[追記2あり] "みんなの共有財産" だから・・・ みんなで作り上げ、みんなで楽しむ。 | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

[追記2あり] "みんなの共有財産" だから・・・ みんなで作り上げ、みんなで楽しむ。

『カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル』のPerfumeのパフォーマンスも含めた『Happy Hacking: Redefining the Co-creation Frontier』のプレゼンテーションを担った菅野薫氏(電通)と我らの真鍋大度氏のインタビューが『white-screen.jp』にて公開されているの見つけ、早速読んでみた。








とりあえず感じたことを簡単に書きたいと思う。







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菅野 : 大度くんが『Perfume global website』を立ち上げた時に、『一方的にクリエイターが作って "はい、どうぞ" みたいな関係ではなくて、場や環境を作ることで、みんなの力でコンテンツを作るのがいいと思うんですよね』と言っていたのが印象的でした。ファンからPerfumeへの愛、Perfumeから応援してくれるファンへの愛が感じられる素晴らしいプロジェクトだと感動したのを覚えています。




                   ---------------- 省略 ----------------




真鍋 : 日本にいるファンとヨーロッパにいるPerfumeを『#003』のプロジェクトを通じて繋ぐということは、MIKIKO先生の考えるところであり、メンバー3人の願いでもありました。そういったコンセプトがあったので、Webでみんなが作った物をパフォーマンスで使うということは当初から決まっていました。ファンからのツイートを衣裳にプロジェクションする、Twitterを使った演出もMIKIKO先生の発案です。」

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2007~2008年のブレークの季節を過ぎ "Perfumeはみんなの共有財産" になったと思う。みんなで一緒にPerfumeの世界観を楽しみ、みんなで一緒にPerfumeの世界観を支え、みんなで一緒にPerfumeの世界観を作り上げる・・・・・。



『Perfume global website』や『#003』は "みんなの共有財産であるPerfumeをみんなで作り上げ、みんなで楽しむ" というプランニングというところが、いかにも真鍋氏とMIKIKO氏らしいなぁ・・・・。 そこはかとなく嬉しくて、ニンマリする(笑顔)。







さて未だに "アーティスト側はサービスの提供者で、ファンやオーディエンスは消費者だ。ファンやオーディエンスである我々は "客" なんだから満足させろ!!! "というお考えの方々もいらっしゃると思う。もちろん受益者負担の関係から考えれば当然なのだろう。確かにファンではない、単にオーディエンスであればその主張も理解できる。





しかし "私はファンである" と主張するのであれば、Perfumeという共有財産をみんなでなるべく満遍なく楽しみ、どのように育て、そして守っていくのかというところにも思いをめぐらせてほしいとオレは思う。

そして例えばPerfumeの活動が自分の思い通りにならないからといって、不満を述べるのではなく、"それでは自分はどのようにアプローチすれば、積極的にPerfumeを楽しめるのか" というもっとポジティブな姿勢で向かい合ってほしいとも思う。




ファンの間には、Perfumeという共有財産を積極的に楽しむために "このようなアプローチでPerfumeを日々堪能している" という "楽しむためのヒント" を積極的に情報発信を行っている方々も少なくないと思う。そういう方々を、オレは心から尊敬する。






そして、このBLOGも・・・・・ もし皆さんのPerfumeを楽しむためのヒントに微力でも貢献しているのなら・・・・ そこはかとなく嬉しいと思うのだが。さてどうだろうか(苦笑)。














そして・・・・ この話はかなり壮絶なものだ。




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真鍋 : 当初与えられたセッティング、キャリブレーションの時間は始まる直前の15分間のみ。メンバー3人は本番までステージに立つ事は許されずぶっつけ本番でやるしかないという非常に厳しい条件で、さらに彼女達は大阪でライブを終えてすぐに渡仏してライブという過酷なスケジュールでした。当日の会場のセットも、その日まで分かんなかったもんね(笑)。」





菅野 : 『こういうことか・・・』みたいな(笑)。」





真鍋 : 『なるほどなるほど、そこにソファーとテーブルくるんだね』って(笑)。年末に紅白をやった時に、『これ以上大変なものはない』と思いましたが、更にそれを超えてきました。」

真鍋 : 会場を実際に見るまで分からないことが多過ぎたのでバックアッププランを他に2つ作っていきました。本番直前まで様々な状況判断に迫られて、それはもう大変なことになっていましたが、結果としてはトラブルもミスも1つも無く全てうまくいきました。もちろんテクニカルチームは、事前に出来ることは、これでもかというくらい全てやりましたが、これくらい条件がシビアになってくると運とかそういうレベルだと思うんですよね。「3人は何かを持っているね」という話をよくみんなでしています(笑)。」

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Perfumeのメンバーや携わったstaffも含めて、使用する会場以外では相当なシュミレーションとリハーサルを重ね、準備は抜かりは無かったのだろう。


しかし、実際のステージでのリハーサルも行えず、機材などのセッティングやキャリブレーション(微調整)は開始直前の15分間だけとなれば、どうしてもケアレス・ミスを誘発し、それが取り返しのつかない大きな問題に発展する可能性もある。






よくそんな状況で成功させたなぁ・・・・ 凄い・・・・。






真鍋氏は "運" と表現したが、Perfumeのメンバーは長年のキャリアの中でさらに過酷で、さまざまな失敗を経験したことと思う。その経験の中に "失敗を呼び込まない考え方やコツ" というものが、自ずと身についていったのではないかと思う。

そして今回のプレゼンテーションには多くのstaffが関わる訳で。このようなLiveにおける勘所はstaffよりもメンバーのほうが上だろう。緊張し硬くなっているstaff陣の間に "失敗を呼び込む雰囲気" が漂っていたとしてもメンバーが的確にそれ把握し、その悪い雰囲気を払拭するような雰囲気作りや声かけなどを行っていた可能性もある。そういうことも成功の一因かもしれないと思った。













そして菅野氏のこの言葉は、ファンとしては非常に嬉しく感じる。





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菅野 : 僕が今回一緒にお仕事をさせていただいて改めて感じたのは、Perfumeの3人をはじめチームのプロ意識、クリエーティブテクノロジーチームの取り入れ方、両方の凄さです。パフォーマンスを完璧にやりきっていて、そこにテクノロジーが関わってくるから見たことない状態になるなと。どっちが欠けてもダメで、その融合感がむしろ肝で、融合することで更に凄いところにいくんだなって。



菅野 : 本番で洋服の揺れや、躍動感の部分にリアルタイムで映像が追従していってくれたとき、事前のテストやリハーサルにはなかった感動がありました。その場でしか体験出来ないものの、圧倒的な興奮がありました。カンヌライオンズではPerfumeを初めて見た人も多かったと思いますが、錚々たるクリエイターたちのあの熱狂ぶりは凄かったですね。」

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そうなのだ。たとえレベルの高い最先端のテクノロジーを駆使したとしても、それでオーディエンスが感動するわけではない。


レベルの高い最先端のテクノロジーを駆使したとしても、それでもなお "表現する側がオーディエンスに伝えたい何か" というものが伝わることで、初めて感動が生まれるはずだ。そして・・・・







"その場でしか体験出来ないもの"





というものにオーディエンスが遭遇することで圧倒的な興奮が生まれると思う。この "一期一会のLive感" を引き出すのがPerfumeのメンバーは非常に巧みだとオレは常々感じていた。

だからこそCDでも無く、DVDでも無く、放送波でもなく・・・・ "その場" をその空間で体験したいとオレは心底思う。









たとえ遠くて見えにくくても、響が悪くたって構わない。 "その場でしか体験出来ないもの" をみんなと共有したい・・・・ それが今年の年末に "小石川の森" にオレが向かうモチベーションだ。
 















<○追記>




この辺の話も非常に興味深い。



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ライター :  もう一つびっくりしたのが、パフォーマンス中何度か早着替えされた衣裳です。」



真鍋 : 実は5回変形してるんです。幾つかの変形はオペレーションしているマシンから無線でモーターをコントロールしています。

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なんと5回も衣装が変形していたのか!!! 確かにメンバーが手動で変形させているのは以前のエントリーでも取り上げたが、無線でモーター駆動でも変形されているとは・・・・ 







これは以前のエントリーでご紹介した、ステージ上の暗転時の赤外線映像。


音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界







こういうものって本番では動かなくなったりすることも多いと思うのだが。やはり真鍋氏も語っているとおり、Perfumeメンバーと携わっているstaffは本当に運にも恵まれているんだなぁ・・・。






そして・・・・






音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界







みんな達成感に満ちた、本当に清々しい表情。ステキだ・・・・・・・













<○追記2・24日pm19:14>




エントリーが長くなるので昨日は取り上げなったが(苦笑)、やはりこの部分も非常に興味深いので追記として取り上げたいと思う。



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真鍋 : ビヨンセのはインタラクティブではなく練習の賜物ですね。本当に素晴らしいパフォーマンスだと思いますが、万が一画像解析を使っていたとしたら少し勿体ないような気もします。何故ならば、あの演出は練習でも出来るからです。


真鍋 : 今回の場合は衣裳も変形するし、人の動きに合わせて映像がついてくるっていうのは練習では到達できない領域。そこにテクノロジーを使うというのは正しいやり方かなと思ってます。Perfumeは直角二等辺三角形TOURの「edge(⊿-mix)」という楽曲で、ビヨンセよりも早くマルチスクリーンを使った映像とダンスのコラボレーションを行っていますよね。


真鍋 : 私も当時、1人のファンとして拝見して感銘を受けましたが、彼女達は我々が扱っているようなテクノロジーが一切無くても精度の高い素晴らしいパフォーマンスを幾らでも出来るんです。そのパフォーマンススキルと世界観にテクノロジーをうまく組み合わせることで、新しい表現が出来るのではと思っていて、その辺はMIKIKO先生が考えているところでもあるかと思います。」

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カンヌのPerfumeのパフォーマンスを深く捉えようとせず、表面的なものだけに関心が持って行かれた方々は、





"レベルの高い最先端のテクノロジーを駆使するということは、演者はスキルを要求されないのだろう。結局、誰が演者になっても良いってことなんでしょ?"




と短絡的に考えてしまった方々も少なくないと思う。しかしあのパフォーマンスが、オレは心が震えるほど感動したのは "圧倒的に新しい表現の方法を我々の前に提示してきた" という感覚が大きかったと思う。





高いスキルを持ち合わせた演者とレベル高いテクノロジーがお互いにしのぎを削って切磋琢磨する。それはまるで "Jazzセッション" のようにもオレには感じられる。

確かにそこには、それぞれのスキルワークには決め事や規則性、法則性などは存在するだろう。しかしそうであったとしても、偶然に発生した "その場でしか体験出来ないもの" という要素も存在し、むしろその "一期一会のLive感" というものがオーディエンスを魅了するのではないだろうか。



そして "偶然性という表現" と "一期一会のLive感" を引き出すためには、高いスキルの演者とレベル高いテクノロジーがお互いにしのぎを削ることが必須なのであろう。





このインタビューで真鍋氏とMIKIKO氏の企画・演出面でのアプローチは、そのようなものであるとオレには感じられた。







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