ADHDが根っこにあるから
起こりやすい病気
二次障害って何?
二次障害とは、ADHDの症状そのものではなく、ADHDがあることによって生じる別の症状のこと。ADHD自体のケアが悪いと二次障害に陥るリスクは高くなる。
原因はADHD特有の「うまくいかない」「失敗が重なる」が続くこと。これが自己評価の低さ、自信のなさ、自己肯定感の低下といった“病気の巣(根っこ)”を作ってしまい、そこから最初とは違う枝がニョキニョキ出てくるイメージだ。
※図版はお借りしています。
私自身も挙げたらキリがない数の二次障害を持っている。たとえば
ウツ、ヒキコモリ、睡眠障害、過食、醜形恐怖症、自臭症、セルフネグレクトなど。今はおよそ3年間続いた「大ウツ」の回復期で、毎日がセルフネグレクトとの闘いだ。
セルフネグレクトとは「自分のために良いとわかっていること」がどうでもよくなる。自分の面倒がみられない。「家族がいれば料理するけど、自分1人だからいいや」「今日は人と会わないからお風呂いいや」という……その「いいや」感の悪化したもの。自暴自棄というか、緩慢な自殺のような状態だ。最近、独り暮らしの高齢者や中高年で、セルフネグレクト傾向のある人が増えているらしい。
10代の頃はADHDという概念がなかったので「自分が抱えているいろいろな精神的トラブルは、ひょっとして1つの根っこから出た枝葉なのではないか」と、漠然と考えていた。だから、診断が下ったときは「やっぱりそうだったのか」と、ミステリー小説の犯人が分かったときのような爽快感があった。
自分が克服できていないのに大きな口は叩けないが、二次障害を克服するには、小さくてもいいから「成功体験」を積んでいくしかない。積んで積んで、自分の人格を否定するのをやめないと二次障害と手を切れない。
私は今まで「ひょっとして自分もADHDかもしれないと思っている人は、早く医師の診断を受けた方がいい」と何回も書いてきた。それはADHD自体の治療もそうだが、ADHDをこじらせて二次障害につかまらないでほしいからだ。こんがらがった糸はほどくのに手間と時間がかかる。