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翌日の朝練の後、
私がジャージから制服に着替えていると
サツキが駆け寄ってきた。



「せんぱい!私彼氏できたんです!フフ!」


「え、、!えぇ!そうなのー!!!
だれだれ???」



内心は聞きたくない、どうか違ってくれと
祈るばかりだった。



「せんぱい、他の先輩に秘密にしてくれますか?実はせんぱいと同じ学年の人なんです!
なのであまり広まっちゃうと向こうにも迷惑になっちゃうんで…」





「…あそうなんだ!年上!?やるねぇ!
うちの学年かーーーやーますますわかんないな!」



「実は…





加藤先輩です!」




(はぁーーーーーーーやっぱりか。。。
聞きたくねぇー!!!!!!)



「加藤って、1組の加藤!?
えーーそうなんだ!!え、どっちから??」


聞きたくないと思いつつ、
何も聞かないのは怪しまれてしまうと思い
必死に質問を捻り出した。


「私から言いました!」



「へぇ〜!!よかったね、おめでとう!
誰にも言わないよ!」


「はい、ありがとうございます。
おつかれさまでした!」


噂は本当だった。
私の初恋はあっけなく散った。


告白をすることもなく。
後輩に先を越されてしまった。
なんとカッコ悪いことか。




サツキ、本当にいい子なんだよなぁ。
だから加藤くんがOKするのもわかるなぁ

なんてボーッと考えながら、
私は授業に向かった。




その日の部活の帰り、
ちょうど野球部も部活終わりだったようで
グラウンドから部室に向かう道で
加藤くんとばったり会った。



(ドキッ。今1番会いたくなかったのに)


向こうがぺこっと頭を下げる。


あぁ野球のユニフォーム姿も好きだなぁ
と思う自分と
いやいやもう彼のことは諦めなさい
と思う自分が
その数秒でグラグラと揺れた。



私もぺこっと頭を下げた。




「あっ、あの!」



会話を交わすつもりはなかったのに、
勝手に声が出ていた。


向こうは
ん?
という表情でこちらを見ている。


「サツキから聞いたよ!おめでとう!」


(言うつもりもなかったのに!
サツキには「誰にも言わないよ」とか言っちゃったのに、本人に言うなんて!しまった!)




「…あぁ。どうも」



「実は私サツキから結構慕われてて!ハハ!」


私の乾いた笑いと謎の自慢が
グラウンドに吸い込まれていった。



惨めだ!とんでもなく惨めだ!


「あーそうなんだ。
アイツもう色んな人に言ってんのかな」



加藤くんがサツキを
アイツ呼ばわりしていることに、
想像以上にショックを受けた。


なんなのその、身内感。


「サツキ、加藤くんの迷惑になるからって
みんなに言わないでって言ってたから
そんなに色んな人には言ってないと思うよ。
じゃ!お疲れ様!」


咄嗟にサツキのフォローを
してしまったことに、
まぁ私らしいなと思いながら

その日の帰り道は気持ちが
どうしようもなくなって、
悲しいのか悔しいのかグチャグチャになって、
家までずっと走って帰った。