抗がん剤が効いていないと言われた後、ふわふわした気持ちのまま病室に戻った。 妻と子供ともうちょっとしっかりと感触を確かめておけば良かった。
病室に戻った少し後、カンファレンスに同席していた新人の看護師さんが病室に入って来るなり号泣。
「あんなのってないです!」
って言いながら、どう接したら分からないといった感じで結局オッサンの背中をさすって、頭を撫でて
「ごめんなさい」
って言って病室を出ていった。
ものすごく救われた。
カンファレンスから誰も目を合わせてくれなかったし、気を落とさないでとか当り障りのない事しか言ってくれなかった。
自分たちと違って、もうすぐ死ぬ人間として物凄く距離を置かれた気がした。
新人の看護師さんだけストレートに気持ちに寄り添ってくれた気がした。
おかげさまで、こっちは少し落ち着けたのと、少しの覚悟が出来た。
残してしまう家族に何が出来るかと考えて遺書を書こうと思った。