にわとり

―金子みすゞ―

 

 

 

 

お年とった、にわとりは 

荒れた畑に立って居る

 

わかれたひよこは、どうしたか 

畑に立って、思ってる

 

 

 

 

草のしげった、畑には 

葱の坊主が三四本

 

よごれて、白いにわとりは

荒れた畑に立っている

 

 

「童話」1923年(大正12年)10月号

 

畑にただ一羽で立つ、子どもを失った母鶏の悲しさ、孤独…。

金子みすゞ、初期の代表作。