04
玄武が死んでから一ヶ月過ぎて紫猫を倒すために青龍は大勢の人を連れて紫猫の前に現れた。
この時に青龍は既に玄武の死を聴いた後だった。
青龍は人の群れの後ろに立っている。
“紫猫と言ったか?この人たちを殺したくなければ大人しく死ぬが良い。”
紫猫が頷く。
“そうだね。戦いなるときっとここに居る人たちは死ぬだろう。”
どうやら人が死ぬのは嫌なようだ。
その言葉の青龍は微笑んだ。
“よかろう。では死ぬということでしょうね?”
しかし答えは想定外だった。
“いや、彼らが他のところに行けばいいでしょ?”
そう言いながら彼が手を振るとあんなに多かった人たちが最初から居なかったように消えた。
“……なんですか、これは。どうしたのかはわからぬがそなたが余と同じくらいの級だってことは理解した。”
“それで、青龍、君もまた他の子みたいに俺を止めるの?”
彼の質問に青龍はなにかを考えては首を横に振った。
“余が、いや、私ごときで貴方を止めるのはできないでしょう。むしろ貴方が行く道を開けるとしましょう。”
どうやら青龍は自分の力では紫猫に勝てないと判断したようだ。
そうやって紫猫は青龍と言う仲間を得て中央に向かう。
中央の神社でその様子を見ていた螣蛇は困ったような表情を浮かび、地に流れ込んだ。
そして西の神社に居た白虎の前に姿を現した。
螣蛇は正座していた白虎に助けを求める。
“白虎、あなたの力が必要です。”
白虎は目を閉じたまま口を動かした。
“どうした、めんどい。俺は中立だったはずだが、もう忘れたか?”
白虎の言葉に螣蛇が黙って立っていると白虎はため息をついてから続けた。
“今回だけだぞ。お前のおかげで結構楽だったからその恩返しと思え。”
螣蛇はそれを待っていたのか、微笑んでは、
“青龍が敵になっていますので気を付けてください。”
そう言い姿を消した。
それには白虎でも驚いたのか閉じていた目を開ける。
だが再び目を閉じ苦笑いしては、やられたな、と呟いた。
青龍の能力で紫猫は玄武にやられた脚を治したがどうやら腕の火は青龍の能力で治せるには力不足だった。
それでも彼は脚だけでも直してくれた青龍に感謝を伝えた。
青龍と仲間になって一ヶ月になり白虎が彼らの前に現れた。
“青龍、お前は賛成だと覚えていたけどな。俺の記憶間違いか?”
“そういうそなたは中立では?どうして彼を止めようと?”
“まあ、恩返しってことだ。”
そう言ってはすぐにその体を変えた。
その姿は強大な虎のようだった。
全身が白い虎の体の長さは5メートルを超え、脚だけでも1メートルを超えている。
その歯は一回噛まれるだけでなんでも切れそうに鋭かった。
“めんどくさいからさっさと行こうぜ!”
青龍もまた体を変える。
青い光を放つ長い蛇のような形でその体は一つ一つが成人男性の掌の大きさくらいの鱗で包まれていて手と足を持ち、顔には二つの長い髭が出ていた。
全体の長さは10メートルは軽く超えている。
しかしそうやって雄大な美しさを持った青龍は一瞬で地上に落ちた。
飛びたと思うくらいの飛び賭けで白虎が青龍の首を噛みついたのだ。
現代の竜虎相打つと言う言葉が恥ずかしくなるくらいの決着の速さだった。
青龍を倒した白虎が次を狙うように紫猫を見るとそこには既に変えた紫猫が居た。
それは強大なる猫だった。
人の身長を超え背中は地上から2メートルに至り、尻尾を除いて体の長さだけで3メートル、尻尾の長さは10メートルを超えている。
体は紫色の毛に包まれているが所々透明になっていて、それは体の中を動いている。
ただ前の両脚は朱雀の炎に燃えていて赤く光っていたが、後ろの両脚は青龍のおかげで元の姿に戻っていた。
白虎が紫猫の首を狙い飛びかける。
しかし紫猫は空に飛び上がりそのまま白虎の背中に乗っかけた。
そしてそのまま白虎の体を尻尾で巻いて襟首を噛みつく。
白虎はそれに消えずに暴れながら自分の爪で紫猫の尻尾を切った。
けれどただそれだけでやがて力がなくなりそのまま消えていく。
紫猫はそれを見て人の姿に戻り、中央の塔を向いて歩き出した。
紫猫の目的地である中央の、地を司る螣蛇はその戦いを最初から見ていた。
それなのに彼が白虎を手伝わず放置したのはなぜか。
それを知っているのはこの地上に螣蛇、彼だけだろう。
螣蛇は青龍と白虎の死を確認し口元を歪める。
消えたのは火と水と木と金。
さあ、これからどうなるか見守るとしよう。