私が甘かった?
ご近所ゴシップの恐怖
ご存じの方はご存じの通り、うちのママは相当な「カッコつけ」なのである。
「見栄をはる」というのともちょっと違うな。いくつになっても「カッコいい女でいたい」みたいな意識が強い人間なのだ。今年は米寿だというのに、毎日化粧はしているし、髪もきちんと染めている。
そんな彼女から見ると、まだ還暦前なのに、髪は白髪のまま「染めない」宣言。家にいるときはスッピン&ノーブラなんていう私は「ズボラの標本」みたいでイライラするらしい。
とはいえ、そんなカッコつけママも今は要介護2。夜は成人用おむつのお世話になっている。だが、彼女にはコダワリがある。
うちのエリアでは一般ゴミの回収袋は有料なのだが、おむつ用のゴミ回収袋は色違いで無料。だがそのおむつ用回収袋はママ的に使用NGなのである。月に1回の、おむつ配達も、玄関前「置き配」は絶対にNGだ。つまり、彼女にとって「おむつを使っている」ことはトップシークレットなのだ。
正直なところ、私は「自意識過剰だろう」と思っていた。世の中の人はウチにそれほど興味なんかないよ。もし気がついても「年なんだからそういうこともあるよね~」ってなもんだよと言っていた。
それでも、彼女は断固として置配・無料回収袋拒否なのであった。まぁ、ゴミの収集袋なんて1枚〇円の世界だ。目クジラを立てるほどでもない。おむつの配達も在宅で必ず「受け取り」にスケジュールを組めばいい。そのうち彼女も妥協するだろう……。
ところが、私の方で「絶対に妥協させたくない」状況に陥ってしまった。
ある日バスに乗っていたら、優先席あたりで70代ぐらいの女性が2人、大きな声でおしゃべりを楽しんでいた。お互いに耳が遠いのか、かなり声が大きくて、内容は筒抜けだった。2人はどうやらご近所さんらしい。
A婆:ねえ、最近Cさんって見かけないけど、あの人って若年性だっけ? 認知症なんでしょ?
B婆:そうそう、ダンナさんもケガしてから要介護だから、嫁にいかなかった娘さんが1人で2人の面倒を見ているらしいわよ。
A婆:そうなの? この前、玄関におむつの配達が置いてあったけど、あれはどっちが使ってるのかしら?
B婆:ダンナさんの方はリハビリにも行ってるから、トイレには行けそう。引きこもってる奥さんの方じゃない? おむつ用のゴミ袋はけっこう前から出していたわよ。
A婆:あの年でおむつって……自分でトイレにも行けないほどボケちゃってるってことかしら。やだやだ。そうはなりたくないわね。
B婆:娘さんにおむつの世話させてるのかしらね。娘の方も、なんでさっさと施設に入れないのかしら。あそこの家ってお金ないの?
はぁぁぁぅぅ。私が甘かった。世の中の人って、近所の「おむつゴミ」をこんなに「見て」いて「話題に」もしているものなのか? 自分が全然興味がないので、他人もそうだと思い込んでいたのだが、どうやら甘かったようだ。
でもさ、娘がおむつの面倒を見よう見まいが、施設に入れようが入れまいが、お金があろうがなかろうが、そんなのは「余計なお世話」だろう。うちのママや私の財布事情がこんな風に「世話にもなっていない外野」のメシウマ話にされるのはイヤだな~って思った。
配達? 受け取りましょう。一瞬も玄関外に置かないようにいたしましょう。おむつのゴミ? おむつリサイクルの研究をしている人には悪いが、うちの分は可燃ゴミの底の方に入れて絶対にわからないように捨てましょう。
恐ろしいことに、このA婆とB婆、顔も見たことがない人たちなのだが、私と同じバス停で降りた。班は違うが、同じ町内会なんだろうな。危ない、危ない。
>今でも覚えてる一番幼いころの思い出は?
私はおむつが大嫌いな赤さんで、おむつ替えのスキをついては裸で逃げ回っていたらしい。それが良かったのか、なんなのか。夏生まれの私は1歳の誕生日前後でおむつがとれた。以降、おねしょもしたことがなかった(←これが良いことなのかどうかは、また別の話だが)
私には兄弟もいないし、自分の子もいない。父の入院中もおむつ交換はしていないので、まぁ、一生に1回ぐらいは「誰かのおむつの世話」をしないとバチがあたるんじゃないかとは思っているのだが、ママは絶対に自分のおむつゴミを私に触らせない。
今でも覚えてる一番幼いころの思い出は?
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