追記あり・無機質で空虚な都会に魔法をかけて"ステキな空間"に変化させる。そんな力を持った彼女たち | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

追記あり・無機質で空虚な都会に魔法をかけて"ステキな空間"に変化させる。そんな力を持った彼女たち

今朝入手したPerfumeの23枚目のシングル『TOKYO GIRL』を携えて・・・ 今日は仕事を早めに終わらせ、「東京ゲートブリッジ」を経由して臨海副都心へとクルマを流しながら、クルマ搭載のオーディオシステムで爆音で聴いて帰ってきた(笑)。







気兼ねせず、高い音圧で聴ける環境は、中田ヤスタカ氏の演出意図を少しでも多く受け取るためには重要な要素ではないかと考えている。

まずは簡単なファースト・インプレッションを書くことにする。(まだ短期間しか聴いていないので、短絡的に感じたものだけでお許し頂きたい。)











○まず「TOKYO GIRL」から。


今回のこのトラック全体では8kHz~12KHzの高音域が鮮烈に感じる。これはスネアやハンドクラップ音色がEQでその帯域が持ち上げられているからだろうか。そしてイントロのフロアタムとスネア音色に、深いリバーブのエフェクト処理が施されているのが印象的なのだが・・・・ 




楽器の演奏経験がある方なら既にお気づきだろうが、ハードウェア・エフェクターなどでディレイやリバーブなどのエフェクト処理を行うと、処理した余韻の響きの部分にホワイト・ノイズが乗ることがある。これはデジタル処理をするICなどを使っても同様で、特に安価なコンパクト・エフェクターなどを用いた場合に多い。


一般的には音響的にはこのようなホワイト・ノイズは忌み嫌われるものなのだが、演奏者・プロダクト側からすると、このようなノイズもエフェクターごとの個性、あるいは "エフェクター特有の味" として積極的に積極的に利用する場合もある。








この楽曲のトラックでは、フロアタムとスネア音色のリバーブ処理の余韻に「サー」っとホワイト・ノイズが乗っているのがわかる。この響きがオレには "シルクのベール" のように感じられ、無機質で空虚な都会の孤独感に震える人々をやさしく包み込むようなイメージが湧き上がって来る。このイントロの響きだけでも鳥肌が立つ。


しかし中田ヤスタカ氏の制作環境では、プラグイン・エフェクターしか使っていないはずだが・・・ 往年のハードウェア・エフェクターをシミュレートしたプラグイン・エフェクターを使っているんだろうけど、プラグイン・エフェクターって、このようなホワイト・ノイズ感もしっかりとシミュレートされているんだろうなぁ。





-------------------------------------------------------------------------------------------------


ライター : そこまで帯域にこだわって曲を作っているクリエイターも珍しいですよね」




中田ヤスタカ : 僕の場合は帯域で展開/構成する曲が多いんですよね。曲が進むにつれて空気中に占めるある帯域の割合が薄くなって、そこからバン! って壁になって復活するみたいな。音階とか譜面が作曲で、リバーブやEQがミックスの領域だとは全然考えていないんです。一般的には曲の中で変化させたい場合、音階で変化させますよね。でも僕はそこじゃない部分で楽しんでいる・・・・ 例えばリバーブのセンド量を変えたりして。ミックスも作曲ですからね。」



                                  『サウンド&レコーディング・マガジン 2012年3月号』より

-------------------------------------------------------------------------------------------------




こういうノイズは処理で消せるはずだから・・・・ ノイズでさえも、積極的に利用して表現方法に昇華するところが、さすがという以外に言葉が見つからない(笑顔)。




イントロのAパートに入る直前の一回だけ入る低音は、一見するとバスドラだけのように感じるが・・・・ 40Hz付近の強烈な持続音があるので、ベース音色も一緒に鳴っているのか。


このバスドラが印象的で、イントロとアウトロではそれぞれに一回ずつしか鳴らず、基本的なリズムパターンはフロアタムとスネア音色で構成されている。このイントロとアウトロでは分厚く深いバスドラの響きが数少なくしか鳴らないことで、打撃音や衝撃波のようにリスナーにダメージを与えるが如く襲いかかかってくる。まるで都会に住む人々の "深く重い苦悩が襲い掛かってくる" ように・・・・だ。






ボーカルで印象的なのは、のっちの歌唱だ。元来のっちの声質は硬質な響きが持ち味だが、今回は柔らかい雰囲気にして、あ~ちゃんやかしゆかの雰囲気に寄せた歌唱と音作りになっている。

またのっちの歌唱は真っ直ぐでぶれない歌唱が持ち味と言われているが、この楽曲はロングトーンのところで、ディレイエフェクトやAuto-Tuneで細かくピッチを動かして "揺れ感" を演出しているところが印象的だ。





この楽曲はイントロやアウトロ、A・Bパートも基本的に音数が少ない。それがサビ部に来ると一気に厚味が増すことで、感情の起伏のメリハリが巧みに演出されている。

しかしサビ部のトラックの音数が増えているかというと、よく聴くと実は極めてシンプルな構成だ。結局のところ厚味が増した響きとなっているのは、メロディーの歌唱にコーラスエフェクトを施したり、コーラスパート組み込んだりと、彼女達の歌唱を徹底的にフィーチャーしているところが非常に興味深い。またサビ部のシンセ音色の裏拍のバッキングとボーカルのコントラストが気持ち良すぎる。





やはり "彩りのサラウンド" を奏でるのは・・・・ 彼女達の歌唱、それそのものだということを中田氏は表現したかったということだろうか(笑顔)。











○次に「宝石の雨」。



CM楽曲ということもあって、サビ部はかなり聴いてきたのだが・・・・ いや・・・・ こんな展開の楽曲だったとは。個人的には最近の楽曲の中では一番好みかもしれない(笑顔)。






-------------------------------------------------------------------------------------------------

こういうシングルを「いいシングル」と呼ぶべきだと思う。メロディーはスタンダードでキャッチーで、サウンドの意匠もまた押さえるところを押さえたもので、アレンジは無駄なくソリッドで、だからこそまず、ポップソングとしてのクオリティが圧倒的に高い。という楽曲が2曲、完璧な形で収録されている。

Perfumeと中田ヤスタカはいつもそんな「本物」を作ってきたが、ポップの真髄に触れることができるという意味において、このシングルにある王道感はすごい。




                  ○『TOKYO GIRL』インタビュアー・レビュー(『ROCKIN'ON JAPAN』2017年3月号より)

-------------------------------------------------------------------------------------------------





一見、王道的なPOPSと思いきや・・・・ それを裏切るように細かなところで新しい試みがなされているのが粋だ(笑顔)。





まず印象的なのがクロマティック・パーカッションの音色だ。非常に硬質な響きに処理されており、スピーカーで聴いていると硬質な塊がリスナーに向かって飛んできているような感覚に陥る。こりゃ・・・ ダイアモンドか何かが飛んでくるといった粋な演出を狙っているのだろうか(笑)。






サビ部直前のBパートの歌唱は、サックスなどのリード楽器のベンド奏法を髣髴させる手法で・・・・ 過去のPerfumeの楽曲でこのような手法を取り入れたものはなかったと思う。

この歌唱とベース音色の跳ねるリズムと相まって、かなり軽快な雰囲気を演出され、かなり新しい感覚だ。そしてサビ部に入ってくるとさらに軽快さは増し、シェイカーなどを振りながら演奏に参加したくなるほど、非常に軽快な雰囲気で楽しい。





さて、タイトルにも "雨" という言葉を入れておきながら、全く雨の日の要素、いや曇りの日の要素さえも感じさせないのが本当に面白い。

もちろん歌詞には雨上がりの情景が歌われているが、楽曲全体の響きの雰囲気は、穏やかな日の晴天を終始感じさせるのが非常に興味深い。その理由としては、楽曲全体に口笛の音色を用いていることが大きい要素の一つなのだろう。






" 穏やかな晴天の春の日に、頭の後ろに手を組んで芝生の上に寝転がりながら、空を見上げて口笛を吹きつつ歌う・・・・ "





そんな情景が脳裏に浮かび、そこはかとなく幸せな気分になる。また新しい感覚の凄い楽曲を提示してきたなぁ・・・・(笑顔)。 













さて短絡的に言えば「TOKYO GIRL」が "陰" だとすると、「宝石の雨」の "陽" ということになるのだろうが・・・・。「TOKYO GIRL」では無機質で空虚な都会の孤独感を歌いつつも、「宝石の雨」では、








「無機質で空虚な都会であったとしても、魔法をかければステキで楽しい日々が待っている・・・ "その魔法" を有している存在こそがPerfumeなんだ






と表現されている。要するに中田氏はこのシングル全体で「"その魔法" を有している存在こそがPerfumeなんだ」と表現したかったようにオレには思えてしょうがないのだ。もしそうであれば・・・・ 中田氏はやはり彼女達の内面とその成長に寄り添った楽曲作りをしていることを痛感させられる。







-------------------------------------------------------------------------------------------------


かしゆか : あんなに不安の塊だった私が、自分の好きなことに夢中になって、人生を楽しんでる。楽しくて素敵な毎日が待ってるんですよ。フッと抜ける時が来るんだよね。悩みが辛ければ辛いほど、それが抜けた時幸せになれる。そして絶対その日は来るから」


                                                  ○『音楽と人』・2017年3月号より

-------------------------------------------------------------------------------------------------







彼女達が語り、そして歌い踊れば、単調でモノトーンだった日常に彩が芽生え、生活が、そして人生が豊かになっていく・・・・ 





今回も中田氏は、なかなか粋なシングルを作ったものだ(笑顔)。











[○追記・15日pm19:45]



昨日の「TOKYO GIRL」のファースト・インプレッションでは「トラック全体では8kHz~12KHzの高音域が鮮烈に感じる」と書いた。その理由としてはスネアやハンドクラップ音色がEQでその帯域が持ち上げているからだろうと考えていた。




今日、再び聴き込んでみると、もちろんスネアやハンドクラップ音色がEQ処理もあるのだろうが・・・・ どうもメロディーを歌うボーカルのEQの処理も関連しているように感じられたのだった。





まず1番のAパートとBパート(2番も共通)の歌詞では、サ行(さ・し・す・せ・そ)が適宜に組み込まれ、楽曲のフックとなっている。





-------------------------------------------------------------------------------------------------

太陽が射しこむ街で目を
情報を掻き分ける熱帯魚
平凡を許てくれない槽で
どんな風に気持ち良く泳げたら

Lighting Lighting 照ら
Singing 今日も着飾って
ハッピー Feeling good 見渡
めいっぱいに手を伸ば

-------------------------------------------------------------------------------------------------





このサ行は発音的には "歯茎摩擦音" と言われ、鮮烈な印象を与えるが4kHz~6kHzの帯域をEQで持ち上げると、耳に刺さるような傾向の響きにもなってしまう。

しかし、この楽曲はこのサ行が耳に刺さるような響きに全く感じられない。その一方でサ行の鮮烈さが無くなっているわけでもないところが非常に興味深い。




どうも・・・ この楽曲のメロディーを歌うボーカルのEQの処理は、4kHz~6kHzの帯域を抑え気味にして、その帯域の倍音である8kHz~12kHzを持ち上げた傾向にしているように感じられるのだ。

なるほど・・・ だから耳に刺さるような響きないのに高音域が鮮烈に感じるのか。それなら合点がいく。






さらに1番のAパートのメロディー担当はあ~ちゃんで、Bパートは(2番も) かしゆかとのっちだ。それで2番のAパートのメロディー担当はのっちなのだが・・・




-------------------------------------------------------------------------------------------------

たくさんのモノが行き交う街で
何気なく見てる風景に
なにかもの足りない特別な
未来を指差して求めてる

-------------------------------------------------------------------------------------------------




上記の、のっちメロディー担当パートの歌詞はサ行の "歯茎摩擦音" が圧倒的に少ないのがお分かりだろうか。

元来のっちの声質は硬質な響きが持ち味だが、今回は柔らかい雰囲気に感じるのは、どうもボーカルのEQ処理も当然ながら、歌詞の配置と歌い分けの戦略が功を奏しているように感じられてならない





このような部分にも注目して楽曲を聴いていくと、この楽曲の味わいがより深いものとなると思う。









【早期購入特典あり】TOKYO GIRL(初回限定盤)(DVD付)(特典:未定)/Perfume

¥1,900
Amazon.co.jp

【早期購入特典あり】TOKYO GIRL(通常盤)(特典:未定)/Perfume

¥1,450
Amazon.co.jp

TOKYO GIRL(初回限定盤)(DVD付)/Perfume

¥1,900
Amazon.co.jp

TOKYO GIRL(通常盤)/Perfume

¥1,450
Amazon.co.jp

ロッキング・オン・ジャパン 2017年 03 月号 [雑誌]/著者不明

¥価格不明
Amazon.co.jp

音楽と人 2017年 03 月号 [雑誌]/著者不明

¥価格不明
Amazon.co.jp

Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガ.../サウンド&レコーディング・マガジン編集部

¥価格不明
Amazon.co.jp