近隣自治体のおもちゃ病院でアンパンマンピアノ(キーボード)の持ち帰り修理をしました! | トドお父さん通信

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北部九州在住 高BMI中高年のオタク趣味の活動記録

先週末は近隣の自治体のおもちゃ病院の開院日でした。
 
担当したのはアンパンマンピアノというキーボードのおもちゃ。
起動しないということで、開けてみると電池ボックスの端子が錆びまくっていたので
手持ちの部品で4個の端子交換をしました。
 
これで、無事電源が入って、ピアノの演奏をするようになりました。
 
マイクも動作しないということだったので、端子をテスターで当たると抵抗無限大。
これはマイクのところで断線しているということで、マイクの先をカパッと割って
切れている電線を接続しました。
 
これで音がでるようになったので、ミッション・コンプリート! と返却ボックスに
入れて、お客さんに連絡する手はずを進めていました。
 
『あれっ、人形が動かない!?』 っと、先輩ドクターからつっこみが。
『これって、動くんですか?』って言うと、このおもちゃは人形が動くのがウリなんだよ。
ちょっと前は良く修理に来ていたのでわかる。とのご回答。
 
新米ドクターだからしりませんよね? 確かに人形の下に配線は行っていた気がする。
もう、閉院まじかだから持ち帰って修理するしかないですね。
 
てなわけで、アンパンマンピアノ、持ち帰り残業?をすることになりました。
 
家に帰っていつもの和室でこたつに入って修理します。
まず、本体をばらして、基板を見てみました。
確かに基板から3つの人形へと電線が伸びていますね。
 
 
ネットでググると、アンパンマンキーボードには前期のモータとプーリで人形を駆動するタイプと
人形に内蔵されたソレノイドで動かすタイプがあるようです。
これはモータがないので、ソレノイドのタイプのようです。
 
つぎに基板を見てみます。
基板から、3つの人形を動かす配線が出ています。 それぞれ +側と―側があります。
 
この状態で試験用のDCベンチ電源から電源を入れてスイッチをONします。
音はなりますが、基板の人形駆動用信号(+側と―側)に電圧がでず、0Vのままです。
 
基板上にはJ2Yとマーキングされたトランジスタが10個くらいと、T1Yとマーキングされた
トランジスタが2個あります。
J2YはS8050 NPNのSMD(表面実装タイプ)、T1YはS8550 PNPのSMDトランジスタのようで、
ソレノイドを正/逆に駆動するHブリッジ回路を構成しているようです。
 
オシロで確認しましたが、トランジスタのベース側には0.7Vの駆動信号は入っているようです。
出力になにも信号がでてきません。テスターで調べると+側と―側間には10~30Ωくらいの
抵抗があるので、ソレノイドは断線していないようです。
 
う~ん、としばらく考えました。
トランジスタが破壊されているとしても、全部動かないのはおかしいですね。電源を調べてみましょう。
電池から、基板の右側に赤線でV+電源が接続されています。
 
V*電源は、黄色の過電流保護のポリスイッチを経由して、CPUへは逆接防止用のダイオードでつないで
います。Hブリッジの電源へは、基板端 上側のパターンでつながれています。
 
 
もう一度、パターンをよく見ると黒いシミのようなものが見えます。
もしかすると、パターンが切れているのでしょうか?
カッターで緑レジストを剥いで、銅箔を出してみます。 ビンゴ、途中でパターンが切れてます!
 
 
丁寧にレジストを削って銅ハクを露出させたら、フラックスを塗って予備はんだを付けます。
そのあと、ジャンパー線で接続すればOKです。余分な線は半田付け後に切断します。
 
ドキドキしながら、電源を入れてみます。
 
 
ベンチ電源の電流値が0.15~0.3Aくらい流れて、なにやらゴソゴソしています。
ベンチ電源から、電池に切り替えて動作確認を行います。
 
 
おっ、起動時に音楽と一緒に、人形が動くようになりました!
これでミッション・コンプリートです!
この子たち、何年間動かないで過ごしていたんでしょうね?
 
これで依頼主さんも喜んでくれると思います。
なんとか直ったので、ほっとして晩酌も進みます!
 
それでは、おやすみなさい。