚人ごっこやらユダヤ人の歯をもてあそんだりで、犬はとにかく吠える。表面上普通に見えてても何かゆがんでいる感じが怖い。妻は、ユダヤ人から奪った毛皮、そのポッケに入っていた口紅を平然と塗るし、麻痺しているのだと思う。
妻の母が、この家に遊びに来て、娘の裕福そうな幸せに満足するけれど、その夜、隣の壁の向こうから聞こえ続ける銃声や悲鳴、絶え間なく上がる煙をおびえて見つけ、朝、突然かえってしまった。だから、映画を見てる私だけじゃなく、家に住んでいたら常に聞こえているはずなのに。
麻痺する、無関心になるとはこういうことなんだなあ、と思いました。
この映画、無駄な説明が一切なくて、ひきの映像から、アップになるもので、あ、そういうこと!と観客が自分で気づかないといけないシステムになっていて、あとから、あの場面はこういう意味だったか…と思うこと多数。所長が脱いだ靴を回収し庭で洗うと、水に流れる赤で、ああ、血液触れるような所業をしてきたんだ…川遊びしてたら濁った水が流れているのがうつされて、足にあたったものを拾ったら人の骨で灰流してるんだ…女性が夜に所長の部屋に来た…と思ったら、秘密の小部屋で下半身を洗う所長、リンゴを夜埋めている少女がいるなあ・・と思ったら、ユダヤ人の人たちが作業中に見つけて食べられるようにしてたんだ…とか、いろいろ考えると怖い。
最後も、エンドロールに流れる音楽が、不快の極みのような、ぞわっとする音調で、叫び声ではないんだけど、それっぽいような、恐ろしい音楽でした。
さすが音響賞。
きっと配信になっていたら、早送りとかして味わえなかったと思うので、映画館で強制的にみてよかったです。