『トロイラスとクレシダ』
作◇ウィリアム・シェイクスピア
翻訳◇小田島雄志
演出◇鵜山仁
出演◇浦井健治(トロイラス)/ソニン(クレシダ)/岡本健一(ダイアミティーズ)/渡辺徹(パンダラス)/今井朋彦(ユリシーズ) 横田栄司(アキリーズ)/鵜澤秀行(ネスター) 斎藤志郎(サーサイティーズ) 高橋克明(パトロクラス)/櫻井章喜(エージャックス) 石橋徹郎(メネレーアス) 鍛治直人(アガメムノン)/松岡依都美(ヘレン) 荘田由紀(アンドロマキ) 吉野実紗(カサンドラ)/木津誠之(ヘリナス) 神野崇(マーガレロン) 内藤裕志(アンティーナー) 宮澤和之(ダイアミティーズの召使い)/廣田高志(カルカス) 若松泰弘(イーニーアス) 植田真介(トロイラスの小姓)/浅野雅博(パリス) 小林勝也(序詞役・アレクサンダー)/吉田栄作(ヘクター)/江守徹(プライアム)
[演奏]芳垣安洋 高良久美子

1回目世田谷パブリックシアター


兵庫、行ってきました。岐阜も滋賀も行かないので、2回目で最後。
いつも3回見ないと違いも認識できないのと、間があいたので、観ながら思い出す感じでした。
B列だけれど、補助席入って2列目でした。下手側。

今日はアキリーズに釘づけでした。登場のシーンから、面白くて、サーサイティーズ(不具で口汚いギリシャ人)がセリフが飛んだののか、どうだかわかりませんが、少々間がおかしかったように思いますが、妙に笑えてしまい。
客席降りて、前列のお客さんの方をつかみ、苦悩するところで、
「この人に肩つかみするだろうなあ」と思っていたら、案の定、その方の前で立ち止まり
「お母さん!」と叫ぶ。確かに横田さんのお母さん世代くらいの品の良いご婦人で。
声張ると吉田鋼太郎さん思い出す。文学座発声というのが四季と一緒であるんでしょうか。

浦井君は、やはり美しかった。若くてまだ筋肉もついていない少年と青年の境目、という役柄にぴったり、上半身脱いだら、ぽきっと折れそうな体つきでした。でも筋肉はあったけれど、細すぎないかな~
「ギリシャ人のようにうたったり、踊りは踊れない」というようなセリフがありましたが、楽しげに歌い踊る姿を私は観たいですにひひ
翌日、大阪でFCイベントがあるためか、「また明日~べーっだ!」という挨拶が飛び交っていました。

作品について。


先日、火垂るの墓を小学生の甥っこたちと見ていました。
「ねえ、ppちゃん、いつ、この戦争始まったの?」
「そうね、中国と本格的に始めたのが盧溝橋事件っていうのからなら1937年から戦争が終わったのが1945年だから何年もやってたね」
「ねえ、何で、戦争になったの?」
「中国とは満州事変っていうのがあって、そのころから、中国の人が住んでるところを日本の軍隊が入って行ったりして、仲が悪くなっていったみたい。」
「ねえ、なんで、意味が分からないんだけど、中国と戦争してたのに、アメリカが空襲してるの?」
「日本はドイツとイタリアと仲良くなって、気に入らなくって、アメリカが日本に石油くれなくなったとかで1941年に真珠湾攻撃をして…カゼ」しどろもどろ、ドイツとソ連のこととか、中東のこととかいろいろ説明しなければいけないけれど、小学生にこの複雑な色々利権が絡んだお話を理解できるはずもなく(いってる本人も分かってないし)という経験をしたのですが、


このトロイラスとクレシダのお話もきっかけは女性1人の事みたいで、当事者はその夫婦だけの話だったのに、それを理由に色々「偉い人」が大義名分をつけて戦う間に、何で戦争しているのかわからない人まで戦争に巻き込んでいって、その間に、犠牲者が出て(恋人を取られたトロイラス)新たな憎しみの感情を抱く人も出てきて、長々続くっていう、現実の世界にも起こっていること

ソニンちゃんの役柄も、一人敵側に送り込まれて、男たちにキスの洗礼を受けているのも、戦時下の女性への暴力の暗示(クレシダは、機転が利き、ジョークで返したりして、荒くれ者の中でも真っ当なダイアミティーズ選んで生き延びるタイプですが、普通は無理でしょう)。

未来に向かって、こういう事が起きないといいなあと思う観劇となりました。

2回見ただけでは、細かいところの気づきは出来なさそうなのですが、浦井くん出てなかったら1回だけだったと思います。
シェークスピア特有の、韻を踏んだ言葉遊びも、日本語にするとこうなるか、と思いながら聞いていました。次、シェークスピアはヴェローナの2紳士、横田さんが出演です。楽しみ。