こんばんは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
ブログでいまだにアクセスが多くあるのは、
「フルマラソンでロキソニンなどの痛み止めを使うのはいいのか?」
「ロキソニンは肝臓に悪いのか?マラソンレース中の服用で副作用を心配しています。」
「マラソンレース中のロキソニン服用はケガを悪化させてしまう?」
マラソンレース中のロキソニンなどの痛み止め服用について。
【事例】
3月4日に兵庫県で行われた篠山ABCマラソンにおいて、女性ランナーCさんが出場。Cさんはロング走と練習中にひざに違和感を感じ、痛み止めを服用しながらだましだまし走っていました。向かえたフルマラソン。Cさんはレース中も激痛を感じながら、ほうぼうの体で完走。2日後に病院へ行くと、医師の診断は「疲労骨折」。即日ランニング禁止に。
疲労骨折しながらもそれを痛み止めで誤魔化しながら、マラソンレースを走っていたCさん。ランナーの間で「痛みを感じたらロキソニン」は通例になっているようです。
結論から書けば、マラソンレース中にロキソニンなどの痛み止めを使用することは心臓や肝臓に負担を与え、胃の出血を招くことがあります。多くの人は健康のために走り始めた、あるいた走っていんですよね?
(注釈)写真はフリー素材で、ロキソニン画像ではありません。
ロキソニンは、風邪や生理痛や頭痛といった日常的な発熱や痛み止め、解熱に使われています。
それがランナーの間で一躍広まった原因は?
ロキソニンは元々医師しか処方できなかったものですが、今は薬局で容易に手に入るようになったことが大きい。ガ〇ター〇○なども処方が必要な薬でした。
日本だけでなくほかの国のランナーはどうか??
マラソンレース中のロキソニンなどの痛み止め服用は海外でも多く話題にされていて「marathon painkiller」などで検索すれば数多くの記事がヒットします。たとえば、2013年6月13日のRunner's Worldの記事をご紹介。
【参考】Ultramarathoners Sure Do Love Their Supplements - Runner's World
2016年10月のメンズフィットネス。
【参考】 Pain Meds May Cause Serious Side Effects on Race DayーMen's Fitness
(レース中の痛み止め服用には深刻な副作用のリスクがある)メンズフィットネス記事内の研究結果を見てみましょう。
2010年のボンマラソン、ハーフマラソンレースの前に4,000人のランナーを対象に「痛み止めを常用しているか?」というアンケート調査を行った。54%と過半数のランナーが「アスピリンやイブプロフェンのような痛み止めを使用したことがある」と答えた。
4,000人の54%は、2,160人。半数以上が賛成派(日常的に使用している)比率の高さに驚きます。
痛み止めを服用したランナーには胃の痙攣(けいれん)、胃や消化管からの出血、心臓血管系の問題、血尿、筋肉痛や関節痛がみられた。
痛み止めをより多く服用したランナーほど症状の悪化がみられた。
記事では、「痛み止めがそれらの症状に起因しているとはまだはっきりとは究明されてはいないが、痛み止めを服用した多くのランナーが同じ症状を経験していることから、長時間のマラソンレース中のストレスが薬の副作用を悪化させている疑いは考えられる。」
トライアスリートを対象にレース後の肝臓疲労を調べたところ、ロキソニンなどの痛み止めをを使用した選手の多くに肝硬変に近い症状が見られたという結果もあります。
大量に摂取しなければよい?
フルマラソンでも十分長時間、その距離を超える100kmウルトラマラソンや2晩近く走り続ける100マイルレースはその運動自体が充分身体に負担を与えます。フルマラソンの距離を超えて、走っているわけですから足のどこかぐらい痛くなりますって(笑)僕自身のウルトラランニングレース経験から言えることですが、「健康のために走り始めた」という目的からすればかけ離れた世界です(笑)
僕は痛み止めの使用についてここで否定も肯定もしませんが、自分の練習生やコーチ受講生にはおすすめしていません。使用する人は心臓や消化器官系へのダメージの可能性が大きいこと、副作用については知っておく必要があるでしょう。
山で万が一足の痛みなどで下山が難しい状況となった場合を考えて所持することはありますが、レース中にロキソニンなどの痛み止めだけでなく、胃腸薬も使用したことは一度もありません。使用しない理由には、今日の研究結果記事を含めてほかに3つあります。「解熱効果」と「眠け作用」「レース後のアルコール摂取」です。
●解熱効果
ウルトラランニングレースで夜間、疲労と寒さで体温が低下している時に、痛み止めを服用した場合のリスク。低体温症を助長させないか心配。
●眠け作用
一般的な市販薬と同じく薬の服用後は眠気を生じることがあり、医薬品の説明書きにはほぼ必ず「運転や激しい運動は避けて下さい」とあります。フルマラソンやトレイルランは十分に激しい運動にあたり、そのような運動下での摂取は考えられていません。
100マイルレースなどの制限時間は46時間。ほとんどの人が完走に少なくとも30時間から40時間はかかります。薬を飲まなくともただでさえ眠いのに…ふらふらと眠気のためき滑落や転倒のリスクは心配です。
●レース後にアルコールを飲みたいから(笑)
どんな薬にも書かれていますが注意書きには「アルコール摂取時の服用は避けてください」とあります。ロキソニンの注意書きにもあります。ランナーの皆さまはレース後にご褒美としてアルコールを飲まれる方もいると思います。激しい運動で胃や肝臓へのダメージ+痛み止め薬によるダメージ+アルコールの消化には肝臓に大きな負担がかかりますから追加ダメージ。
ロキソニンなどの痛み止めを服用しても痛みの原因そのものは治っていません。足の痛みは身体の重要なサインですから、それを打ち消してしまうのは危険です。痛みが出て走り続けることができない状態であれば「今回のコースを完走する上での練習量、体力が不足していた」 「自分のランニングフォームに問題があった」と考えるいい機会だと僕は考えています。
ちょっと真面目な話が続きましたので...この記事には思わず笑ってしまいました。
【記事元】Should I Take a Pain Reliever Before or During a Marathon?
「痛み止めを飲むぐらいならレース中にビールでも飲んだらどうだ?」「水分補給にカーボローディング、それに塩分摂取もできて、痛みも軽減されるだろう?」と(笑)「マラソンどころではなくなってしまうのが問題だ。」というオチ(笑)
フランスのメドックマラソンではランナーは給水所でワインを飲むことができますが、ワインを飲みながらもレース中に痛み止めを服用する人はどの程度いるのか?ワインと痛み止めを飲んで完走した後の胃や肝臓などの状態は?調べてみたら面白いと思うんですけどね。
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一度、ランニングフォームを見てほしい