05
目覚めたらそこはまだはま寿司の前だった。
“な、、なんだ、これは。なんで俺がここにいる。”
俺の独り言を聞いたのか隣に居たやつが喋った。
“ばかな男だな。待ち続けて狂ったのか?いや、お前は最初から狂っていたな、ハハハ!”
やつを無視してスマホの時間を見ると11時7分が表示されていた。
本当に店に入る前に戻ってきたのか、、
俺はそれを気付きやつに話しかけた。
“おい、俺と賭けをするか?”
“間抜けめ、なにか知らないけど私に勝てるとでも思ってるのか?”
堂々と喋ってるやつが滑稽に思われた。
“じゃあ受けたってことでいいんだな?別に難しいことはない。俺がお前の番号札の番号を当ててみよう。今ここでな。”
俺の言葉にやつが笑った。
“寝るうちにいい夢でも見たのか?よかろう、当ててみるがいい。まだ店に入る前なのにいい度胸だな。来る前に人数でも数えたか?ちなみにカウンター席とテーブル席の番号は別だぞ?持ち帰りもな!”
“はは、そんなのは関係ない。とにかく俺が賭けで勝ったらお前の番号札を寄こせ。まあ、寿司も食べずに帰るのは可哀そうだから俺の番号札をあげるとしよう。”
“いいだろう。だがお前が持ち出した賭けだから負けたらお前は俺の助手になれ!いっぱい扱き使ってやろう、ハハハ!”
俺はやつの提案に頷け堂々と番号を言った。
それでどうなったかって?
そりゃあ当然俺はやつの番号を当てて番号札を交換した。
そして、
“なに?!売れ切れだと?そんな馬鹿な!どういうことだ!”
“おい、うるさいぞ。こいつは無視していいですから残りの一皿お願いします。”
店員が俺の注文を受けて立ち去った。
“うおおお、寄こせ!もともとは私の番号でしょ?!”
“あ、うるさいなー。さっき堂々と賭けした人はどこか行ったのか?”
あまりにも楽しい。
笑いが止まらない。
その後に出た特別寿司を食べた俺は、
“おおっ!うまい!これはまるで海の中を泳いでいた鯨が高く飛び上がり竜になって口に入って来るそういう味だな!”
どこかで聞いたような台詞でやつをからかうものだった。
そうやって美味しい特別寿司を食べ終わった俺は、
“546番のお客様”
長い思い出を振り返っていた俺は自分の番号が呼ばれたことを聞いて席から立った。
“13番テーブルです。召し上がってください。”
店員から受けたレシートを持って席に向かう。
待ちの果てに寿司を食べるために未来こそ見てしまった魔術師、いや、魔法使いはこの世で俺しかないと思う。
寿司魔法使い、なんちゃって。
馬鹿げたことを思いながら笑ってしまった。
とにかくその日以来俺は魔術師から魔法使いになったから寿司こそが俺の基源。
テーブル席に座るとどこかでよく見たやつが誰かを探すよう見回している。
言うまでもなく、あの時のあいつだ。
やつは俺を見て近づいて来た。
“ごめん、待った?協會の奴らがしつこくてさ。”
俺の前に座りながら話すやつ、いや、彼女を見ながら俺は笑う。
“いや、ちょうど座ったばかり。”
俺の台詞で彼女は、よかったって言いながら笑った。
彼女と付き合っておよそ3年、俺たちは毎年2月の一日は寿司を食べに来ている。
なに?どういうことだって?
どういうことって!
大変に気分がよかったあの日の話は午前だけで終らなかったって話!
その後の話はいつかまたすることにして、魔法と恋人を持ってくれた基源に感謝の一言を、
“さあ、今日も美味しい寿司を食べてみようか!”
Fin.