追記3あり・枠組みが変わってもPerfumeの本質は変わらない。いつかも、いまも・・これからも。 | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

追記3あり・枠組みが変わってもPerfumeの本質は変わらない。いつかも、いまも・・これからも。

*オリジナルエントリー・2018年3月

 

 

 

『「Perfume×Technology」presents "Reframe" 』の衝撃がまだ覚めやらない。

 

 

 

 

昨日の二日目の公演後にはアナウンスなどでネタバレに関する言及が無かったみたいなので、Liveレポートを少し書きたいと思う。まず初日のセットリスト(?!) というか演目は以下とおりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

○『「Perfume×Technology」presents "Reframe" 』・初日(2018年3月20日・NHKホール)

 

M1.  Recollect (Music:evala)
M2.  DISPLAY
M3.  Record (Music:Setsuya Kurotaki / Rhizomatiks Research)
M4.  Butterfly
M5.  シークレットシークレット ~ シークレットシークレット (Reframe Remix)(Music:Seiho)
M6.  エレクトロ・ワールド
M7.  FUSION
M8.  Three Walks (Music:evala)

M9.  願い

M10. interlude (Music:Setsuya Kurotaki )

M11. 無限未来

 

 

 

 

 

 

 

今公演のオレの観覧位置は、2階Cブロック・ほぼ中央の少し上手よりの最後方で、下手方向には壁があって・・・・ やはり追加発売の "見切れ席 "だったため、視界が遮られると思いきや、ステージを観るのには全く問題ない場所だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のエントリーは特に印象に残った演目に絞って取り上げたいと思う。一番印象的で象徴的だと感じられたのは、最初の4演目までの構成だ。

 

 

 

 

 

 

 

開演すると、「Recollect」のバスドラの激しい低域のビートが会場内に鳴り響き、継ぎ接ぎのような白いスクリーンの一角が時折開き、仁王立ちのメンバーが姿を現す。ちなみにこの楽曲は、MIKIKO氏率いるELEVENPLAYの公演でもお馴染みの evala氏が手がけている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公演の日時である「2018/03/20」がスクリーンに投影されるとそれが急速に巻き戻り、メジャーデビュー日である 「2005/09/21」 まで遡った。するとこれまでPerfumeとして発表してきたMVのカットアップがどんどん流れていく。過去のPerfumeを構築してきた要素を咀嚼するという表現だろうか。まさに「Recollect (回想) 」という演目に相応しい内容。そしてメンバーの、

 

 

 

 

 

 

「いつかも・・・・ いまも・・・・ これからも・・・・」

 

 

 

 

 

 

という語りの後に2演目目の「DISPLAY」へと続く。枠の取り囲むステージの中で彼女達はパフォーマンスする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは "過去のPerfumeも枠組みに捕らわれていた" といメタファーなのか、あるいは、この枠をディスプレイの画面と考えると "この公演は映像化されることで作品として完成する "という宣言なのだろうか。

 

 

 

そしてオレにとって、この公演で最も印象的だった演目の「Record」へと繋がる。

 

 

 

 

「マイクチェック、ワンツー・ワンツー・・・・・ あ~ちゃん。」

 

 

 

 

というシーンから始まる「Record」。メンバー三人はボーカルブースのような小さな箱に入り、スタンドに取り付けられたハンドヘルドマイクと対峙する。メンバーそれぞれがマイクチェックを行い、時折 "REC " という文字が箱の余白の部分に投影される。Perfumeというものは "メンバーの歌唱をあくまでも素材として収録し、用いてきた" という表現なのだろうか。このマイクチェックのシーンは、あ~ちゃんから始まり、のっち、かしゆかと続く。

 

 

しかし、このマイクチェックのパフォーマンスは、三人三様の個性が感じられる。声質はもちろんのこと、その際のテンション。そしてそのバックに流れるビート音が、三人それぞれに違う。オーディエンスの中に気付いた人もいるかもしれないが・・・・・ 

 

 

・・・・・ あくまでもオレの予測だが、これはセンサーをメンバー三人に装着させ、リアルタイムでメンバーごとの心臓の刺激伝導電位のR波-R波間 (PQRST波 = 心電図 : ECG ) を計測した、いわゆる "心拍数" がビート音を形成する要素となっていたのではなかろうか。驚いたのがマイクチェックが、あ~ちゃんからのっちへと切り替わる時だった。

 

のっちのビート音が明らかに速い。そして少しずつ速くなっているようだった。そしてかしゆかに切り替わると、ビート音はあ~ちゃんとほぼ同じくらいだった。もし本当にメンバーの心拍数をリアルタイムでモニターし、ビート音として反映させているのだとしたら・・・・・ のっちはステージ上では意外と緊張するのか。それとも常に交感神経系が優位な人なのだろうか。

 

 

 

 

そして最後に三人同時にマイクチェックを行う。三人三様の声質とテンション、そしてビート音がバッティングして違和感が増大していくが、

 

 

 

 

 

 

「2018/03/20・・・・・ "Reframe"。」

 

 

 

 

 

という語りとともに、バッティングしていた声質とテンション、そしてビート音が溶け合うように融合し、響きが調和していく。

 

 

 

マイクスタンドにはタブレット端末も取り付けられており、 "REC " という文字が投影されているときは、どうもメンバー自らが歌唱を収録をしているようだった。そしてメンバー自らがサンプラーを操作して、収録した歌唱素材をカットアップやインサートを行うことで楽器を演奏するが如く、楽曲を作り上げているように感じられる。バスドラはメンバーたちの鼓動、マイクチェックの「ツッ」はハイハットで、クローズ・オープンも表現される。そしてマイクチェックの「ハッ」はリバーブの効いたスネアの響きのようでもある。そして、

 

 

 

 

 

「私たちにできること・・・・・」

 

 

 

 

 

という語りの後に「in - out - in - in ・・・・ 」という『MY COLOR(2011年) 』の振付や、『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT (2015年)』を髣髴させる要素も展開される。

 

そして鼓動を表現するバスドラの響きが消えると時を刻む響きが残され、それもいつしか消えて、最後に残されたシンセ・パッド音色が空間に溶け込んで消えていく。そして次の演目の「Butterfly (2008年) 」へと繋がっていく。

 

 

 

 

あ~ちゃん独唱の「薄い・・・・ 羽のように・・・・ 」という伸びのある歌唱に度肝を抜かれる。しかも薄くリバーブをかけただけのほぼノン・エフェクトの歌唱だ。そして、のっち、かしゆかの独唱へと続く。そして「Butterfly」のトラックがスタートする。

 

 

メンバー三人はボーカルブースから離れ、ステージ上からボーカルブースは捌けられる。またステージ最前面にあった枠も取り除かれる。そしてメンバー三人がステージ前方でパフォーマンスをしていると、奥のスクリーンが上がり、24台のドローンが控えていたのが視認できた。光る24台のドローン編隊は有機的に飛行し、24台で一匹の蝶の羽ばたきを表現していた。圧巻だった。

 

 

 

 

この「Record」から「Butterfly」への流れが "Perfumeの歴史" を表現しているようで、非常に象徴的のように思えてくる。

 

 

 

 

要するに「Record」のボーカルブースのパフォーマンスは "蛹の彼女達" を表現しているのではなかろうか。ボーカルブースは "蛹室" のようなもので、その中でメンバー三人は個性を引き出し、ぶつけ合いながらも、羽化して蝶となるための力を地道に蓄えていた。

 

そしてメンバー三人の個性が素材となり、それらが溶け込んでいって一つになって調和することでようやく羽化し、 "Perfumeという大きな一つの蝶" が生まれた。それはまるで・・・・ このシーンを再現しているようでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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g26g27g28

* 『Perfume First Tour 「GAME」 (2008年) 』より

 

 

 

 

 

 

これこそ " 空間全体が作品であり、Perfumeの歴史という空間を体験させる" というインスタレーションの真髄に迫った構成であり、 会場でこの空間を体感したとき・・・・・・  鳥肌が立つほど感動してしまった(笑顔)。

 

 

 

 

 

そして演目は進み、後半の「Three Walks」から「願い(2008年)」への展開。「願い」では、人々が投稿した "大切な写真 " がメンバーの身体の中に取り込まれていくインスタレーションが展開される。これは「Perfumeというものは、これまで皆さんの思いや願いが原動力となって歩み続けてきた、そしてこれからも・・・・ 」という意味合いが感じられ、それが「interlude」で再びメンバーの、

 

 

 

 

 

 

「いつかも・・・・ いまも・・・・ これからも・・・・」

 

 

 

 

 

 

という語りへと繋がる。さらに「無限未来」に繋がったときには・・・・・・ 圧倒的な説得力に徹底的に打ちのめされ、しかしながら清々しい気分に襲われたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

『人は " 枠組みを壊していけ!!! 枠組みに捕らわれるな " と安易に語るが、本当にそれだけで "新しい未来へ" と繋がっていくのだろうか? 』

 

 

『そうではなく、個性を引き出し、ぶつけ合いながらも現実との着地点を探り、新しい枠組みを構築して、そこから先を見通す中で人それぞれの "その人らしい未来" をつかんでいけば良いのだ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この表現は「無限未来」・MVの世界観ともリンクした表現であることが、非常に興味深い。そして、映画・『ちはやふる -結び-』のために書き下ろされた楽曲なのだが・・・・ Perfumeにとっての新しい枠組みと未来をも提示しているようにも思えてくる。そして、この公演によって「無限未来」という楽曲に、またさらに新しい意味が付与されたようにも感じられたのだ。そう、この楽曲の響きは、オレにはこのように語りかけているように感じられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

" 枠組みは変わろうとも・・・・ Perfumeの本質は変わらない。三人の個性を引き出し、ぶつけ合い、そして一つに溶け合って調和させていく。そして人々に "人それぞれの未来の行方" を見せてあげられるように。 "

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして「無限未来」のイントロを聴くたびに・・・・・ カーテンコールでの彼女達の晴れやかな表情を思い出し、そしてこの楽曲の特別感と圧倒的な説得力を、オレはこれからも実感し続けるのだろうと思う(笑顔)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[○追記・24日pm18:30]

 

 

 

 

JALのWebマガジンである 『OnTrip JAL』 にて、この公演の振付・演出を行ったMIKIKO氏のインタビューが掲載されているが・・・・ この公演の表現手法と演出方法につながるところがあると思う。

 

 

 

 

 

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ライター :   日本のどのようなところが、ご自身と「合っている」と感じますか? 」

 

 

 

MIKIKO :  日本ならではの細やかさや、気遣いがすごく好きですね。また私の仕事は、自分で動くのではなく人に動いてもらうことなので、たとえば5人グループに踊ってもらう場合、5人が集まったときの全体のムードがとても大事なんです。技術の高い子だけを5人集めてきて、私の思うように動いてもらうのではなく、特定の5人の関係性のなかでベストのものをつくりあげる。だから一つひとつの仕事に時間はかかりますが、それが面白いんです。

 

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この公演を全体としてのテーマとして感じられる、

 

 

 

 

" 三人の個性を引き出し、ぶつけ合い、そして一つに溶け合って調和させていく  "

 

 

 

 

 

ということをMIKIKO氏自身が大切にしているだなぁ(笑顔)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[○追記2・4月26日pm19:45]

 

 

 

いよいよこの公演の放送日が迫ってきたが・・・・・・ どうもこの公演の演目をすべて放送してくれるようで。本当にありがたい話だなぁ(笑顔)。

 

 

 

 

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NHK東京2020@nhk_2020

 


先日話題になったライブステージ、Perfume×TECHNOLOGY presents “Reframe”、いよいよ4月29日(日)夜11:30からBSプレミアムでそのパフォーマンス全てを放送します。

 

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NHKさん、ありがとう!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

[○追記3・4月29日pm18:55]

 

 

 

『「Perfume×TECHNOLOGY」presents“Reframe”』の公演で投入されたテクノロジーの解説が、公式HPにて少しずつ始まっている。

 

 

改めて驚いたのが、「FUSION」の演目で用いられた "影の演出" で、これは仮想光源をシミュレーションして作成した、『バーチャルシャドウ』 というものをプロジェクションしていたそうで。

 

 

 

 

 

 

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ここでスクリーンに映っている影は2種類あります。現実空間の光によって作られた本物の影と、仮想空間上の光によって作られた仮想の影「バーチャルシャドウ」です。バーチャルシャドウはプロジェクターで投影されている映像で、現実世界の光を遮って作られたものでは無いため、自由に変化することが可能です。

 

 

 

 

 

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ということは、それと同時に、振付を間違ったり、少しでもズレてしまうとミスが完全に露見してしまうということでもあるのだろうと思う。

 

 

 

 

Perfumeのダンス・パフォーマンスの精度の高さが "この世界観" を成立させている・・・・・・・ 本当に凄い(笑顔)。