ナチュラルに話かけるワザ
初対面の一言はおばあちゃんに学べ
~褒めなくても大丈夫~
電車やバスの中で、おばあちゃんたちがおしゃべりで盛り上がっているのを見たことはないだろうか? 乗ってきたところもバラバラだし、降りるところもバラバラ。なのに「よく知っている友達」のように自然と会話に入っていく。私の住むエリアは高齢者が多いので、いつもバスで一緒になる「顔見知り」ではあるけれど、名前も住んでいるところも知らない人同士……ということもあるようだ。
昨日、初対面の人と話すときに「ちょい褒め」が効くと書いたのだが、意外と「褒める」のはハードルが高いと感じた人が多いようだ。で、改めて、おばあちゃんたちのおしゃべりに耳を傾けてみると、「褒め」は必ずしも必要ではないことがわかる。「最初のひとこと」は、非常に自然でさりげない。
3人の初対面の人ならこんな感じ。
「あったかそうね?」
「これ? ユニクロなのよ。孫が連れていってくれたの」
「色がいいじゃない」
「同じ型でね、いろんな色があったのよ」
「ユニクロかぁ、行ったことないわ」
「駅ビルに入ってるんだっけ?」
最初のひとこと「あったかそうね?」は絶妙ではないだろうか。お世辞でもなく、わざとらしくなく、ただ「見たままの事実を言っただけ」だ。
「同じように」と言っていいのかどうか、私も過去に関西弁のおっちゃん(初対面)に「キミ、赤っいなぁ~」と言われて「そういう言い方もあるのか」と思ったことがある。
真っ赤なジャケットを着ていた。
まんまじゃねーか。
これも褒めても、けなしてもいない。「見たままの事実を言葉にしただけ」だ。でも、
「キミ、赤っいなぁ~」
「赤、好きなんですよ。派手でした?」
「いや、赤いなと思っただけで。似合ってるよ」
と、会話の糸口になる。そして「初対面でこんなこと言う人なら、そんなに緊張しなくても大丈夫そう」と感じた。手練れなオヤジのうまいやり方だ。
バス停や駅なら待っているものが「同じ」という強みがある。私から話しかけることもある。
「なかなか来ませんね」
「うん、27分がまだ来てないから、もう来てもいいと思うんだけど」
「遅れてるんですね」
「これ、2台続けて来ちゃうパターンかもしれないですね」
「この路線はあるあるですよね~」
私が使う駅のホームにはパン屋さんに隣接している。
「うわ、バターの匂い。たまらない」
「お腹空いちゃいますよね~」
「下りのホームなら、帰りだから『買って帰ろう』になるけどね」
「上りだと罪ですよねぇ」
ポイントは「事実を言葉にしただけ」だ。そして、視覚や嗅覚でキャッチした情報を「言葉に変換」しているというのも共通点だろう。
そして、おばあちゃんたちのスゴいところは、ちょっと話しかけられても「そうですね」とスルーしないことだ。投げられたボールを受け取ったら、必ず1要素をプラスして投げ返す。だからこそ会話のキャッチボールが成り立つのだろう。
↓おばあちゃんの社交術に学ぼう