レコーディング当日に歌詞と曲を作る。それがメンバーの歌唱を活かす楽曲製作の真骨頂@MARQUEE
中田ヤスタカ氏のインタビューが頻繁に掲載される音楽雑誌の『MARQUEE』。今月号のvol.90には『STEREO WORXXX』のリリースに伴っての中田氏とこしじまとしこ氏のインタビューが掲載されていることは把握しながらも、いろいろとバタバタしていて入手できていなかったが、ようやく購入。
他のインタビュー記事と被るところも多いが、やはり『MARQUEE』でのインタビューならではの内容も多く、非常に興味深くかなり面白かった。
さらに中田氏のインタビューではあまり語ることの少ない、Perfumeのレコーディングについても踏み込んだ発言があり、かなり興味深かった。
今回のエントリーはそのPerfumeのレコーディングに対する発言を中心に思ったことを書きたいと思う。。
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「中田 : 前略・・・・ 数日前、Perfumeのレコーディングしたんですけど。レコーディングが夜で、その日の昼から曲を作ったりして。だいたいは当日か前日の夜に作ってるんですよ。」
「ライター : そうなの!?」
「中田 : 前略・・・・ そうなんですよ、Perfumeの場合。capsuleも当日のことが多い。具体的に言うと、例えば、夜の20時からPerfumeのレコーディングだとすると、当日14~15時ぐらいに1曲をパッと作って。16~17時にもう1曲作って。それで2曲目のほうがいいと思えば『こっちにしようかな』って歌詞を書き始める。」
「中田 : で、18時ぐらいに『まだ2時間あるな』って思って、もう1曲作るんですよ。で、19時半ぐらいのタイミングで『3曲目のほうが全然いいじゃん』ってなったら、20時って言ったけど『21時にしてください』って歌詞を書く。」
「中田 : だから『前日から作る』とか『当日に作る』って言うと『とんでもねー奴』って思われがちなんですけど。違うんですよ。例えば、前日にメロディーと歌詞を何曲書いても、当日にまた作れちゃうわけ、当然。当日も3曲ぐらい作っているんですよ。で、そっちのほうがいいに決まっているんです。いつも新しいやつが好きだから。」
「中田 : メロディーなんてアドリブで弾ける。だから5分の曲って、5分でできるんです。(一同どよめく)」
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凄い ・・・・ 凄すぎる・・・・ もう感嘆の声しか出ない・・・・。
少しでも楽器の演奏や、作曲・アレンジをしたことがあれば、この話の凄さがお分かりになると思う。
まぁ、中には「これはJazzでいうところのインプロビゼーション(Improvisation : 即興演奏)と同じことだから言うほど凄くないよ」と仰る方々のいらっしゃるかもしれないが、それをJazzではなく、Liveでもなく、POPSのCD制作で用いるという感覚がオレは凄いと思う。たぶん中田氏とっては世間や第三者の評価は全く気にならないのだろう。そうじゃないと、こんな綱渡りな制作方法は怖くてできないと思う(笑)。
ここで発言している、
『5分の曲って、5分でできるんです。』
というのはさすがに "完成された楽曲が出来上がる" というよりかは、"メロディーラインが完成する" ということだろうが(笑)。
要するに中田氏にとっては、その日の気分や感じたこと、考えたことがすぐさま、楽曲や音色、歌詞として構築でき、自由自在に表現できるということだ。
この感覚は当然、訓練や鍛錬もあるかもしれないが、天が中田氏に与えた才能というのもあるんだろうなぁー・・・・ いずれにしても凄い・・・・・。
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「ライター : そうなんだ・・・・ 。そんなんでやっているんだ。で、どんどん作って、どっちがいいかパッと判断しているんだ?」
「中田 : そうですね。やっぱり『おっ!』っていうところがないと。『もっとよくならないのかな』ってウンウン言いながらやりたくない。そういうのはそもそもよくない曲だから。それなら違う曲を作ったほうが早いし。『曲ができない』ってことはないので。で、レコーディング始めた時の音がピンと来なくても、アレンジしながらレコーディングするんで。」
「中田 : Perfumeの場合、1人目が歌っている時と2人目の時とではオケやコード進行が違うことは結構ある。だから『今日のとりあえず聴きますか』っていう時には『歌録り始めた時と全然違うじゃん』っていう。」
「中田 : レコーディングをレコーディングだと思っていないんですよね。世の中で言う "レコーディング" って、決まっている事をやっていくじゃないですか。でも僕はやっぱりアレンジとかレコーディングとか演奏、全てをひっくるめて作曲だと思っているんで。作曲をまだしているところなんですよ、レコーディングでは。」
「ライター : それもかなり佳境だよね。」
「中田 : そうなんですよね。capsuleにとってレコーディングこそライヴ。演奏してるしね、その時。」
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その辺の発言は過去のインタビューでも語っているのでご存知の方も多いと思うが、Perfumeでもこの方法を用いていると明言したのは初めてかもしれない。
そして、
『capsuleにとってレコーディングこそライヴ。』
中田氏がレコーディングに命をかけているその心意気が伝わってきて・・・・ グッときてしまった。
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「中田 : 食材を探して料理する準備している感じですよね。釣りだか狩だかわからないけど。レコーディングで最後の "声" っていう素材も揃って、あとは1人の作業で "調理" するような感じ。」
「中田 : ジャンル、何料理になるかはわからない。『でも、今日のメインはどう考えてもイモだな』って。『今日すげぇいいイモ採れたから』って(一同笑)。『このイモどう活かすのか』みたいな。そういう作業なんですよ。」
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Perfumeのファンの方々の中には、もしかすると
「中田氏が好き勝手やって・・・・ 全然Perfumeの歌唱を活かしていない」
とお考えの方々もいらっしゃるかもしれない。
しかし、オレがこれまでのエントリーで何度も書いてきたが、Perfumeにおける楽曲制作は、レコーディング当日にメンバーの歌唱に、中田氏は相当インスパイアーされて創作意欲が掻き立てられ、その結果として生まれた響きだと感じていた。
そして中田氏なりに考えた、現在のPerfumeのメンバーの雰囲気に似合い、そしてメンバーの魅力を引き出すような楽曲とその方向性を、瞬時に且つ巧みに選択していると感じていた。
このインタビューで語られている、「数日前、Perfumeのレコーディングしたんですけど」というのは時系列から考えると、New SINGLEの『Spring of Life』か、あるいはCMタイアップ楽曲で未発売楽曲の「ポイント」である可能性が高いと思う。
PerfumeのNew SINGLEに収録された「Spring of Life」と「コミュニケーション」。そして「ポイント」。
界隈の皆さんはこの楽曲たちの響きから、
「レコーディング当日の採れた、Perfumeメンバーの"新鮮な歌唱素材" を中田氏はどのように活かそうとしているのか・・・・」
「現在Perfumeが持ち合わせているどのような魅力を、中田氏は引き出そうとしているのか・・・・・」
とお感じになったのだろうか・・・・・。
さて、今回のインタビューでは『STEREO WORXXX』に関する内容でも非常に興味深くかなり面白かった。
次回のエントリーはその部分についても書きたいと思う。
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他のインタビュー記事と被るところも多いが、やはり『MARQUEE』でのインタビューならではの内容も多く、非常に興味深くかなり面白かった。
さらに中田氏のインタビューではあまり語ることの少ない、Perfumeのレコーディングについても踏み込んだ発言があり、かなり興味深かった。
今回のエントリーはそのPerfumeのレコーディングに対する発言を中心に思ったことを書きたいと思う。。
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「中田 : 前略・・・・ 数日前、Perfumeのレコーディングしたんですけど。レコーディングが夜で、その日の昼から曲を作ったりして。だいたいは当日か前日の夜に作ってるんですよ。」
「ライター : そうなの!?」
「中田 : 前略・・・・ そうなんですよ、Perfumeの場合。capsuleも当日のことが多い。具体的に言うと、例えば、夜の20時からPerfumeのレコーディングだとすると、当日14~15時ぐらいに1曲をパッと作って。16~17時にもう1曲作って。それで2曲目のほうがいいと思えば『こっちにしようかな』って歌詞を書き始める。」
「中田 : で、18時ぐらいに『まだ2時間あるな』って思って、もう1曲作るんですよ。で、19時半ぐらいのタイミングで『3曲目のほうが全然いいじゃん』ってなったら、20時って言ったけど『21時にしてください』って歌詞を書く。」
「中田 : だから『前日から作る』とか『当日に作る』って言うと『とんでもねー奴』って思われがちなんですけど。違うんですよ。例えば、前日にメロディーと歌詞を何曲書いても、当日にまた作れちゃうわけ、当然。当日も3曲ぐらい作っているんですよ。で、そっちのほうがいいに決まっているんです。いつも新しいやつが好きだから。」
「中田 : メロディーなんてアドリブで弾ける。だから5分の曲って、5分でできるんです。(一同どよめく)」
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凄い ・・・・ 凄すぎる・・・・ もう感嘆の声しか出ない・・・・。
少しでも楽器の演奏や、作曲・アレンジをしたことがあれば、この話の凄さがお分かりになると思う。
まぁ、中には「これはJazzでいうところのインプロビゼーション(Improvisation : 即興演奏)と同じことだから言うほど凄くないよ」と仰る方々のいらっしゃるかもしれないが、それをJazzではなく、Liveでもなく、POPSのCD制作で用いるという感覚がオレは凄いと思う。たぶん中田氏とっては世間や第三者の評価は全く気にならないのだろう。そうじゃないと、こんな綱渡りな制作方法は怖くてできないと思う(笑)。
ここで発言している、
『5分の曲って、5分でできるんです。』
というのはさすがに "完成された楽曲が出来上がる" というよりかは、"メロディーラインが完成する" ということだろうが(笑)。
要するに中田氏にとっては、その日の気分や感じたこと、考えたことがすぐさま、楽曲や音色、歌詞として構築でき、自由自在に表現できるということだ。
この感覚は当然、訓練や鍛錬もあるかもしれないが、天が中田氏に与えた才能というのもあるんだろうなぁー・・・・ いずれにしても凄い・・・・・。
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「ライター : そうなんだ・・・・ 。そんなんでやっているんだ。で、どんどん作って、どっちがいいかパッと判断しているんだ?」
「中田 : そうですね。やっぱり『おっ!』っていうところがないと。『もっとよくならないのかな』ってウンウン言いながらやりたくない。そういうのはそもそもよくない曲だから。それなら違う曲を作ったほうが早いし。『曲ができない』ってことはないので。で、レコーディング始めた時の音がピンと来なくても、アレンジしながらレコーディングするんで。」
「中田 : Perfumeの場合、1人目が歌っている時と2人目の時とではオケやコード進行が違うことは結構ある。だから『今日のとりあえず聴きますか』っていう時には『歌録り始めた時と全然違うじゃん』っていう。」
「中田 : レコーディングをレコーディングだと思っていないんですよね。世の中で言う "レコーディング" って、決まっている事をやっていくじゃないですか。でも僕はやっぱりアレンジとかレコーディングとか演奏、全てをひっくるめて作曲だと思っているんで。作曲をまだしているところなんですよ、レコーディングでは。」
「ライター : それもかなり佳境だよね。」
「中田 : そうなんですよね。capsuleにとってレコーディングこそライヴ。演奏してるしね、その時。」
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その辺の発言は過去のインタビューでも語っているのでご存知の方も多いと思うが、Perfumeでもこの方法を用いていると明言したのは初めてかもしれない。
そして、
『capsuleにとってレコーディングこそライヴ。』
中田氏がレコーディングに命をかけているその心意気が伝わってきて・・・・ グッときてしまった。
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「中田 : 食材を探して料理する準備している感じですよね。釣りだか狩だかわからないけど。レコーディングで最後の "声" っていう素材も揃って、あとは1人の作業で "調理" するような感じ。」
「中田 : ジャンル、何料理になるかはわからない。『でも、今日のメインはどう考えてもイモだな』って。『今日すげぇいいイモ採れたから』って(一同笑)。『このイモどう活かすのか』みたいな。そういう作業なんですよ。」
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Perfumeのファンの方々の中には、もしかすると
「中田氏が好き勝手やって・・・・ 全然Perfumeの歌唱を活かしていない」
とお考えの方々もいらっしゃるかもしれない。
しかし、オレがこれまでのエントリーで何度も書いてきたが、Perfumeにおける楽曲制作は、レコーディング当日にメンバーの歌唱に、中田氏は相当インスパイアーされて創作意欲が掻き立てられ、その結果として生まれた響きだと感じていた。
そして中田氏なりに考えた、現在のPerfumeのメンバーの雰囲気に似合い、そしてメンバーの魅力を引き出すような楽曲とその方向性を、瞬時に且つ巧みに選択していると感じていた。
このインタビューで語られている、「数日前、Perfumeのレコーディングしたんですけど」というのは時系列から考えると、New SINGLEの『Spring of Life』か、あるいはCMタイアップ楽曲で未発売楽曲の「ポイント」である可能性が高いと思う。
PerfumeのNew SINGLEに収録された「Spring of Life」と「コミュニケーション」。そして「ポイント」。
界隈の皆さんはこの楽曲たちの響きから、
「レコーディング当日の採れた、Perfumeメンバーの"新鮮な歌唱素材" を中田氏はどのように活かそうとしているのか・・・・」
「現在Perfumeが持ち合わせているどのような魅力を、中田氏は引き出そうとしているのか・・・・・」
とお感じになったのだろうか・・・・・。
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