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情報ツールってやっぱりネットでしょう。
が、最終的には人から聞きたいです。
 
今回の本はすべて文庫本になっています。

 

誰にも「助けて」と言えない。
圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。
文房具メーカーで派遣社員として働く26歳の水越愛。

初めて読む作家さん。「貧困女子」といっても、この本は最終的には「ものすごく質のいい友人」がいて、通常に戻っていけるわけなので、読後感は悪くありません。
しかし、現実的には、本書の中に出てきた、育児能力のない親の違う子を複数持つシングルマザーとか親からの性的虐待受けて家出する少女とか、複数の要因が絡んだ貧困女子を通常の生活レベルに引き上げていくというのが困難だよなあと思いました。
 

 

第43回すばる文学賞受賞作 昔飼っていた犬を愛していた。どうしたら愛を証明できるんだろう。犬を愛していると確信する、あの強さで──。

おいしいごはんが食べられますように  第167回芥川賞受賞!作の作家さん。
この受賞作もタイトルの割に、素晴らしく心をざわつかせる話だったのですが、今回も「犬を愛する人のお話」なんてものではなく。四国から進学後から東京にくらす30歳の馨。卵巣の病気を患ってから益々性行為が嫌になった。そんな薫に郁也は「好きだから大丈夫」と言う。だが、ある日呼び出され、彼の子を妊娠した女性から子どもをもらってくれないかと提案されて…。
疾患があるため、子供はできにくいのではないかという主人公は、子供をもらったら田舎の両親が喜ぶかもしれない、とその女性の申し出を拒絶せずに、一瞬思ったりするのが「生むの既定路線なのか」という価値観を揺さぶるし。
そもそも、その彼女とはお金を払って性欲を処理していて、愛情は一切なく、避妊に失敗しただけという状況で「は?」っていうかんじだけど、嫌がる性行為を強要しない郁也のことは愛している。けど、昔飼ってた犬ほど愛しているかというと、犬に対しては無償の愛だったけど…と。
知人の生まれた子供の写真をみて無限にかわいいねと言葉を尽くせるほど、子供はかわいいと思うべきだが、犬の子でもかわいいし…と母性はあるものと決めつけられる価値観を揺さぶられたり、なかなか心をざわつかせるお話でした。

 

 

「この先にね、月に一番近い場所があるんですよ」。死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。食事会の別れ際、「クリスマスまで持っていて」と渡された黒い傘。不意の出来事に、閉じた心が揺れる「星六花」。真面目な主婦が、一眼レフを手に家出した理由とは(「山を刻む」)等、ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の傑作六編。新田次郎文学賞他受賞。

次に読んだのが、心が落ち着く短編集。2冊目ですが、今回も天文学やら、気象学やら。地質学を絡めつつ、心が穏やかになる読書タイム。「山を刻む」というのは、山登りを学生時代からする主婦、登山先で、火山学の教授と学生と出会い、交流しながら自分の人生を振り返り、今後の人生の歩み方を考えるという話。地質学の教授が火山の研究で採取することを「山を刻む」というのと、主婦である自分の心を家族はソファの革が経年で傷むのと同じく、当然のように「心を刻」んできて、という描写で、人生の歩み方が「自立」という結末になりそうで、よかったです。趣味って持っておくもんですね。

 

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった現代。東京にある円明学園高校で、3人の若者の運命が、交錯する。

これ、NEWSの加藤シゲアキさんの前回の直木賞ノミネート作。今年のは惜しくも落選しましたが、今年のノミネートなれのはて、を先に読んでいました。社会派で、ものすごく分厚くて、時代も幅広くて、よく勉強してるなーとは思った。が、いかんせん、登場人物と時代があちこちあるんで、すごく読みづらかったという感想。今回読んだ、前のノミネート作、これは、面白かったです。1人が父が料理人で、自分も料理の好きな高3女子。みんながやってる「オルタネート」をやってない。2人目が高1女子。母子家庭で男にだらしない母を見ているせいで遺伝子解析を導入した精度の高い「オルタネート」で運命の出会いをしようとのめりこむ。3人目が高校中退の大阪在住男子。中退すると「オルタネート」にアクセスできないため、昔のバンド仲間を探しに直接東京まで会いに来る。

「オルタネート」があると、直接そこにいる同級生なのに話しかけずにそのアプリ経由でしか会話できない子がいたり、遺伝子レベルで一致といわれると途端に好きな気持ちにならなければと思って苦しんだり、ありえそうだなあと思いました。

それぞれの経験を経て「オルタネート」の使い方、接し方を3人とも学んでいく感じのお話に仕上がっていたし、この話中に、高校生対抗ネット配信「料理番組」のくだりがあるんですが、盛り上げるために過剰な演出を加えるマスコミ業界の嫌なところを盛り込んでいるところが芸能世界の人ならではだな、と感心しました。

 

積読本がだいぶん減りました。