帝王切開は自閉症・ADHDが多い? | ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

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日常のあれこれや、その日考えたこと、そしてADHDや発達障害についての「あるある」などを書いてこうと思います。

帝王切開は自閉症・ADHDが多い?

専門家の間でも賛否分かれる

19か国で行われた研究の統計分析から

2019年8月28日|ロイター・ヘルスの記事

 

先月末、よりによって「ロイター通信」という大手で配信されてしまったので、騒ぎが大きくなっている。いつもは私の意見は入れずに翻訳・要約に徹するのだが、これについては「誤解されるとヤバい」と思ったので、全文翻訳はやめておく。

 

<記事の要約>

19か国で実施された61の研究を組み合わせ統計処理した結果、女性が帝王切開で出産すると、子供の自閉症リスクが33%増加し、ADHDのリスクも17%増加するこという結果が出た。 JAMA(The Journal of the American Medical Association)の論文閲覧サイトで公開されている統計分析では、帝王切開との因果関係を示す論文はない。 医師が帝王切開を選択する妊娠の状況に原因があるのではないかという可能性が示唆されている。

 

今回の調査研究では1999年にさかのぼり、2,000万件を超える分娩を対象とした研究論文を収集し、大量のデータから、小規模な個々の研究では明らかにはならないかもしれない帝王切開に関するリスクについて再評価する「メタアナリシス」という手法だ。

 

ストックホルムのカロリンスカ研究所博士課程のティアンヤン・ツァン(田陽張?)率いるチームが研究結果を調査し、自閉症スペクトラム障害について評価したとき、29本中17本の論文に(帝王切開による)リスクの増大傾向が認められ、統計的にも無視できないレベルであったとしている。

 

帝王切開が予定されていた場合と、緊急措置として行われた場合では差はなかった。また、知的障害、強迫性障害、チック障害、摂食障害の発生率もまずかに高かったが統計的に問題視するほどではなかった。

 

今回の研究報告は、調べてみたら「こんな数字になりました。関連性があるかも?」というだけで、帝王切開が自閉症やADHDの原因となるといっているわけではない。今までそういう医学的根拠となるデータはない

 

ツァン氏はロイターにメールで答え「母親に糖尿病や高血圧がある場合、産科医が帝王切開を指示することは多い。一部の疾患が子宮内にいる子供の発達にすでに影響している可能性がある。帝王切開を“悪者扱い”にするのは間違っている。帝王切開が必要なときには行う必要がある」と言っている。

 

オハイオ州コロンバスにある全国小児病院の児童精神科医のパンクリー博士は、この研究に参加していない立場から「意味のあるデータではあるが、人口統計的に見るとリスクはそれほど高いとは言えない。そして帝王切開が自閉症やADHDの原因となっていることを証明するものでもない。帝王切開が必要になる危険因子と自閉症やADHDにつながる危険因子にはもともと共通点があるもの」としている。