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ウルトラマラソンマン[Amazon.co.jp]


★待ってました!

読みたい、読みたいと思っていた本の待望の邦訳版。

「ウルトラマラソンマン」


翻訳は、アドベンチャーディバスを主宰する北村ポーリンさん。


期待以上の面白さで、夜通しで読んでしまいました!


翻訳も素晴らしい!


アマゾンのプロフィール紹介から。

Dean Karnazes ディーン・カーナゼス
30歳の誕生日を機に、超長距離のランニングをスタート。「ウェスタンステーツ100」、「バッドウォーターウルトラマラソン」、「南極マラソン」など、壮絶な耐久レースを走破。また135マイル(216km)を12人で走る世界で最も過酷なランニングレーを、たったひとりで46時間17分で走破し、その足で家族と遊園地に行く。グッド・ヘルス・ナチュラル・フーズ社代表。スポーツ・イラストレート・ウーマン誌で『スポーツ界で最もセクシーな男性』の一人に選ばれる。サンフランシスコに妻と2人の子供と在住。


【見どころ】ディーンが完走した大会

◆ウエスタンステーツ100
累積高度は1万1400mで、実にサッカー競技場50以上を空に突き立てた高さを登ることになる。それはエンパイアステートビルのてっぺんから下りまで15往復するのと同じだ!ボストンの「心臓破りの丘」を一度や二度ではなく、何と56回上り下りするのに等しい。


◆バッドウォーターマラソン
気温50度の無風地帯、一切日陰のない舗装道路上の216キロメートルコース、デスバレーマラソン。パンはトーストになり、給水所の水はお湯となり、かけてくれる水はたちまち蒸発してしまう。
日本人では、当ブログでも度々紹介しています、岩本能史さんが完走されていますね。


◆走ることについて
僕の場合、長距離を走ることは解放を意味し、僕の無尽蔵のエネルギーを吐き出す場所を求めていた。僕はランニングに癒しを求めた。近代社会で人類は望むものを全て手に入れたが、それでもまだ満たされていない。「もの」は幸福をもたらさない。ランナーは多くを必要としない。ソローは、「人間の豊かさは、何も持たずに何ができるかによる」と言っている。おそらく欲するものが少なくなればなるほど、多くを得るのだ。
深い。このあたりは、ディーンが「禅」についても学んでいることを連想させます。


◆南極フルマラソン
南極大陸で走るのは、人生の中で一番過酷なチャレンジだった。スノーシューで南極へ歩こうとした人はいたが、ランニングシューズを履いて走ろうとした人はいなかったからだ。
「こんな状況の中でマラソンを走るのはかなり危険だ。自分が覚悟していた以上かもしれない。」という一場面。(いや、やる前に気づこうよ!)と、心の中でツッコミたくなる場面も。場面も、というよりは何度も。


◆200マイル320kmのチャリティリレー
12人1チームで走るチャリティリレーを彼は全区間"1人で"走り、完走した。たった46時間17分で。48時間走るには、2万8,800カロリーというとてつもないカロリーが必要だった。健康的な食糧だけでは、十分なカロリーを得るのは困難だとわかった。
運動強度をわかりやすく言いかえれば、箱根駅伝を1人で走り、優勝してしまうようなものでしょうか。


【コーチとのやりとり言葉】
「よく頑張ったぞ。気分はどうだ?」
「一生懸命走れてよかったと思います。気持ちよかったです。」
「気持ちがよかったのか..」「簡単にできて必死の努力を必要としないなら、まだ頑張りが足りないということだ。本気でやれば、死ぬほど苦しいはずだからな。」


【感想】

本著を通じてひしひし伝わってくるのは、


どこまで走り続けたら、俺の身体は壊れるんだ?


という自己の限界への飽くなき好奇心。


驚いたのは、ディーンの記憶力!プロのライターさんがいたのかどうかはわかりませんが、ここまで克明に時部の走ったレースのことを覚えているのには、驚きです。


「極限的に暑い大会と極限的に寒い大会。どちらが、走るのに過酷か?」本著を読むまでは、僕はずっと前者だと思っていたのですが、読み終えてからはあきらかに後者だと考えが変わりました、、


目にとまったのが、ウエスタンステーツの参加資格。 50マイル(80km)のレースを9時間以内。日本でいえば、日本山岳耐久レース71kを12時間以内完走といったところでしょうか。厳しい!けれど、100マイルの制限時間が24時間なので、この参加条件は納得できます。UTMBもそうですが、海外のレースは選手の安全を期して、参加資格が厳格ですね。僕は、選手の安全を考えた上で、素晴らしいことだと思っています。


200マイルノンストップリレー。完走後、応援に来ていた家族に誘われ、そのまま遊園地へ..話のためのネタ?かとツッコミたくなりましたが、200マイル完走した直後に、ネタのために遊園地に行けるかどうかを自分に尋ねたら、、想像できない。 翌日は7時にはちゃんと起きて、普段どおり会社へ。スゴすぎる!


読む前の誤解。僕はこれだけ伝説を残しているのだから、スポンサーを見つけて、あるいは講演家になって、全米中を飛び回っているもんだとばかり思っていました。実際は、違いました。ディーンは、会社に勤めていました。 上記4レースとも、有給申請をして挑戦していたのです。 「仕事あっての趣味。」ということを、ディーンは深く理解していました。


最初から最後まで、僕がディーンの話に"幸せ感"を感じたのは、

この一言に現れています。


「ランニングには栄光はあるけど、名声と富を手に 入れることは絶対にない。だから普段の仕事を辞めることは きっとないだろう。仕事は家族を養い、ランニングは 僕の情熱を満たしてくれる。」


本当~~に大事だと思います。 最近、"幸せの定義"について研究していますが、人は一つの物事への集中だけでは幸せになれないそうでそうです。とりわけ仕事での幸せ感が低い人は、趣味に全力投球できていても全体的な幸せ感は低くなる。 ディーンは、仕事に家族にランニングと自分にとって優先すべき項目をはっきり把握し、うまくバランスを取っているように見えました。だから、本著の挑戦を通じる中での"幸せ感"を僕まで感じられたのだと思います。ランナーにとって、仕事や家庭とのバランス、とても大切ですよね。


走りへの極限下の挑戦にワクワクしたい方には、オススメです!


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