ADHDは空気を読み飛ばし過ぎ? | ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

「なまいき」で「なまけもの」な「ぽてたろう」のノートです。
日常のあれこれや、その日考えたこと、そしてADHDや発達障害についての「あるある」などを書いてこうと思います。

本当は「空気読めない」んじゃなく

「読み飛ばし過ぎ」ている?

ADHDが、「やらかし」がちな会話の失敗

 

私が所属している女性だけの自助グループのメンバーは、「ADHD族である」ことが参加条件ではない。「片づけられない」とか「間に合わない」とか、何か“生きにくさ”を感じていることがあればOKで、未診断でもかまわない。匿名(ニックネーム参加)だし、女性だけなので、けっこう突っ込んだ話ができる。今はコロナで定期的なミーティングはできない。10年以上経って、メンバーはほぼ固定。10人ぐらいがネットでつながり、タイミングが合えばチャットする、気楽な感じだ。

 

主な活動は“情報交換”という名の「集まっておしゃべり」なのだが、顔を合わせると、必ずやるのが「言いっぱなし、聞きっぱなし」という時間。1人5分ぐらいずつ「自分の気持ち」とか「今困っていること」とかを話す。その間、他のメンバーは「聞くだけ」で何もしない。否定も肯定もしないし、質問もアドバイスもしない。とにかく、話を遮らない。最後まで聞く。その話はその場で忘れて「さっきのアレだけどさ…」などと蒸し返さない。その場で聞いたことは、以後口外もしないのだ。

 

このルールがあるのにはワケがある。ADHD族にはおしゃべり好きな人が多いが、意外とおしゃべりがヘタだからだ。私も含め日常会話や雑談で「やらかしやすい」ことをリストアップしてみた。

 

●どんどん早口になる

私はADHD族で「ゆっくり話す」人に会ったことはない。みんな、普段からけっこうなスピードで話している。せっかちも多いし、私のような「脳内多動」タイプは特に早口だと言われている。それが、会話がヒートアップしてくると、どんどん早口になっていく。普通の人は、そのフル・スピード&ハイ・テンションにドン引くらしい。

 

●だんだん大声になる

同じく、ADHDは声のボリューム調整が下手だとされている。身ぶり手ぶりも多いし、大きい。会話の最初から「ミュージカルですか?」みたいな人も多いが、会話が盛り上がってくると「大声大会ですか?」な状態に陥りやすい。

 

公共施設の部屋をとってやっているミーティングなどではそれでもいいが、「あとお茶」などで「みんなと会えてうれし~~いっ!」となると、どんどんボリュームが大きくなるので、お店の人に「他のお客様のご迷惑になるので……」と注意されたりする。

 

●話が飛ぶ

ペットロスの話をしていたのに、誰か1人の頭の中に冷蔵庫の挽肉がポップアップする。「あ、今夜ハンバーグ作ろう」と口から出てしまったり。その一言に「あ、ハンバーグいいね。トマトで煮込む?」とかのっかってしまう。ペットロスの話は途中で置き去りにされる。

 

運が良ければ「さっきハンバーグの前、何の話をしていたんだっけ?」と戻って来られることもある。

 

●相手の話題を横取りする

「あ、ハンバーグいいね。トマトで煮込む?」と、話題がハンバーグになったところで「トマトといえばさ~。うち、家庭菜園やってるじゃない? 隣の人がね……」と急ブレーキをかけ、自分の「ご近所トラブル」に話をすり替える。これ、本人に悪気は全然ない。関連した話につなげられて「私って、会話うまい♪」とか思っている。

 

私のリア友の1人(典型的多動な高学歴ADHD美女)は、テーブルの上にのる全ての話題を、まったく関係のない彼女自身のエピソードにすり替えて語り始める悪魔的天才だ。彼女は自分のことを「聞き上手」だと思っているらしい。

 

 

●空気読み飛ばし過ぎる

たとえば、「ねえ、アイスクリーム好き?」と聞かれて、いきなり「私はアレが好きだな。モナカの中にチョコが入ったやつ。チョコもなかジャンボ!」と、期待されている以上のオーバーランをしてしまう。相手のアイス話を横取りしてチョコもなかジャンボ話にすり替えた現行犯とも言える。

 

サービス精神過剰というか、空気を読み過ぎてスベっているというか。

 

ここで期待されている答えは「アイス? 大好き!」とか「好きだけど、体を冷やすからあんまり食べないようにしてるの」だったりする。聞いた人の目的は「おいしいアイス屋があるんだけど、一緒に行かないかな?」だったり「頂き物のアイスが冷凍庫を占領してて、半分助けてもらえそうかな?」だったりする。

 

跳び箱を「飛べばいいだけ」のところで、いきなりムーンサルトを披露してしまうのがADHDの会話術だ。

 

でも大丈夫。相手がきょとん顔をしていたら、聞いてみればいい。「で、アイスがどうしたの?」それで最初の“想定問答”に帰って来られる。

 

よく使われる比喩だが、会話はキャッチボールだ。相手が1回しか投げていないのに、5球も6球も投げてはいけない。1回に1球ずつ。

「アイスクリーム好き?」「うん、好きだけど、なぁに?」だ。

 

打者が1塁に向かって走っているのに、3塁に送球してはいけない。

 

「あと3分待って。コンビニ行ってくるよん?」は読み過ぎなのだ。

(好きだけど、それが)「なに?」も、読み過ぎだし、攻撃的過ぎる。

 

とりあえず、「質問の内容に合った答え」を、1つずつ確実に返すところから始めよう。

 

↓一問一答を心がけよ