小学六年生の春、
父親の仕事の都合で私は転校をした。
小学六年生での転校というのは最悪なもので、
半分無邪気、半分思春期という
絶妙なお年頃だ。
そんな集団を目の前に行う転校初日の挨拶は、
今でも忘れられないくらい緊張した。
「どんなやつなんだ??」
「可愛い?可愛くない?」
そんな風に品評されている気がして、
なんだかとても逃げ出したい気分だった。
「加賀マユミです。宜しくお願いします。」
そんな無難な挨拶をして、
私は案内された席に座った。
隣の席に座ることになった彼に、
私は初恋をすることになる。
「加藤!加賀さんに今日は教科書見せてやって」
「はい」
こちらを見もせず、
彼は頭をペコっと下げた。
だから私も頭をペコっと下げた。
私は今後どうやってこのクラス(女子たち)
に馴染もうか考えることに集中しており、
その時は本当に
「ただの隣の席の人」
としてしか見ていなかったし、
第一印象は特に何もなかった。