こんにちは。

トレイルランナーズ大阪の安藤大です。

 

 

実は2月の中旬から2週間ほど下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の肉離れを患っていました。しかし、今回は階段トレーニングのやりすぎによるものでランニング中のケガではありません。(現在は完治しています)

 

僕の走りやトレーニング、ケア方法だと膝や足首など関節に痛みを生じる可能性はほとんど少ないことはケガなしであることからも自信をもっていますが、肉離れの可能性だけはあります。

 

せっかくこんな機会はないので、「動かしながら治していく」というスタンスで「ケガ前よりもパワーアップする」を目標にコーチとして知識を総動員して完治に取り組んでみました。皆さまが知りたいのも「安静にしましょう」ではなく、「それ」だと思います(笑)

 

・肉離れはどんな時に起きる?

・完治までにはどのぐらいかかる?

 

その経緯をレポート。「これが効果あったよ」「おすすめだよ」という内容ではありません。

 

■肉離れはどんな時に起きる?

「肉離れ」とは、筋肉が引き伸ばされると同時に収縮するときに起こる「筋肉の断裂」です。インターバル走や坂道ダッシュなど高い負荷がかかったたときに発症することが多いけがです。

 

いままでゆっくり走ることに慣れてしまってきた身体で突然速く走ろうと頑張ってしまうと発生することが多い。

 

■完治までにはどのぐらいかかる?

負傷の度合いにもよりますが肉離れが「完治」するには、軽症でも復帰までに約2~3週間(一般的には3~4週間)、中等度で復帰まで約5~6週間、重症の場合は3か月以上と言われています。ここでの「完治」とはジョグができるといった回復具合いではなく、「何の痛みや不安もなく、自分の設定ペースで練習できる」ことを指します。

 

よく「1週間休んでいたのにまだ痛い」という声を耳にしますが、そんなに短期間で治ることの方が少ない。ランニング競技人口の平均年齢が40代、50代の人が多いことも考えれば、「一度ケガをすれば完治の目安期間以上に治るのに時間はかかる」と考えた方が無難です。ところが、見切り発車してすぐに練習を再開して、長引いたり再発したりするランナーを多く見てきました。

 

■肉離れなのかどうか、重症度合いを診断・判定するには?

肉離れの診断や重症度判定の際には、MRIやエコー検査などを行えば出血の有無や出血度合い、MRIでは筋肉の損傷部位を確認できます。

 

しかし、診断で筋肉の損傷部位がわかって安心できても、肉離れの場合は「筋肉の断裂」なので多くの町医者の常套句、「走るのはお休み」と言われるだけでしょう。(誤解のないように「現状を早く知る。早期発見・早期治療」が僕の考えです。)

 

■肉離れが起きた背景〜6つの要因

1脚に違和感を抱えた状態で5kmのレースに出走した

2ウォームアップが不十分だった(レース当日は雨天で体育館待機で、十分なウォームアップができなかった)

3筋肉に急激な温度差が発生した(ウォームアップで温まった筋肉がスタート前の雨で冷やされた)

4急に負荷を上げた(先頭に並んで中学生と競い合い、ハイペースで走った)

5履き慣れていないシューズで出走した(話題のナイキ ヴェイパーフライネクスト%)

6ストレッチ不足(普段から足首やふくらはぎの柔軟性が乏しかった)

 

これだけの要因があり、今回のケガの発生はたまたまではなく、事前に可能性があったことがわかります。

 

ランナーのケガの原因のほとんどは、急に練習負荷を上げすぎたこと。私も例外ではなく、JR京都駅ビル大階段駆け上がり大会に向けて、短い距離のダッシュや階段トレーニングなど普段あまり行わない高負荷の練習を増やしたことが引き金になったと考えました。

 

あとはストレッチとケア不足。「足首とふくらはぎ」はほかの筋肉部位と比べて固いことをいつも自覚していました。

 

そして5kmという短い距離、普段出さないスピード。高性能なシューズによって、収縮する筋力が引っ張られる筋力についていけなかったこと。ネクスト%の加速度に脚が負荷に耐えることができなかったんでしょう(笑)

 

■肉離れの診断・重症度合いをセルフチェック

□受傷時「ぶちっ」「ばちっ」という断裂音はあったか? →なし

□腫れやへこみはあるか →なし

□伸ばしたときの痛み(ストレッチ痛)はあるか?→あり

□押したときの痛み(圧痛)はあるか?→あり

□力を入れたときの痛みはあるか?→あり

 

筋肉をストレッチした時の痛みで重症度がわかります。

 

軽症 かかとを地面に接地できる。ストレッチ痛が軽い。

中傷度 かかとは地面にぎりぎり接地できる。ストレッチ痛が軽い。

重症 つま先を地面につけただけで痛む。ストレッチ痛がひどい。

 

「腫れやへこみはない」「つま先を地面につけることはできるけれどもかかとをつけて伸ばすと痛みを感じる」「歩行はできるがジョグやジャンプで痛みが出る」。

 

僕の場合は、「軽症」と自己診断しました。

 

ランナーの中には「つま先を地面につけただけで痛い」という症状にまでなった人も見聞きしますが、そのレベルはすでに重故障者入りです。

 

僕の場合は、足に違和感を感じた時点でレースをやめ、歩きに切り替え、寄り道もせずすぐに帰宅し歩くことも控えたので「軽症」で済んだのだと思います。(本来はゴールまで歩くことさえやめたかったのですが、5kmと短い距離のレースでリタイア箇所もなく、歩くしかありませんでした)

 

こうした決断ができたのも「今回のレースは本命レースではない」としっかりと決めていたから。

 

■ケガをして完全にランニング練習を休むことの危険性

一般的にケガをすると運動、ランニング練習を完全に休む人がほとんど。ケガをして運動しない状態(筋肉を使わない状態)が続くと、けがをする前よりも筋肉や可動域は落ちてしまいます。筋力や可動域が落ちた状態でスポーツを再開すると、再び肉離れを発症する恐れがあります。

 

多くのランナーが筋力や柔軟性が低下した状態、また完治していない状態で、ランニング練習を再開するので、再発したり長引いたりするように思います。

 

コーチとしての経験上、それがわかっていたので肉離れをした部位に負担がかからない程度に、「普段できていないトレーニングに取り組もう!」とストレッチや筋力トレーニングを継続。

 

■ランニング年数が長いランナーほど多少休んでも体力は落ちない

ある研究ではラン歴の長い人ほど2、3週間休んだぐらいでは体力が落ちないことがわかっています。僕の場合はラン歴は20年以上、多少休んでも落ちないとわかっていたのでまったく焦りはありませんでした。

 

しかし、ラン歴が2、3年と短く、またはラン歴が長くても走ったり走らなかったりの週末ファンランナーは1か月以上何も運動しない期間があれば、初心者レベルからランニング練習を始める必要があるかもしれないことがわかっています。

 

一度落ちた体力を元のレベルにまで戻すには、休んだ期間の2倍の時間が必要です。これまでケガをして半年、一年かかっても元のベストにまで戻すことのできない人を多く知っています。

 

だから、「歳を重ねるにつれてケガをしないこと」が重要です。

 

■肉離れの完治・再発防止に向けて取り組んだこと

早急な完治・再発防止に向けて、取り組んだこと。ケガをしたいる間は、「普段できていなかったことを行ういいトレーニングの機会だ!」と前向きに取り組みました。

 

・十分で質の高い睡眠(1日8時間)

・食事は肉や魚、大豆製品、卵を積極的に摂取

・リカバリータイツ(コンプレッションタイツ)の着用

・1日15g~30gのホエイプロテイン摂取(大さじ3杯~6杯)

・1日20g程度の量のピュアなグルタミンを1週間摂取

・柔軟性の改善(ストレッチ)

・筋力・筋持久力・筋バランスの改善

・ランニングフォームの矯正

 

十分で質の高い睡眠(ケガを早く治す最も簡単な方法)

睡眠時間の少ないランナーはケガの割合が増えることが研究でわかっています。夕方以降のカフェインを控えたり、夜のパソコンやスマートフォン操作を控えたり、睡眠の質を高めることを心がけました。どれだけ熟睡できたのか、睡眠の質もスマートフォンのアプリで管理しています。

 

■肉離れの場合は温める?冷やす?
ケガをした場合の応急処置は、医者からは「POLICE(ポリス)=Protection(保護)Optimal Loading(適切な負荷)Ice(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上)」を薦められます。肉離れの場合は、内出血の拡大を防ぐために受傷直後のアイシングは重要です。

 

しかし、腫れてもいない場合や受傷して時間が経過した場合には温めた方がよいのか、冷やした方がよいのか?これについてはさまざまな意見があり、最近は「冷やすことで確かに患部の痛みは柔らげることができるかもしれないが、治りを遅くするかもしれない。」とする研究もあります。

 

温めるのか?冷やすのか?もしどちらかを実践してそれが間違っていたら、悪い方向に上振れしてしまいます。週末にレースを控えているのでそんな賭けはできません。従って、「温めも冷やしもしない」ことに決めて、受傷当日から数日のあいだは軽くシャワーを浴びる程度にしました(これは私の考えです)。

 

その後血液の循環を良くする目的で、毎日湯船にお湯をためてゆっくりと身体を温めました。筋肉の損傷によって出血しているかもしれず、それが血の塊となり治療期間を長引かせる原因となることを防ぐため、なるべく患部の血流を良くすることに努めました。

 

 

ホットパックなどは効果の信ぴょう性がいまいち私はわからないため、今回は未使用でした。

 

■リカバリータイツ(コンプレッションタイツ)の着用

就寝前にリカバリータイツを着用することで、血液の流れがよくなり→血液の流れがよくなれば筋温も上昇し→それに伴って筋肉の柔軟性も増す→柔軟性向上によって、肉離れの再発のリスクを減らす、ことを期待しました。

 

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■1日20g程度の量のピュアなグルタミンを1週間摂取

クレアチン※は、多くの研究において「短時間・高強度運動のパフォーマンスを向上させた」という研究があり、さらに副作用の原因となる可能性は少ないサプリメントです。食品では、少量ですが肉や魚に多く含まれます。「筋肉を強化する際にも効果を発揮する」のであれば、「肉離れからの筋肉の回復も促進できるのではないか?」という憶測と期待を込めた摂取です。

※クレアチンはドーピングの禁止物質ではありません。念のため。

 

 

 

■ストレッチ

※ストレッチは単語で説明しづらく、どんなストレッチをしたのかまでは長くなるので割愛。

 

■筋力トレーニング

腕立て伏せ

お尻スクワット

片足スクワット(ピストルスクワット)

レッグランジ

ランニング動作ランジ

カーフレイズ(反動をつけない)

シングルレッグルーマニアンデッドリフト

※筋力トレーニングの動作や写真はご興味のある方は調べればすぐに出てくるので割愛

 

■トレーニングの結果はどう表れたか?

僕は、タニタ(TANITA)の体組成計・体脂肪計で毎日の体重や体脂肪率、筋力の変化をチェックしています。ランニング練習を完全に休んでいましたが、肉離れを受傷した後、筋力の低下がほとんどありません。ランニングを休んだことで食事の内容は変わっていないにも関わらず、体重は10日間で1.5kgも増えてしまいましたが、体脂肪率は変わらずに、筋力が増えました。(筋力がそんなに短期間で増えるものなのかよくわかりません)

 

40を過ぎて基礎代謝年齢が25歳の僕でさえ、少しのあいだ運動をしなかったら体重は増えてしまうのですから、普通の人が不摂生な生活をすればそれは体重が増えて当然でしょう。

 

 

「筋肉量や筋肉の質は落ちていない」とわかり、「体力や筋力が衰えていく気がする」と焦って早急に練習を再開して、ケガの再発を防ぐことができたと思います。

 

■肉離れ受傷の経緯

・2月13日(木)練習中、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)に若干の違和感

・2月16日(日)「柏原シティキャンパスマラソン」5kmレース中に肉離れを発症、歩いて完走。歩行にも影響が出る程度(痛み10段階中10)

・2月17日(月)完全休足(痛み10段階中10)

・2月18日(火)完全休足(痛み10段階中9)

※受傷してから2日間は急性期(痛みが最もひどい時期)なので完全休足。外出や歩くことも控え、完全休養に努めました。

・2月19日(水)完全休足(痛み10段階中5)

・2月20日(木)軽いジョグ再開 30分間(痛み10段階中4)

・2月21日(金)軽いジョグ15分間(痛み10段階中3)

・2月22日(土)「JR京都駅ビル 大階段駈け上がり大会」 (痛み10段階中1)

 

2月16日(日)に肉離れを患い、6日後の22日(土)には大会で階段をダッシュで駆け上がれるまでになりました。(しかし、わかって参加したことですが、大会で肉離れを悪化させてしまい、再び完全休足となりました)もし大会がチーム戦でなければ欠場の判断をしたと思いますが、皆さまは決して真似をしないように(苦笑)

 

・2月22日(土)完全休足(痛み10段階中7)歩くと痛む、かかとを地面につけることができない。

・2月23日(日)完全休足(痛み10段階中6)

・2月24日(月)完全休足(痛み10段階中5)

・2月25日(火)完全休足(痛み10段階中4)

・2月26日(水)ジョグ再開 20分 キロ6ペースは余裕に

・2月27日(木)ジョグ 25分 キロ5分30秒ペースは余裕に

・2月28日(金)ジョグ30分(痛み10段階中1)

・2月29日(土)トレイルラン24km(痛み10段階中0)

・3月1日(日)トレイルラン17km(痛み10段階中0)

 

肉離れの度合いにもよりますが、再び肉離れを起こし、5日間ほどで痛み0で、トレイルランを走ることができるレベルにまでになったのはなかなかの回復度合いではないでしょうか。

 

結果として、どれが一番効果があったの?

結果として、どれが一番効いたの?が気になるところだと思いますが、「これ!」と答えるためには一つづつ試し検証する必要があります。

 

そうしないと、一つの要素がどういった影響を与えるのか見えません。

 

しかし、今回の僕の目的は、「週末のレースに向けてできる限り早く治す」ということでした。効果のありそうなものは片っ端から全部試してみる、という考えで、結果として早く治ったのでよかったです。

 

体重は増えたものの、普段取り組むことがあまりできていないストレッチや筋力トレーニング、バランス強化トレーニングにも時間を割くことができたので、受傷前よりもパワーアップしている実感があります。残念なことにそれを試すレースはコロナウィルスの余波で相次いで中止となりましたが…

 

■「ランニングしかやっていません」というのは常にケガのリスクがあることを認識する高い

僕が選手に話すのは、「致命傷を負わなければ復帰できます。致命傷を負わないことが大事です。」。ところが、実際は重症者入りして長期間お休みするまで気づかない人が多いです。本来はプールで泳いだりジムで自転車を漕いだり、筋力強化したりほかの運動をすることがケガの防止につながります。ランニングアプリ「ストラバ(Strava)」の調査でもエリートランナーになればなるほど水泳やロードバイク、クロスカントリースキーなどランニング以外のスポーツを運動に取り入れていることがわかっています。「ランニングだけ」という選手は少ない。

 

「ランニングしかやっていません」というのは常にケガのリスクはあることを自覚する。

それがケガ予防の観点からも大事だと思っています。

 

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