過集中はADHDの武器になる vol.2 | ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

「なまいき」で「なまけもの」な「ぽてたろう」のノートです。
日常のあれこれや、その日考えたこと、そしてADHDや発達障害についての「あるある」などを書いてこうと思います。

強い集中力を遊び以外の

ジャンルでも使えるようにする

 

Vol,1 過集中をコントロールする方法をみつけよう

 

私が子どもの頃、没頭していたのは読書だ。読み始めると、もう周囲の物音が聞こえない。どれくらい時間がたったかわからない。「キリのいいところまで」と思ってはいても「もう少し、もう少し」と引き延ばしてしまう。本の世界に深くダイブして、なかなか帰ってこられない子どもだった。

 

 

 

私は没頭していると周囲の音が聞こえなくなるので、母が声を枯らして叫んでも無駄だ。うちではシンプルに電気を消された。物理的に「読めなくなる」ので、「あ、なにか用があるんだな」と、母の方に注意が向く。「キリのいいところまで、あと1ページ待って」ぐらいの交渉はしたが、少しずつ「帰ってこられるように」なっていった。

 

●おもちゃを取り上げるより増やす

ADHDの子供の場合、今夢中になっているおもちゃを取り上げるより、他にも楽しいおもちゃがいろいろあることを見せて、集中力のターゲットを分散させるほうが効く。できれば、多ジャンルのことをいろいろ経験させて「おもしろいと思えること」を増やしていきたい。映画、料理教室、スポーツ観戦……本屋に連れていって、しばらく放し飼いにしておくだけでも、勝手に「面白そうな本」を見つけるはず。長く続ける「お稽古事」よりも無料で参加できるイベントや「体験教室」だ。

 

ある家では、毎週日曜日にNHKの大河ドラマを家族で一緒に見る習慣があり、「始まるよ」と言われればゲームをやめてテレビを見にくるそうだ。見ながら「敵にバレる」「援軍が来るよ」など、いろいろ言いながら見るのが面白いらしい。できる教科にムラがあるのだが、中学に入ってから社会科(歴史)と国語の成績が急に伸びてきた。自分が「知っている」世界だから「興味が持てて」、勉強に集中できたのだろう。

 

 

授業の内容に興味を持って、自分から教科書に載っている以上のことを深堀りするようになれば、こっちのものだ。集中力の幅を広げていくときは、かならず「好きな」「得意な」「今ちょっと興味がある」ジャンルから始める。いきなり嫌いなジャンルから始めると「やっぱりつまらない」ともとの巣穴に戻ってしまいがちだ。

 

●ミッションを与える

「どうも学校で授業に集中していない」というときは、「授業内容を家に帰ってから話す」というミッションを持たせるといい。ただ聞くだけの授業は右耳から左耳に抜けてしまうが、「この内容を家でわかりやすく説明しなければならない」と思うと緊張感が違ってくる。できれば「おばあちゃんにわかるように」とか、具体的なターゲットが設定できると、なお良い。

 

家で話を聞くときは「どういう内容だったか」ではなく「どんなことが面白かったか」を聞く。毎回聞かれていると、後で話をするために授業中に「面白かった探し」を始めるようになる。最初はうまくできないかもしれない。「おもしろいところなんか全然なかったよ」というときは、できるだけ具体的に細かい内容が話せるように質問しよう。あくまでも「面白かったことのシェア」をするのだから「ちゃんと聞いてないから、わからないんでしょ!」などとキレてはならない。

 

どうしても嫌いな教科や先生がいる場合は、その授業や先生のグチを聞いてあげるだけでもいい。次回からグチのネタを探すため、いつもよりちょっと集中して話を聞くはずだ。

 

 

●メンターをつける

また、全然違うアプローチだが、短期集中で家庭教師を体験させるのも効果的だ。この場合、プロの先生よりも、年齢が近くて「あこがれのお兄さん、お姉さん」になりそうなかっこいい大学生が適任だ。この人はどうして勉強ができるのだろうと考えるきっかけになればしめたもの。目の前にロールモデルがいるのだし、一緒に勉強してくれる人がいると教科に対する目線が違ってくる。

 

家で家庭教師と勉強して「できる」という自信がつくと、学校の授業中にドヤりたくなる。ADHDは目立つのが大好きだ。授業で自分がアピールできると思い始めたら、親が「もう寝なさい」と言っても勉強するようになる。