ブラジルに来て、はや半年が過ぎた。
最初の1か月は、コパカバーナ地区に住んでいたが、2か月目に、現在住んでいるレブロン地区のアパルタメントに引っ越してきた。
以前、コパカバーナでの「ヘン」をご紹介したときの記事はコチラ
*ベランダからコルコバードの丘とキリスト像が見える♪(右の方のツンとした部分)
*別のベランダからは海も見える♪(少しだけど)
とてもいい環境だ。
しかし!
この辺りではハイソなエリアと言われるレブロン地区のこの家でも、「ヘンなところ」は尽きなかった!
今回は、この新居で遭遇した数々の「ヘン」を紹介する!
【その1】2週間、使用禁止!水漏れ台所
《1回目》
引っ越してきてすぐ、台所のシンクの蛇口をひねったら茶色い水が出ていたので、浄水器をつけてもらうため、業者さんを呼んだ。
ここリオは水道水はかなり汚れているので、料理などには浄水器を通さないとまず使えない。
引っ越し前の家では浄水器が備え付けられていたが、今回は自分たちで設置しないといけないのだ。
数日後、業者さん(=技術者:ポル語でテクニコと呼ばれ、家のトラブルレスキューみたいな存在)が浄水器を持ってきてシンクの下に取り付けの作業を始めた。
しばらく任せておいた後ふと見に行くと、シンクの下の棚に水がボタボタと落ちてきていて、何か必死に作業をしている!
ええっ!?水漏れ!!
お互い、言語でのコミュニケーションは難しいことを感じとっているので、挨拶と必要最小限の単語と、あとはジェスチャーでフォローだ。
こちらは、彼の作業の様子や表情で事態を把握する。
水漏れは、水道管と蛇口のつなぎ目あたりからのようだった。
浄水器をつける時に水を出してみたら、問題が発覚したようだった。
それにしても、前の住人の時は大丈夫だったんだろうか?もしくはこの水漏れと共にずっと生活していたのだろうか?昨日今日に壊れたのではないと思うけど…。
すごいサバイバル能力だ。
でも何時間経っても、状況は全く改善されず、最終的におじさんから
「今日は直すのは無理なので、後日再度工事にくる。」
という主旨のことを言われ、台所が使えないまま、さらに3日ほど待つことになった。
*ちなみにこれが現在のシンク。漏れていた水道管は見えないが、下に写っているのが浄水器と排水管。今も排水管を念のためビニール袋でガードしてある…。
《2回目》
そして3日後、あのテクニコのおじさんの2回目の訪問が。
水漏れの箇所や状況を調べるために、思いっきり水をだしている。そんなに必要かな?と思うほど、わざと水をジャンジャン漏らしながらの作業。
30分、1時間、2時間、3時間…と作業は続き、水は台所の床一面に数ミリの深さで広がる勢い。
冷蔵庫の下などに水が回ると怖いので、雑巾でせっせと水を吸ってはバケツに戻す私を尻目に、彼が池のようになった床に寝転がり、シンクの下に頭を入れて足をバタバタさせながら作業をし続けている。
ちょっと想像してみてほしい。
↓土足厳禁の我が家に泥まみれのビーチサンダルで入ってきた、コロコロ太った汗だくのおじさんが、水浸しの台所の床で全身ビチャビチャになって転がっている場面。
正直、これだけでもかなりの試練だ。
一体いつまで続くの?本当に直るのかな?
この後の掃除、相当大変そう…。
と、気が遠くなりそうになった頃、彼の口から信じられない言葉が。
「これを直すには、根本の工事が必要。また別の日に来て、水道管と蛇口を取り換える大掛かりな工事をしないといけない。」
テクニコのおじさん、前回見た時に、それは分からなかったの…?
この時点で、入居から1週間以上が経っていた。
《3回目》
さらに数日後、再びテクニコのおじさんが新しい水道管と蛇口を手にやってきた。
1つの件で3回も足を運ぶことになったのに、いつも通りの屈託のない笑顔だ。そう、これがブラジル人。憎めない…。
そして一人台所に入ると、いきなり今シンクの上についてる蛇口を電動のこぎりで切り始めた。
オーノー!そんな作業があるなら、台所の物を全て運び出して、ガス台や冷蔵庫にはカバーだって掛けたかった…。始める前に一言言ってよ…。
のこぎりの音が止み、立ち入れるようになって見てみたら、案の定だ。
台所じゅうの物に金属を削った粉が降りかかっている。全身の力が抜けた。
ああぁ…。後でこれ全部、何から何まで、拭いて、洗って、大掃除か…。
それでも今回は4・5時間もかかって、浄水器もやっと設置できた様子で、おじさんもぐったりしながら、でも誇らしげに「OK♪」と言って片づけを始めた。
でも、ちょっと待った!
確かに、ジャンジャン漏れていた水漏れは、「ポタ……ポタ……」くらいにはなった。
でも家の中で「ちょっとくらいなら水漏れしててもOK~」なんてあるワケないでしょ!
ここまで待って、それは我慢できない!
「チャオー☆」なんて言ってさっさと帰ろうとする彼に向って
「ノン、ノン、ノン、ノン!!」と必死で叫び、引き止めた。
渋々戻ってきた彼は問題の箇所を見ても「水はもう出てない。」と言い張る。
それに必死で「まだ漏れてる!ほらここ!!!」としつこく言い続け、ようやく再・再・再度、作業を始めてもらえた。
もう一度新しい部品を買いに行き、問題の箇所に取り付け直し、よーうやく完治して、魂が抜けたようになったテクニコの彼が帰った頃には、もう日も暮れかかっていた。
こうして、入居から約2週間が経ってようやく、台所の使用禁止が解けたのだった。
台所の水漏れひとつに、3回もおじさんがやってくる家。
やっぱり「ヘン」だ。
でもまだまだこの後も、テクニコのおじさんのお世話になる「ヘン」な日々は続いたのだった…。
*【その2】以降は、また次回に。